50代無職・未経験・無資格からの初めての介護職〜使える資格/使えない資格、仕事の探し方、搾取されないためにできること、よくある不安
50代無職・未経験・無資格から介護職につくための基本的な考え方を実体験に基づいてまとめておきます。
50代からのパート介護職を勧める理由
介護職はキツイ・汚い・安い・搾取・ブラックなど言われていますが、働き方を選べば40〜50代の女性にとって、パートの介護職は魅力的です。

時給が高い
40〜50代無職・未経験でも雇ってもらえる仕事の中で、介護職員の時給は高めです。
無資格であれば、仕事の内容が限られてくるため、香川県では時給1,000円程度。ただ、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」を修了すれば、未経験者でもスタート時点で100円〜200円アップ。つまり、時給1,100円〜1,400円くらいまで狙えます。
なお、香川県の最低賃金は時間額970円(2024年10月2日施行)。
香川県でさえこんな感じですから、他の低賃金地域でも似たようなものでしょう。大都市などでは、さらに時給があがります。
ちょっとした「事務系派遣」並みの時給を、50代パートでも得ることができます。
所詮パート
言い方は悪いですが、所詮パートです。
職場がダメすぎる、同僚が嫌すぎる、カスハラが酷すぎる、体力精神的にキツすぎる、、働き続けることが困難な職場であれば、最短2週間で辞めることができます。
民法第627条に基き、雇用者(会社)に退職の意思を2週間前までに伝える必要があります。
ここに、余計な感情は不要です。所詮パートなのですから。
安定供給で仕切り直し簡単
介護業界は、代表的人手不足業界です。他の職場はいくらでもあります。
つまり、求人は安定供給。働き方・働く場所の仕切り直しのハードルは相当に低いです。
働き方の幅が広い
介護職といっても、働き方の幅はかなり広いです。
大きく分ければ、施設内での介護と訪問介護。施設といっても、介護度の高い施設から、要支援の方も利用するデイサービスまで、幅は広い。
自分の考え方、体力、待遇等への希望にあった施設を探すこともできます。

一般には訪問介護の方が時給が高く、自由度も高め。
でも、私は施設派。
60代でも介護職で継続可能
職場によっては、「定年60歳」「再雇用65歳」などありますが、60代でも介護職を続けることはできます。
人口ボリュームゾーンからみても、この先数十年は介護職人手不足が続きます。働き方や希望条件にもよりますが、介護職であれば比較的高時給案件を見つけることが可能でしょう。



60代になった時に好条件で働くことができるよう、50代から経験を積み、スキルアップしておくことが大切です。
実務経験なしでも取れる使える介護資格
介護職関連の資格は大量にあります。取得の難易度高めのものから、実務経験なしで簡単に取得できるもの、指定カリキュラムの修了が必要なものから、テキストで勉強し試験を受ければ取得できるもの、給与アップに直結するものから、趣味レベルにすぎないもの。
資格取得をする場合には、取得費用、難易度、費用対効果も含めて、無駄のないように考える必要があります。


介護職員初任者研修
実務経験なしでも取得可能で使える介護関連資格の中で、費用対効果最強なのが、「介護職員初任者研修」。
【介護職員初任者研修の特徴】
- 介護の基礎知識と技術を習得
- 約130時間の研修を受講
- 全課程修了後の修了試験合格が必要
- 講義の一部(40時間程度)はオンライン受講が可能
- 民間の資格スクールでの受講費用:4〜10万程度
- ハローワークでの受講なら無料
- 最短1ヶ月程度で取得可能
- 無資格者に比べ、入職時で100円程度時給アップ
- 無資格よりも応募できる施設等が激増
※ 応募要件が資格保持者限定の施設も多数
民間の資格スクールであれば、最短1ヶ月程度、週末などの週1受講でも4ヶ月程度で取得できます。
資格スクールによっては、受講後、スクールからの紹介等で一定期間派遣社員や正社員で働くと受講費用返金で実質無料などのキャンペーンがあります。利用できる環境であれば、利用するに限ります。
ハローワークではほぼ無料(テキスト代別途など)で取得できますが、受講期間が限定されている、受講期間が長いなど、時間に余裕のある人向け。



ハローワークで時間をかけてダラダラ受けるよりも、さっさと取得してパートを始める方が時間的にも経済的にも無駄がありません。
介護福祉士実務者研修
実務経験なしでも取得可能で使える介護関連資格の中で、費用対効果+将来性最強なのが、「介護福祉士実務者研修」。
【介護福祉士実務者研修の特徴】
- 介護職員初任者研修の上位資格
- 医療的ケアや介護課程の展開の理解、実践的な知識や技術の習得
- 介護福祉士国家試験の受験要件の1つ
- 450時間のカリキュラムを履修、取得のための試験なし
- 講義は自宅学習+7日程度のスクリーング
- 無資格者:受講費用10〜20万程度、最短6ヶ月
- 初任者研修等修了者:3〜15万程度、最短2ヶ月
- 無資格者に比べ、入職時で200円程度時給アップ
- 無資格よりも応募できる施設等が激増
※ 応募要件が資格保持者限定の施設も多数
ハローワークでは対応していないため、民間の資格スクールでの受講が必要です。
講座の多くは、自宅学習+スクーリング7日間程度、受講費用10〜15万程度が相場です。
全課程スクールで受講の場合は、受講費用が高め、かつ受講できるスクールも限られています。
将来的に、介護福祉士やケアマネを目指すのであれば、受講必須です。
初任者研修の修了者は、重複科目130時間分が免除。そのため、320時間・最短2ヶ月程度・受講費用も10万以内で取得可能です。
スクールによっては、初任者研修+実務者研修の同時申し込みでセット割を設定しています。
これは、すぐにでも「初任者研修」の資格が必要な人には有益。
6ヶ月待てるのであれば、実務者研修だけを受けるよりも割高なので、費用の無駄です。



私は、無資格から介護福祉士実務者研修を受講。
スクールの割引キャンペーンがあったので、無資格でも税込・テキスト代込み10万以内で収まりました。
※大都市の方が受講費用が安い傾向にあります
民間資格
民間資格は大量にあります。公的な研修の上位資格もあれば、公的な研修や資格とは関わりのない独自の資格もあります。
自分の興味を満たす、知識を深めるために取得するのは個人の自由ですが、待遇アップ、職場で通用するスキルアップのために取得するのであれば、よく調べる必要があるでしょう。
なお、資格によっては、介護職員がその資格を取得したところで、施設によってはそのような仕事を担当するのは、看護師や機能訓練指導員等。無駄とは言いませんし、職場で役立つ可能性もありますが、待遇改善につながるかは、、施設次第・努力次第・運次第です。



闇雲に取得する前に、キャリアアップやキャリアプランをよく考える必要のが大切です。
在職者・離職後1年以内の場合
在職者や離職後1年以内の場合には、経済産業省が行う「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に該当すれば、対象の資格取得や研修を受講する際の費用負担軽減や転職支援があります。
厚生労働省管轄の専門実践教育訓練では、指定の講座に対する給付金制度があります。指定期間内に修了し、条件を満たせば受講費用の最大80%を受給することができます。
受講申し込み前の申請が必要です。
50代無職・無資格からの介護の仕事の探し方
40〜50代の専業主婦で無職期間が長い場合、資格やその業種での経験がなければ、条件の良い仕事を見つけるのは困難です。
これは、いじわるとか、差別とか、そういう話ではありません。至って、普通の話です。
経験はあったほうがいいし、無職期間が短い方がコミュニケーションやスキルに不安が少ないし、若い人の方が新しいことも覚えてもらえやすそうだし、長く働いてもらえそうだし、同僚ともうまくやってくれそう… 雇用側の一方的な思い込みや期待なのですが、仕方がありません。
働く側ができるだけ好条件を希望するように、雇用する側もできるだけ「すぐ使える役に立つ人材」が欲しいのです。
それを理解した上で、職探しをしないと、なかなか採用されず自肯定感がダダ下がりするだけです。
雇用形態の選択
雇用形態により、働き方や待遇、責任の重さ、自由度が変わります。勘違いによる不満を抱えたり、搾取されたりしないよう、割り切ることが重要です。
- 安定した収入と福利厚生が期待できる
- キャリアアップの機会が豊富
- 給与に割には責任や業務量が増える
- 時給が高い
- 派遣会社が間に入るのでトラブルが少なめ
- 雇用が不安定
- 収入や福利厚生は正社員に比べて劣る
- 短時間勤務や扶養内勤務が可能
- 自由度が高い
- 責任が軽め
無職からの仕事探し
自分が求める希望条件の、少し下のところから、良さそうな職場を探す。
まずはコレ。とにかく、どこかに入職し、「無職」から卒業するのが大事です。よほどひどい職場でなければ、数ヶ月〜1年くらい働きながらステップアップの準備をするのが、より好条件での仕事を探す近道です。
介護職員初任者研修を修了してから仕事を探す
介護職員初任者研修は、週に3〜4日程度通学できるのであれば最短1ヶ月程度、週1回の通学であれば4ヶ月程度で修了し、取得できます。
「資格保持者」であれば未経験可の職場もたくさんあります。
言い方を変えれば、未経験でも資格保持者であれば仕事は見つけやすいのです。
【推し】パートで働きながら研修を受ける
パートで働きながら研修を受けるのは、精神的にも体力的にも大変です。ただ、無資格期間中はできる仕事も限定されるため、仕事は比較的気楽です。
仕事にも少し慣れてきた頃には、研修修了で資格も取得。
以降は、仕事の幅も広がり、給与もアップします。
転職・再就職するなら先に初心者研修
介護職員として転職や再就職で正社員を目指すのであれば、初心者研修は修了しておく方がいいでしょう。
職場によっては、資格取得支援があります。介護士やケアマネを目指すのであれば、入職後に実務者研修を受けると、費用負担が少なくて済みます。
搾取されない介護職での働き方
女性が食いっぱぐれない職業として、介護職は一つの有用な選択です。
一方で、過度の感情移入をしたり、責任を感じることで、自分自身の首を絞めたり、家族に負担をかけることになります。
どこで働くか、どのように働くかを考え、自分の基準や範囲を明確に線引きし、選択し続けることが、「搾取される介護職」にならないための一歩です。



責任感、罪悪感、良心との戦いもありますが、自分の線引きをずらし続けることは、やりがい搾取へと繋がります。
50代未経験からの介護職で抱える不安との向き合い方
仕事が覚えられない
一般に、若い頃に比べ記憶力は低下します。慣れない作業への恐怖感や抵抗感もあります。
これはどうしようもないことですし、これから先の人生で、記憶力や適応能力が劇的に改善することも期待できません。
そういうものと割り切って、自分にできることをして、対応するしかありません。
- メモを取る
- 謙虚に学ぶ
- メモを見返して復習する
- わからないことや不安なことは何度でも確認する
- 自分は初心者である、経験が浅いことを忘れない
体力に自信がない
女性の体力のピークは、14歳〜17歳頃と言われています。その後は緩やかに低下、50歳を過ぎるとさらに急激に低下する傾向にあります。
体力は低下します。避けられません。
といっても、別にスポーツ選手になるわけではありません。仕事に慣れれば、体の使い方もわかりますし、筋力も体力もある程度はついてきます。
虚弱体質でなければ、なんとかなるでしょう。パートであれば、短時間勤務や勤務日数を減らすで、ある程度調整もききます。
介護職は何歳までできる・働けるのか
正社員では60歳定年、再雇用でも65歳としている事業所が多いですが、パートであれば60代以上でも働くことができます。
2023年10月に行われた「令和5年度 介護労働実態調査」(公益財団法人 介護労働安定センター)によると:
60代余裕です。正社員でフルで働くことは難しくても、高時給パートならいけます。
5〜10年先を見据えた働き方
介護職は、慢性的に人手不足ですし、今後ますます人手が必要となります。
50代無職無資格からでも始められますし、パートでも比較的高時給、短時間勤務などの自由度も高めです。
介護職を通して得た知識や経験は、将来家族の介護が必要な時にも役立ちます。
体力的精神的に無理のない範囲で、長く細く続けるのが重要だと思っています。



私も資格取得のために研修も受けながら、介護職に就きます。
研修や役立つ資格取得の勉強法など、50代無職未経験無資格からの介護職のリアルな情報を発信していきます。

