古民家/築古リノベーション〜完全セルフのDIYは無理?重要工程や専門工事・有資格工事や注意点

今まで空き家だった古民家や築古物件で快適に暮らせるようにするには、様々な改修・改装工事が必要です。

DIY〜セルフビルドでできる工事もありますが、必ず”専門業者”に頼むことになる工事(専門工事)や、専門業者に頼んだ方がいい工事もあります。

新築工事、リフォーム工事、リノベーション工事、いずれにおいても関係する専門工事について、簡単にまとめておきます。

目次

古民家リノベーションの重要工程~専門工事とは?

専門工事は、これから暮らしていくために、とても重要なインフラ系の工事に関わるものです。

古民家や築年数の経過した家のリフォーム工事、リノベーション工事の場合は、物件の程度、リフォーム~リノベーションの範囲によって、どの程度の工事が必要か、どの程度費用がかかるのかが変わってきますので、事前に確認しておく必要があります。

専門業者に頼むということは、専門業者でなければ出来ない難しい工事であるために、結構な費用が発生します。

また、専門業者は指定業者/独占企業だったりするので、複数社から見積もりをもらって比較することも出来ません。要は言い値で依頼するしかないのです。

専門工事は、建築家(設計事務所)や工務店などにリフォーム・リノベーションをお願いする場合には、その会社経由で専門業者に発注するのが一般的です。

ただ、依頼内容によっては、業者の作業範囲に入らず手配されていない、依頼主側で別途個別に発注する必要がある場合もあります。作業内容、工程、見積書をよく確認しましょう。

リフォームやリノベーションをするなら、今後のメンテナンスも兼ねて、地元の工務店などに依頼するのが賢明ですが、現在は物件近くの業者を審査してから紹介してくれるサービスもあります。

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難易度高め:基礎工事

古民家や築古物件リノベーションの殆どのケースでは、”基礎”(家の土台)は既存のものを活かします。

その場合は、基礎工事不要ですが、増築・移築する場合は基礎工事が必要です。

再建築不可の物件もありますので増築・移築の場合は、必ず事前にご確認ください。

基礎工事は、正確には専門工事ではありませんセルフビルド/DIYも可能です。

作業的にもかなり大変ですし、なりより建物を支えるための土台となる重要工事です。設計図(基礎図面)を基に専門業者に施工を依頼することをお勧めします。

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難易度高め:屋根工事

古民家や築古物件の屋根工事の考え方

屋根工事も、専門工事ではありませんセルフビルド/DIYも可能です。

ただ、高所での危険作業ですから、手慣れた屋根工事業者に依頼した方が間違いありません

古民家ではその風合いを残す、築古物件では特に雨漏りなどがないなどの理由で、屋根の修繕をしないケースも多いようですが、屋根材は設置から時間が経過するほど耐久性が低下します。

過去によく使われていた和瓦(日本瓦)は、耐久性はありますが、経年劣化によってひび割れなどもあります。どこかのタイミングで修繕や葺き替えをしないと、雨漏りやシロアリの繁殖にもつながります。

屋根材の耐久性

屋根は、屋根材によって耐久性や葺き替え後の手入れが異なります。

スクロールできます
屋根の種類耐用年数価格
@1㎡
メリットデメリット
日本瓦
和瓦
粘土瓦
30~40年9,000~12,000円耐用年数が長い
塗装不要
初期費用が高い
・重いので耐震性が低い
漆喰部分は10年前後を目安に修繕が必要
ガルバリウム鋼板30年程度6,000~9,000円軽量で耐震性が高い
防水性が高い
・さびにくい
・価格はやや安価
約10年おきに塗装が必要
防音性が低い
・キズがつきやすい
・沿岸部など環境によっては錆びる
セメント瓦30~40年
スレート屋根20~25年4,500~8,000円価格が安い
・工事できる業者が多い
・比較的軽い
耐震性が高い
約10年おきに塗装が必要
・割れやすく耐久性が低い
トタン屋根10~20年

瓦を全て取り替え(葺き替え)ると、家の規模にもよりますが200万程度かかります。

大きな家だったり、特殊な瓦を使用すると500~600万以上かかることもあります。

屋根工事の費用を抑える方法

屋根材や傷み具合にもよりますが、費用を抑える方法もあります。

屋根瓦の再利用

状態の良い和瓦/日本瓦は再利用できます。

全てを葺き替える/取り替えるのではなく、再利用することで材料費と廃棄料を抑えることができます。

屋根を葺く工法の違い、瓦の状態にもよりますので、再利用可能かは瓦屋さんや、屋根工事業者に確認が必要です。

屋根材を変える

古民家の場合には、家屋とのバランスもあるので、和瓦/日本瓦を選びたくなりますが、瓦の種類も増えていますし、屋根材の種類も増えています。

地震や台風などの自然災害への備えから、あえて和瓦を使わない選択をする方もいます。

予算やメンテナンスなども含めて、屋根材を選ぶといいでしょう。

補助金・助成金を利用する

屋根リフォームには、補助金や助成金もあります。

省エネリフォームの補助金
太陽光発電パネルの設置や、断熱塗料での屋根塗装、古い屋根のアスベスト除去などで利用可能
・補助率 10%、上限50万円

耐震リフォームの補助金
建物が耐震性能の基準値を下回る場合、屋根を軽くするといった対策をする場合に利用可能
・補助率 80%、上限100万円

補助率や上限額、条件は自治体によっても異なります。
工事前に、役所のホームページや電話などでご確認ください。

屋根は、木造建築の中で最も大事な部分と言われ、見た目は勿論ですが風雨や光をコントロールする重要な役割を担っています。ケチらないほうが賢明です。

費用もかかるため、屋根は案外そのままにしがちですが、災害時には大きなリスクとなります。

少なくとも大きな雨漏り跡がある物件は、絶対に葺き替えるべきです。屋根の具合はどうか、工事をすべきかどうか、必ず専門家に診てもらいましょう。

基本は専門工事:給排水工事

田舎では水道(給水管・排水管)がきていない物件もあります。上下水道を使う場合と、使わない場合でも異なります。

上下水道を使用する場合は専門工事

上水道は繋いであっても、下水の配管がなされていない物件は少なからずあります。そのため、トイレも水洗ではなく、浄化槽、中には汲み取り式の物件もあります。

上下水道をつなぐには、新たに「給水管引込み工事」「屋内配管工事」等を依頼します。それら工事は有資格者の施工もしくは管理が必要となるため、市町村の認可を受けた業者、指定給水装置工事事業者しか出来ません。

つまり、専門工事です。

公設の上下水道につながる水道管の新設および引き直し、撤去など、全て指定業者しか施工してはいけないことになっているので、セルフビルド(DIY)ではできません

水道がきていない古民家物件は、「井戸水」または「湧き水」を利用していたことが考えられます。そのまま使えるケースもありますが、飲料水として利用する場合は、検査することをお勧めします。詳しくはこちら↓

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井戸水・湧き水を使用する場合はDIYも可能

「井戸水」や「湧き水」を生活に利用する場合の配管は、水道水とは別にする必要があります。

水道法第16条で給水管に水道以外の設備と直接接合することは禁止されています。

井戸水を使うための配管工事については、敷地内で且つ別の配管なのでDIYでも可能です。専門技術は勿論ですが、専用の工具が必要となりますので、業者に頼んだ方が無難です。

設置する井戸ポンプの種類や生活用水として使用する場合には、役所への届出申請が必要になることもあります。

設置する井戸ポンプの種類によっては、設置の届出申請と年に一回の揚水量の報告義務が課されることもあります

生活用水として使う場合には、下水道使用の届出申請が必要になることもあります

井戸から、庭や畑で使う水を汲み上げて利用する程度であれば、セルフ/DIYでも可能です。

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専門工事:ガス工事

ガス工事は、全てを専門業者に依頼しなければならない専門工事です。

田舎であれば基本はプロパンガス、地方都市でも古い物件や、アパートなどの集合住宅、中心部から外れた物件であれば、プロパンガスが多いです。

プロパンガスの場合、都市ガスとは異なり家ごとの工事ですから、DIY/セルフでできそうですが、基本的に、ガス機器・ガス設備に関する工事全てがガス工事の対象であり、資格を持った専門業者(地域のプロパンガス屋さん)に頼まなければなりません

ガス工事の具体例

  • ガス設備の新設・修理・交換
  • ガス栓/ガスコンセントの増設
    ・ガス栓がない部屋でガスコンロやガスファンヒーター等を使用する場合など
  • ガス管・ガス栓/ガスコンセントの移動
    ・リフォームなどでのガス管のルート変更、ガス栓の取り外しや取り付け
  • 古くなったガス栓/ガスコンセント、ガス管の交換
  • ガスメーターの増設
  • プロパンガスと都市ガスとの切り替え工事

国家資格のない一般人が自分で交換していいのは、既存のガス栓に接続するテーブルタイプのガスコンロや、ガスファンヒーターの設置・交換程度です。

ガス給湯器の交換も、ビルトインタイプのガスコンロの交換も、DIYは違法。専門業者に頼まなければなりません。

なお、配管設置など工事費用は無料です。ただし、サービスではなく、今後使い続けるガス代での相殺が前提です。

短期間でガス契約を解約すると、配管工事の分を請求されることもあります。契約書に記載されています。必ずご確認ください。

町には必ず何軒かのプロパンガス屋さんがありますが、地域によってはテリトリーがある場合もあります。地域の人に確認すると間違いありません。

家庭用石油給湯器の場合には、DIY/セルフで取り付け可能です。

要資格工事:電気工事

電気が通っていない土地に電気を引き込む場合は、一番近くにある電柱からの距離で費用が決まります。この工事は管轄の電力会社にお願いすることになります。

無資格者の電気工事DIYは違法

ブレーカーの取り付け・交換、電気配線、コンセントの設置・交換、エアコン取り付け・交換などは、専門の資格を持つ人に頼まなければなりません無資格者がDIYするのは違法です。

ただし、資格が必要ですが、専門業者である必要もありません第二種電気工事士の有資格者であれば、工事ができます。友人・知人に有資格者がいれば個人的に頼むことも可能です。

資格取得でDIY可能

時間的に余裕があり、今後はDIYで作業したい方は、第二種電気工事士の資格取得するのもオススメです。

試験用の勉強は、実際に役立つ内容ですし、4万円程度で取得可能で、取得後は自分の家の工事はDIYできるのですから、費用対効果もかなり高いです。
※受験料約1万円、独学用テキスト5千円程度、技能テスト練習キット2万円程度から

第二種電気工事士の資格取得方法
◉ 受験資格:特になし
◉ 試験は年2回
・上期:学科試験 5月、技能試験 7月
・下期:学科試験 10月、技能試験 12月
◉合格率:学科試験 約60%、技能試験 約70%
◉ 受験料:インターネット申込み 9,300円
◉ 主管:(一財)電気技術者試験センター

2024年の第二種電気工事士 試験日程】↓

スクロールできます
上期下期
受付期間2024/3/18〜4/122024/8/19〜9/5
学科試験
CBT方式
2024/4/22〜5/92024/9/20〜10/7
学科試験
筆記方式
2024/5/262024/10/27
技能試験2024/7/20 or 212024/12/14 or 15
受験手数料9,300円9,300円

学科試験は、オンラインで受験できるCBT方式と、会場で受ける筆記試験と選べます

古民家/築古物件 電気工事の注意点

古民家だと布で巻かれた細い配線が使われていることもあります。

築古物件だと、現在仕様だったりしますが、配線自体が古くなっていたり、前の所有者のDIYによる追加配線(違法ですが珍しくはありません)などで、ゴチャゴチャになっていたりもします。

今後の安全性や快適性を保つためにも、配線工事は一式やり直しておくことを強くオススメします。

それと、案外盲点なのはテレビのアンテナです。

過去に私が移住した家では、地上波が入りませんでした。あきらめてBSしか観ないようにしました。正確に言えば、BSしか観られませんでした。

地上波放送を見るためには、アンテナを家から離れた場所に支柱を立て設置するなど、別途工事が必要になることもあります。もちろん、テレビを見なければ不要です。

電波の入り具合などは、電気工事の前に確認してもらうと無駄がありません。

BSしか観られなくても、NHKには地上波+BS視聴料は支払わなければなりません。地上波が見られないからといって、その割引などは一切ありません。

古民家/築古リノベーションは完全DIY/セルフは難しい

古民家/築古をセルフリノベーション・リフォームしようとすると、完全にDIYできそうな雰囲気の動画などがありますが、そんなことはありません。

暮らしに必要不可欠な工事、インフラに関するものは、専門業者や有資格者に頼まなければならないこともあります。

もちろん、そのあたりの工事が不要な物件、あるいは不要なライフスタイルで暮らすのであれば、完全DIYも可能です。

外装・内容・住宅設備のDIYに気を取られていると、必要な工事の発注漏れなどがあり、工事の遅れや無駄な作業・費用が発生することもありますので、くれぐれもご注意ください。

なお、インフラに関する工事は、多少費用がかかっても、初期に行うのが一番安上がりです。基本インフラに難があると住み心地が悪くなります。必要に応じて、後から工事しようとすると、余計な時間も費用も発生します。

田舎暮らし、古民家/築古物件でも、現代的な快適な生活を望むのであれば、事前によく確認し、工事をするかどうか判断してください。

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