介護職未経験・初心者によくある不安と対処法〜50代無資格未経験からの経験談

未経験で介護職に就く場合、仕事に対する不安が募ります。ネット上にも多くの情報が溢れていますが、その多くはアフィリエイトサイトで誰かのコピーやリライト、あるいは模範解答であっても「それができないから困っている」という役に立たないこともあります。

今回は、50代無資格未経験からパート介護職についている経験をもとに、リアルな情報をまとめておきます。

目次

初めての介護職〜よくある不安と対処法

介護職で働く上で不安を感じる点は様々ありますが、特に多いのは体力的負担、給与、人間関係、業務量、そして未経験者としての不安です。このような不安が多いこと、またその不安の解消・軽減する方法を把握していれば、必要以上に不安を感じることがなくなります。

自分の資格や経験などは、応募や面接時に明らかした上で、雇用されているのですから、あまり気にしないに限ります。仕事を続けることで、多くの不安は解消されていきます。

未経験・初めての介護職によくある不安と対処法 解決法

体力的負担への不安と対処法

介護職では、利用者の入浴や排泄、移乗などの介助があります。それは、介護する側、ケアを提供する側にとっては肉体労働です。腰や膝への負担、筋力や体力の自信のなさが不安につながります

無理のない範囲で働く

自分が体を壊してはなんの意味もありません。自分にとって無理のない範囲で働くことは、自分の身体に対する責任です。

ボディメカニクスを正しく利用し、自分の体への負担を減らす

自分の体にも負担が少なく、利用者にとっても安全で安心なボディメカニクスを利用した介助方法を習得します。

介助方法は、介護職初任者研修などで教わりますが、無資格・未経験の場合、職場でも教えてもらえます。できない、わからない場合には、職場の先輩にその旨はっきり伝え、教わりましょう。

教え方が微妙(残念ですが、先輩職員が必ずしも教え方が上手なわけではありません)な場合、ゆっくり復習したい場合には本や動画が便利です。

1人では無理、難しいと判断した場合には、同僚や先輩にヘルプをお願いします

「一人でできないの?」「普段通り」的な言動や態度をとる人もいますが、そこは我慢。「できません」「お願いします」というしかありません。無理な介助は、インシデントや事故、自分の体を壊すことにもつながります。

人から教わる方法が、教科書的に最も正しい方法とは限りません。
ただ、ネットや書籍にある方法では、利用者や環境によってはうまくいかない場合があるのが現実です。
教科書的基本は大切ですが、その場にいる人から教わることもそれ以上に大切です。

ストレッチや簡単な体操を日常的に行う

肩こりや腰痛予防や軽減には、ストレッチや体操が効果的です。

今は健康アイテムや情報が溢れています。自分にあった方法で、自分にあったレベルで続けるしかありません。

合わない方法や間違った方法で過度に負担をかけると、改善しない、悪化することもあります

例えば、テニスボールマッサージやストレッチポールも腰痛や肩こり改善には有効ですが、やりすぎたり、やり方/力加減を間違えると、一時的には痛みや辛さが軽減しても、翌日には痛みが戻り、なんの解決になっていないこともあります。

自分の体のメンテナンスは、自分の体の声を聞くことが大事。
やりすぎは禁物です。

休憩はしっかり取る

 職場によっては、静かに休める休憩スペースが確保されていないこともあります。それでも、できる限り体を休ませ、気分転換し、肉体的にも精神的にも疲れを回復させることが必要です。

筋力や体力は、ある程度は時間が解決してくれます。慣れるまではキツイと感じても、続けているうちになれますし、体の使い方や休め方も覚えてきます。
ただ、技術的・筋力的に難しいと感じる場合には、無理をせずヘルプをお願いする必要があります。無理は自分の体を壊すだけでなく、利用者の事故やインシデントにもつながることは忘れてはいけません。

給与への不安と対処法

介護職は、肉体労働かつ精神的負担も大きい仕事であるため、給与に対する不満が出やすい職種であることは否めません。

現在は、助成金があるため、基本給に上乗せされ、介護業界全体で給与が多少なりとも改善されています。

仕事を選んだのは自分である

肉体的にも精神的にもキツさを感じることや、よりよい待遇の業種と比較することで「介護の給料安い…」など愚痴りたくなるかもしれませんが、その仕事を選んだのはあなた自身です。

求人に応募するということは、誰かに強制されたことではなく、自分で選んだ仕事であることを忘れてはいけません。応募の時点で、時給や基本給はわかります。面接時や雇用契約書にも給与などの条件面が明記されています。

不満なら給与が高い仕事を探せばいい

待遇に不安や不満があるのであれば、より良い条件の仕事を探せばいいのです。

もしくは、手当がつくようにスキルアップするなど。

雇用には運もありますが、その行動を起こせるのは自分しかいません。不平不満ばかりを言っていてもなにひとつ解決はしないのです。

人間関係の不安と対処法

人がいるところで働く限り、人間関係の悩みはつきまといます。

利用者との人間関係

介護施設で働く限り、利用者やその家族はいわゆる「顧客」お客様です。ですから、仕事上必要な人間関係を構築する必要があります。

ただ、相手も人ですから、相性はあります。それは、介護に関わらず他の業種でも同様です。

相性が悪いと感じる相手との関係改善は簡単ではありませんが、相手の視点や要望・不満などを理解し、真摯に対応を続けるしかありません。

上司や同僚との人間関係

職場での人間関係は、仕事としてコミュニケーションが取れることが重要です。業務上必要な情報の的確なやりとりができること、仕事上信頼関係があること、職務上必要なことは相談できることなど。

「良好な人間関係」と”仲良しさん”は別の話です。

職務上不要な感情移入やプライベートへの関わりなどは程々にし、ある程度の距離感を保つ方が良好な人間関係を構築しやすくなります。

介護関連は求人が年中溢れいています。短期間での離職も多い職種です。パート勤務も多く、自宅近隣で仕事を探す人も少なくありません。

共通の知人がいたり、近隣の住民が同僚になったり、元同僚が職場にいたり、時期はかぶらなくても同じ職場で働いたことのある人がいたり、、微妙なことも起こりえます。

あくまで、業務遂行にのための「良好な人間関係の構築」と割り切らないと、自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。

入職後は、資格や経験など介護に関することの他、家族や住所などプライベートなことも聞かれるのはよくあります。前職や前職の同僚の悪口や不満・非難は避け、プライベートなことは相手との会話が成立する程度に曖昧に答えるくらいが安全で身のためです。

曖昧な返事と嘘は別物です。
嘘は後々面倒になることもありますが、曖昧な返事は曖昧なだけなので、後から困るようなことにはなりにくいです。

業務量への不安と対処法

介護の職場では、介助以外にも様々な種類の業務があります。タイムスケジュールに合わせて、次々業務があるのに加え、利用者ごとに異なる対応を求められることもあります。

1日の業務の流れと作業は別に覚える

介護職は覚える仕事が多い、仕事が覚えきれないなどの不安や不満を見かけますが、実際に覚える仕事量は多いです。

1日の業務の流れと個別の作業は別ものとして、それぞれ覚えるのがコツです。

1日の業務の流れは、施設ごとに決まっています。大枠で、この時間帯ににすること、優先順位注意事項などをザクっと頭にいれておきます。

個別の作業は、多くの施設では作業マニュアル/手引書がありません。すべて作業をしながら口頭で説明を受けつつメモを取るという、昭和的作業で伝達されます。

覚えられないのは自分だけが悪いわけではない
  • 同じ作業でも人によって違いがある
  • 教わった手順や注意事項などに抜け漏れがある
  • 教える側の伝える力に問題がある

などの理由から、教わる側が苦労したり、後日他の先輩からご指摘/ご指導を受けることも珍しくありません。

なお、教わる側の聞く力・理解する力・メモする力によっても、慣れるまでの期間や作業効率に差が出ます。しっかりメモして、わからないことは確認しながら、身につけるしかありません。

優先順位を理解する

介護の現場では、同じ時間帯に複数の作業やケアが重なることがあります。そのため、作業やケアの優先順位を確認しておくことも大切です。

慣れるまでは、1つ1つのことに時間がかかります。全てをこなすことができない場合には、優先順位の高い順からこなす、ヘルプをお願いするなどの対応が必要です。

経験が解決する

業務量の多さも煩雑さも、最終的には経験が解決してくれます。

焦らず、飛ばさず、1つずつを確実にこなしていくしかありません。

入職時には「焦らずゆっくりでもいいから、しっかり覚えて」など言われてますが、1ヶ月も経つと「スピード上げて」「まだ?」「え?」という変な圧がかかります。
「そんなこと言われても…」と思いますが、できる範囲でできることを積み上げるしかありません。

未経験/初めての介護職としての不安と対処法

未経験で初めて介護職に就く場合、介護の知識やスキルが不足しているため、不安を感じてもなんの不思議もありません。

何事も最初は未経験

介護の仕事に関わらず、生きていく上で初めて出会うものは全て「未経験」であり「初めて」のことです。コレばかりはどうしようもないので、気にしても仕方がありません。

面接時にしっかり伝える

面接時に自分の経験や資格を盛らずに伝えることが大切です。

未経験・無資格・研修受講中などを理解した上で雇用している場合には、指導係がついたり、どのように仕事を覚えていくか最初に説明があるはずです。

研修受講・資格取得をする

介護関連の研修を受講し、資格取得をすることで、介護に関する最低限の知識を習得することができます。ただ、研修などで習得した技術や知識がそのまま現場で使えるとも限りません。あくまで、自分のベースを作るくらいのものと捉えておく方がいいです。

最優先は職場で教わる方法

介助などは、職場で教わる方法が最優先です。

職場によって方針や設備、環境が異なるからです。教わった通りにできるように、メモをとり、イメージトレーニングし、復習することが大切です。

一度教わったことでも、不安な時はもう一度教えてもらう方が間違いありません。忙しそうな先輩職員に繰り返し聞くのは躊躇するかもしれませんが、事故やインシデントを起こすよりもずっとマシ。

自己流で変なクセがつくと直すのが大変です。
不安がある時は、聞く方が間違いありません。基本は大事。
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」ではありませんが、体を壊したり、事故やインシデント、クレームにつながる可能性もあります。そのような可能性は、ひとつずつ潰していくのが大事です。

書籍や動画で勉強する

介護関連の動画や書籍は多数ありますので、見ておくのもおすすめです。現場で教わったことの復習としても、書籍や動画が役立ちます。

ただ、初心者・未経験の場合、最初から移乗・排泄・食事・入浴などの介助にまわることはありません。まずは、利用者とコミュニケーションをとり、見守りや歩行介助、車椅子の移動介助などから始まります。歩行介助や車椅子での移動介助などを確認しておくだけでも気が楽になります。

次は移乗や排泄の介助など。入浴や食事の介助は、その先になるかと思います。

移動や移乗介助がわかりやすく解説されています↓

未経験者が介護書に慣れるまでどれくらいかかるのか

未経験や初心者が介護職についた場合、慣れるまでには一般に3ヶ月程度かかると言われています。

といっても、常勤/正社員とパートでも違いますし、パートでも週に何日勤務かによっても異なります。また、施設形態や施設の方針によっても異なりますし、なにより個人差があります。

1日でも早く独り立ちしたい場合は、教わったことを復習し、作業も手技も短期間で習得する努力が必要になります。

一方、慣れるのか、できるようになるのか、漠然とした不安を抱えている場合には、時間はかかるものと焦らないに限ります。

週の勤務日数が少ないと、覚えるのも慣れるのも日数がかかりますが、仕方がありません。
私は週2日、5時間のパート勤務。
2ヶ月目にもなると、「もう慣れたよね」「この作業わかりますよね」圧がかかります。でも、ひと月の勤務はたった8回、40時間程度。週5で働いていれば2週間にも満たない時間であることを、先輩職員には忘れられがちです。仕方がありません…
とはいえ、メモし損ねや聞き忘れ、教えられていないこともあるので、わからないものはわかりません。月末や月初の作業などは2〜3ヶ月経ってもたった1~2回。わからなくても仕方がないのです。
「は?」みたいな対応をされることもありますが、負けずにめげずに質問しまくっています。

介護職未経験で仕事が覚えられない!

未経験や介護職初心者は、「仕事が覚えられない!」問題にぶち当たります。

仕事が覚えられない原因は「自分」とは限らない

仕事が覚えられない・覚えにくい主な原因は、

介護の仕事が覚えられない!
  • 作業の種類が多い
  • 短時間の間に作業とケアが混在する
  • 利用者によってケアや注意点が異なる

という、どうにもならない理由もありますが、最も大きな原因がコレ↓

本当の原因はコレ
  • 作業マニュアル/手順書がない

ケアならともかく、作業に関するマニュアルが整備されていないことが介護業界でよくある話です。

お手本を見ながら、指導を受けながらとったメモと記憶が全てですから、覚えるのも大変です。全てをメモで記録できているわけでもありませんし、教える側にも抜け漏れがあったり、伝える力に問題があることもあります。

覚えられない原因は、あなたの能力が低い、あなたの頭/記憶力/理解力が悪いわけではないのです。

細かな作業を、手本を見ながら、説明を聞きながら、メモして、覚えるとか、やり方古すぎです。「昭和かよ…」の世界です。
でも、そいういう業界なので仕方がありません。

自分マニュアルを作ろう!

仕事を覚えられない・覚えにくい原因が職場側にあったとしても、そこに不平不満を募らせたところで解決はしません。

多少面倒でも、自分のメモをベースに自分専用の作業マニュアルノートを作るのがおすすめです。

自分マニュアルノート
  • 作業や項目ごとにページを作る
  • 書き方マイルールをざっくり決める
  • ポイントは箇条書き
  • 図解やイラストも使用
  • 修正/追記用に余白はたっぷり残しておく

記憶が曖昧な作業は見直してから進める、始業前に読み返すなど復習するのが早く仕事を覚えるこコツです。要点がまとまっているので、作業やケアのチェックリストとしても使うことができます。

焦っても解決しません。
時間と経験が解決してくれます。

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