入学式や卒業式の祝辞で、パタパタたたむ蛇腹の用紙の名前、購入できる場所、原稿の量(文字数)はどのくらい、暗記は必要か、原稿は置いてくるのか持ち帰るのか、置いてくるならどこに置くのか、挨拶の仕方は???など、一気に疑問がわいてきます。
相手を祝う大切な場での挨拶は、内容はもちろんのこと、その作法や細やかな配慮も重要になります。
今回は、祝辞を述べる際の基本的な考え方や作法、用紙の扱い方、適切な用紙の選び方などを、まとめておきます。
祝辞で使うパタパタたたむ紙のこと
入学式や卒業式の祝辞で使う、パタパタ折りたたむ蛇腹折の紙ですが、「式辞用紙」といいます。
手書き用のもの、インクジェットプリンターで印刷できるものなど、Amazonなどで購入できます。書店や文房具屋さんでも購入できるかと思いますが、余裕をもって用意しておくことをオススメします。
以前は筆や筆ペンによる手書きでしたが、現在はパソコンで作成し家庭用プリンターで印刷もできます。
◉ インクジェットプリンター対応。慶弔両用、用紙4枚・封筒2枚・上包み(多当紙)2枚入っています。
印刷設定の細かいことは(株)マルアイ 式辞用紙の設定上の注意に書かれています。印刷フォームや例文もサイトからダウンロードできます。最初にダウンロードし、ファイルに入力し作成し、印刷する方が間違いありません。
◉ 手書きならコチラ↓ サイズ(大・小)、罫線の有無が選べます。
筆耕をお願いする方法
手書きはしたくないけれど、自宅にプリンターが無いような場合には、筆耕をお願いできます。
申し込みから納品まで1〜2週間かかりますので、余裕をもって発注しましょう。
祝辞は暗記が必要か
プロンプターばかり見て原稿棒読みの政治家への批判がある一方、ユーモアやジェスチャーたっぷりの欧米のスピーチ画像を見る機会が増えたこともあり、スピーチへの期待度や自分の中での合格点は高くなり、ハードルが上がっているかとも思われますが、式典での祝辞は原稿を暗記しなければならないものではありません。
ただ、原稿をずっと見つめて読まなくてもいいように、内容をよく理解し、ある程度は頭に入れておくことが望ましいです。
【式辞用紙の役割】
- 主に内容の確認や、重要なポイントを忘れないためのガイド
- 聴衆に対して、正式な場での発言であることを視覚的に示す効果
原稿を暗記していたとしても、ド忘れすることもあります。原稿は、重要なポイントを忘れないためのガイドとして、強い味方です。
また、式辞用紙であれば、聴衆に対しても、正式な場での発言であることを視覚的に示す効果もあります。
原稿を参照しつつも、朗読にならないよう、自然な話し方を心がけるよう、練習しておくのがオススメです。
祝辞の紙はおいてくる?
入学式や卒業式なら
学校の文書管理規程により、式辞、祝辞等は公文書に準ずる「儀式文」として学校が管理することが一般的です。
卒業式や入学式では祝辞を述べる場合、紙を持たずに暗記して話す方もいますが、式典の場では式辞用紙に書いたものを読み、壇上に置いてくるのが通例です。
これは、来賓の祝辞に限らず、学校長の式辞や在校生の送辞、卒業生の答辞等いずれも、基本的には同じです。
結婚式なら〜
結婚式の祝辞(スピーチ)では、原稿を新郎新婦に渡すわけではありません。原稿(メモ・カンペ)の用紙にも、特に決まり事はありません。
手紙のように便箋に書いたものを読み上げても、カードのようなものにメモ(カンペ)を用意しても、式典のように式辞用紙を用意しても、なにも見ないで話してもいいのです。
新郎新婦をはじめ、参列者の視線を浴びてのスピーチですから、用意するのであれば、見られれも恥ずかしくないもの、できれば素敵なものを用意するのがいいですね。
色柄選べる巻物もあります。
お葬式なら〜弔辞
お祝いごととは真逆ですが、故人と親しかった方が葬儀・告別式に読みあげる故人へのお別れの言葉「弔辞」。
奉書紙や巻紙、便箋などに手紙を書き、読み終えたものは「弔辞」と書いた表書きが遺影から見える向きにして壇上に置いてくるのが一般的です。
※ 弔辞を霊前に供えず、そのまま持ち帰るケースもあります
故人との関係性によっては、白の便箋に書き、白の封筒に入れても構いません。この時の封筒は、洋封筒でも和封筒でもかまいませんが、郵便番号欄のない白無地、一重のものを使います。
社葬や格式ばった葬儀であれば、弔辞用紙(式辞用紙)や巻紙の方がいいでしょう。
◉ インクジェットプリンター対応のものもあります。慶弔両用、用紙4枚・封筒2枚・上包み(多当紙)2枚入っています。
祝辞・式辞・告辞・送辞・答辞・謝辞の違いは
式典での挨拶の種類
入学式や卒業式など、学校関係の式典では祝辞・式辞・告辞・送辞・答辞・謝辞といつくもの「辞」があります。
いずれも、式典におけるお祝いの言葉ではありますが、紛らわしいので簡単に違いをまとめておきます。
名前 | 話す人 | 内容 |
---|---|---|
式辞 | 学校代表者(校長等) | お祝いの言葉 |
告辞 | 管理者 公立小中高の場合は教育委員会 | お祝いの言葉 |
祝辞 | 来賓 PTA会長や市長、同窓会長等 | お祝いの言葉 |
送辞 | 在校生 | 送る言葉 |
答辞 | 卒業生 | お礼と別れの言葉 送辞に対して答える言葉 |
謝辞 | 卒業生の父母代表等 | 保護者からのお礼の言葉 |
必ずしも、全ての挨拶が式典で行われるわけではありません。特に、「告辞」では地域や学校によって異なります。
PTA会長が「生徒へのお祝い」と「保護者へのお祝い」を述べ、かつ保護者の立場から「先生方への感謝」を述べる「祝辞」と「謝辞」が一緒になっていることもよくあります。
告辞・告示・公示
告辞と告示と、さらに紛らわしい表現もあります。
- 告辞:式典や儀式において、管理者が出席者全員に何か述べること
- 告示:国や地方公共団体などの行政機関が広く情報を伝えること
- 公示:国や地方自治体などの行政機関に加え、交通機関やインフラ設備、医療機関といった公的性質をもつ民間機関も主体に含まれ、一定の事項を広く一般公衆に知りうるような状態に置く
卒業式や入学式で教育委員会の人がお祝いを述べる時には「告辞」、教育委員会が学校等に情報を伝えることは「告示」や「公示」になります。
告示と公示は、自治体や状況によって使い分けが異なります。
【告示と公示の違い】
◆告示
- 法令に基づいて行われる、公式でより重要度が高い事項や決定事項
- 法的効力を持つ場合がある
- 一般市民や関係者全体に向けた広範囲の通知
- より厳格な形式や手続きを要する
◆公示
- 主に情報提供や周知が目的の比較的軽微な事項や情報提供
- 法的根拠や法的効力が必ずしも必要ではない
- 特定の関係者や地域に向けた限定的な通知の場合もある
- 形式や手続きも比較的柔軟
入学式・卒業式での祝辞〜挨拶の仕方
入学式や卒業式での式典では、事前に簡単に流れの説明を受けるかと思いますが、基本的な挨拶の流れを押さえておくと安心です。
司会者が「ご祝辞をいただきます」と自分を指名した後
- 来賓席で立ち上がり、来賓に一礼
- ステージの階段手前で、職員席にも一礼
- 壇上に上がり、正面の国旗に深く一礼
- 中央の演壇についたら会場を一度見まわして一歩下がり、一礼
演壇で
- 祝辞を取り出す
上包みを外し、やや右上に置く
中の用紙を広げる - 祝辞をゆっくり読み上げる
- 読み終えたら、用紙をたたみ、上包みにしまう
- 演壇の右上に置いたままに
- 姿勢を整え、一呼吸、一歩下がって一礼
ステージから降りる時
- 階段を降りる前に、ステージ中央を振り返り国旗に深く一礼
- 階段を降りたら、職員席にも一礼
- 来賓席の前で来賓席に一礼
- 自分の席に戻ります
祝辞を述べる機会は、日常にはありませんの、なかなか慣れるものではありません。緊張もしますが、せっかくの機会ですから、ゆっくり練習をして、自信を持って臨み楽しんでくださいね。