古民家暮らしをするならば「井戸」のある物件は魅力です。
地方には「井戸」が残っている物件も少なくありませんが、大半は長い間放置されたままの状態でそのままでは使えません。
「井戸」があるということは、その地にはきれいな地下水がある/あった証。飲み水として、洗い物に、畑の水やりに、そして防火用として、是非復活・再生させましょう。
古井戸の復活・再生方法を解説します。
古い井戸を復活させる方法
井戸の水は地下水です。
地下水は長い年月をかけて地層を通過し、自然にろ過された水。水道水とは違い、薬品などを使用していない天然のピュアウォーターなのでミネラル成分が豊富に含まれています。
無論、成分は検査しなければわかりません。水質検査方法については後述します。
「深井戸」と呼ばれる水面までの距離が7mを超える深さにある井戸の水は、そのまま飲み水にできるレベルの良い水質である確率が高いです。
一方、周辺環境の影響を比較的受けやすい「浅井戸」の水は、飲み水以外の生活用水としての利用が望ましいとされています。
井戸水のメリット
古井戸を復活させるには、多少の手間がかかりますが、手間に値する以上のメリットがあります。
- 枯渇しなければ永遠に使える!
- いくら使っても無料!
- 洗車や水撒きに最適!
- 植物がよく育つ 畑に最適!
- ご飯が美味しく炊ける!
- お茶やコーヒーが美味しい!
- 夏冷たく、冬温かい!
- 災害時の緊急生活用水になる! etc.
井戸がある物件はラッキーです。
井戸があることを条件に物件探しをする人も少なくありません。そのくらい井戸は価値あるものです。
私たちが暮らしていた古民家でも古井戸を復活させ、利用していました。畑の水撒き、畑の用具の洗浄などには、重宝しました。
水質検査もクリアしていたので、お茶やコーヒー、調理用としても使用。本当に美味しくなります!
古い井戸の再生の手順
井戸の中を確認する
先ずは再生できるかどうか、井戸の中を確認する必要があります。
長年放置された古井戸なのでちょっと怖い、、、ということで事前に「お祓い」をする人もいるようです。
勇気を出して覗いてみましょう。
蓋がしてあると思いますので、蓋を外し覗き込んでみましょう。
その際の注意点を記します。
水の存在は確認できましたか?
見えにくかったりする場合は、小石などを投げ入れてみましょう。
水の存在が確認できたらそれは地下水ですので、有り難く有効に活用にしましょう。
井戸の水質を検査する
水が存在していても、それが飲み水に適するかどうかはわかりません。
たとえ「深井戸」であっても、専門機関で水質検査することをオススメします。
意外と簡単、意外と安い、意外と早いので、我が家の井戸水は毎年検査していました。
【水質検査の手順】
- 専門の検査機関に申し込む
※ 事前入金と、検査終了後の振込の機関とあります - 検査キットが送られてくる
- 添付の説明書の手順に従ってサンプル(井戸水)を採取
- 採取したサンプル(井戸水)を検査機関に送る
- 数日〜1週間程度で報告書が届く
簡単です。
料金は、機関や検査項目によって異なりますが、飲用井戸等衛生対策要領に基づく11項目検査であれば、1万円前後くらいでできます。
代表的な検査機関の公式リンクを記します。
どこに依頼しても検査結果に大差はありません。同じです。申し込みやすいところを選びましょう。
>水質検査.com
>環境未来web
>日吉オンライン検査web
自分で判定できるキットもあります。
カラーチャートで自分で判断するため、自宅で瞬時に安価で簡単に検査できます。
もし井戸が枯渇していたら
井戸水は季節や気候などによって、その量は変わります。
それとは別途、震災などの影響で周辺の地形変動等があり、地下水脈が変わってしまうことで、水質が悪くなったり、十分な水量を得られなくなった「井戸」もあります。
豪雨の影響で、地下水脈が変わったのか、井戸水の水量が減ることもあります。
私たちの使っていた井戸は、豪雨のあと水量がすっかり減りました。使い放題だったのが、「溜め井戸」状態に。
近隣で小さな土砂崩れが多発したほどの豪雨だったので、水脈に変化があったようです。
水量が減った場合には、再掘削するなどあらたに水脈を探ることも可能です。井戸の専門業者に相談してみてください。
また、蓋がされていない古井戸の場合は、雨水や枯葉などゴミ等が溜まっていますのでそのまま使うのは無理です。掃除して再生させる方法もありますので、こちらも井戸の専門業者に相談してみてください。
近くの井戸の専門業者はこちらで検索すると便利です。
> Zehitomo
古民家リノベーション時の水道工事については下記の記事を参照ください。↓
井戸のポンプの設置方法
古井戸に手押しポンプが残っていて使えれば超ラッキーです。
ビンテージの手押しポンプ自体が貴重、骨董品なのです。
基本は電動ポンプ
実用的には、手押しポンプだと使い道が限られてしまうので、電動ポンプを併設しましょう。
電動ポンプでくみ上げ、配管して蛇口から使えるようにすれば、水道と同じように家のキッチンやトイレで井戸水を利用できるようにもなります。
但し、当たり前ですが、電動ポンプは停電時には利用できません。
災害時には断水することがあり(断水が一番ツライ)、その時に「井戸」があるととても助かるのですが、電動ポンプは停電だと使えません。
井戸に水があっても使うことが出来ないのです。何の役に立ちません。
東日本大震災以降、井戸を再生したりあらたに設置する家が増えました。その頃から、電動ポンプにソーラー電源など自家発電装置を備えるか、手押しポンプを併設する井戸が定番となっています。
井戸ポンプの選び方
井戸ポンプを選ぶ時に、まず確認が必要なのが井戸の深さです。
井戸の深さ、つまり掘られた穴の深さによって、使用できる井戸ポンプの種類が異なります。
【井戸ポンプの種類】
◉ 井戸の深さが8〜9m以下の場合:浅井戸ポンプ
手押しポンプや電動ポンプ
◉ 井戸の深さが10m以上の場合:深井戸ポンプ
ジェット式や水中式の電動ポンプ
井戸ポンプがすでに設置してあり、交換するのであれば、既設のポンプの型番などから仕様を確認し、交換用のポンプを簡単に選ぶことができます。
井戸があるけど、ポンプがない! その場合には、新設となりますが、こちらは結構大変です。
【井戸ポンプを新設する際の代表的な確認事項】
- 井戸の深さの確認
- 電源の有無、ない場合には確保方法
- 井戸ポンプ設置や下水道使用に伴う許認可確認
これを確認後、どのような井戸ポンプが適しているのかを検討し、井戸ポンプ本体以外の必要な部材の確認・用意、必要な届出などが続きます。
井戸ポンプは自分で設置・交換できるのか
井戸ポンプがすでに設置してあり、交換するだけであれば、自分でもできます。
井戸があっても、井戸ポンプを新規に設置する場合には、業者もしくは設置したことのある詳しい人にお願いするのが、無難です。
私たちが設置した井戸ポンプも、畑とDIYの師匠に依頼しました。何度か井戸ポンプの新設を経験した方とはいえ、専門業者ではありません。1〜2度のエラーや部材交換はありましたが、無事使えるようになりました。
自力では、無理だったかもしれません。
「想定外」というよりも、井戸の中が見えませんので、想定しようもないことが起こります。
DIYがお好きな方、得意な方ならできるかもしれません。
おすすめの井戸設置業者
井戸ポンプやその他設備も充実。設置方法はもちろん、井戸に関する様々な知識も学べるサイトをご紹介します。
こちらの会社(シップスレインワールド株式会社)は、「地下水」や「雨水」そして「太陽光」を有効に利用するための設備や施工の専門会社です。
取り付け工事については、東京、神奈川、千葉、埼玉が可能地域だそうですが、「その他の地域でもお気軽にご相談ください。」とのことですので、先ずは問い合わせてみてください。
井戸ポンプ設置費用の相場は?
近年は、井戸ポンプの工事などを請け負う業者が増えたこともあり、交換費用5万程度からあるようです。井戸ポンプ代別途ですが、浅井戸であれば10万もかからないかもしれません。
井戸ポンプの新規設置の場合には、相場というものはありません。
井戸の深さ、状態、電源の位置によっても、万単位で変わってきます。数社に見積もりを取るしかありません。
ただ、新たに井戸を掘るわけでなければ、100万とかかかるわけではありませんので、ご安心を。
私の知人は、井戸ポンプ本体+電源工事込みで30万程度でした。