柿渋やベンガラで壁を塗る方法〜初心者DIYやリフォーム・セルフリノベーションのコツや基礎知識

古民家や築古物件などの改修やリノベーションで、壁や床を板張りにしたら、オススメなのが柿渋やベンガラでの塗装。

珪藻土や土壁、漆喰などとは異なり、初心者でも簡単に塗ることができますし、そもそもこの工程は楽しいので、ぜひご自身でDIYしてみてください。

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目次

「柿渋」「ベンガラ」の特徴・メリット・デメリット

古民家や築年数の経過した家では、屋内の壁や床の塗装にオススメな塗料が「柿渋」「ベンガラ」。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを簡単にまとめておきます。

「柿渋」「ベンガラ」とは

柿渋とは
渋柿の青い果実からしぼりとった液。赤褐色で、防腐・防水剤として紙・木などに塗る。また、その色。

コトバンク

ベンガラとは
《インドのベンガル地方で産出したところから》赤色顔料の一。主成分は酸化鉄(Ⅲ)で、着色力が強い。塗料・油絵の具や、ガラス・金属の研磨剤などに用いる。また、その色。べにがら。「弁柄」「紅殻」とも書く。

コトバンク

「柿渋」「ベンガラ」の特徴

柿渋・ベンガラのいずれも古くから使われてきた天然塗料です。落ち着きのある味わい深い雰囲気に仕上がります。

そして何よりも、身体に有害な化学物質は一切含まれていないので、シックハウス症候群などの心配はありません

耐候性・耐久性にも優れ、防虫・防腐効果も高い優れものの塗料です。

その性能をより高めるために「柿渋」と「ベンガラ」を混ぜて使用するのがオススメです。

「柿渋」「ベンガラ」のメリット1. 劣化しにくい

「柿渋」「ベンガラ」のメリットは、劣化しにくいことです。

顔料には大きく「有機顔料」と「無機顔料」の2種類があります。

有機顔料というのは、石油などから構成される合成顔料で、無機顔料天然の鉱石や金属の化学反応によって得られる酸化物などから作られる顔料です。

「柿渋」や「ベンガラ」は無機顔料です。

紫外線に強く耐候性、耐久性に優れているという特徴を持っています。

酸化鉄が主成分であることから、化学的な変化が起こりにくいだけでなく、紫外線や温度によって変化、変質しにくい塗料なのです。

また、「柿渋」や「ベンガラ」には、防虫・防腐効果もあります。

「柿渋」「ベンガラ」のメリット2. 身体に優しい

「柿渋」や「ベンガラ」は無機顔料で、作業時や作業後に負担がかかるようなことのない、身体にも地球にも優しい塗料です。

化学物質が含まれていないので、シックハウス症候群などの心配もありません。

塗料によっては、ほぼ無臭のものも珍しくありません。塗装後、後片付けの換気程度で、そのままその部屋を使うことができます。

本来、柿渋には独特の臭気(要はクサイ)がありますが、処理によって「無臭」化された製品がたくさんあります。購入時に「無臭」かどうかは、よくご確認ください。

「柿渋」「ベンガラ」のメリット3. 自然素材ならではの風合い

古来建築物の塗料として重用され今に伝わる「柿渋」「ベンガラ」は、落ち着きのある優しい風合いに仕上がります。

塗り重ね方、紫外線、時間の経過とともに、色合いも変化します。

同じ塗料で、同じ家の壁や床を塗っても、部屋によって、場所によって、木材等の素材によっても、色合いが異なるのです。同じものがない、唯一の仕上がりになります。

なお、何年か毎に塗り直すことで、耐候性・耐久性、そして、防虫・防腐効果が維持できます。毎年なさる方もいらっしゃるようですが、数年毎でも十分です。

時間をおき、塗り重ねることで、また風合いが変わっていきます。その変化さえも楽しめるのも、「柿渋」「ベンガラ」の特徴です。

「柿渋」「ベンガラ」のデメリット

ベンガラは、基本的に粉末顔料です。

柿渋に少量混ぜれば、一度の塗りでも強く発色するので作業の手間が減ります。

ただ、粉を混ぜる場合には、計量しないと同じ色を作れない、飛び散らかることもある、少量ずつしか混ぜられない、一度に大量のブレンドはできないなどの手間があります。

これも塗装用に液体化されたベンガラ塗料であれば、扱いやすくなります。ベンガラの色合いでバリエーションがあるのですが、ちょっとわかりにくいのと、割高なのが難点。↓

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「柿渋」「ベンガラ」のデメリットは、色を選べないことです。

「柿渋」は茶系、「ベンガラ」は基本は赤錆色です。その2つを混ぜると「赤茶色」になります。

それぞれの配分(配合)によって色の濃度が変わってきますが、いずれにせよ鮮やかな色ではありません。渋い色です。

左ベンガラ|中無塗装(杉の無垢材)|右柿渋

「柿渋」と「ベンガラ」、混ぜる毎に色が変わります。いくら分量を測っても全く同じ色は作れません。そのため、色の違いが気になる方は、必要十分な量をあらかじめブレンドしておく必要があります。

割高にはなりますが、液体化されたベンガラ塗料を使用した方が、粉末よりも調整しやすいです。

しかも、柿渋は塗布後1週間程度で発色してくるため、塗料そのものの色味や、塗った直後では、どの程度になるのかわからないのです。

色ムラなどが気になる方は「柿渋」オンリーまたは「ベンガラ」オンリーで塗ることをオススメします。

柿渋はこちら↓がオススメ。

パック入りなので、保存に便利です。開封後は、容器の空気をできるだけ抜いて保存しましょう。

ボトルタイプの場合、開封後時間が経つとドロドロになり、塗りにくくなることもあります。短期間で使い切るなら、ボトルタイプでも問題ないでしょう。

「柿渋」「ベンガラ」を壁・床に塗るのに必要な道具

柿渋もベンガラも、「塗る」作業は簡単です。

  • 柿渋やベンガラ
  • ハケ or ローラー
  • ペイントトレイ or プラスチックなどの小さめのプラスチック製バケツ
  • 養生:ビニルシート、養生テープ、マスキングテープ、新聞紙など
  • 作業着:軍手 or ビニル手袋、エプロンなど

塗料は一度つくと落ちませんので、塗布したくない箇所はきっちりシートやテープで養生しましょう。どんなに気をつけていても、はみ出すし、飛びはねもあります。。

衣類も、一度ついたら落ちません。汚れてもいい服装で作業しましょう。

床であれば、ペイントトレイ+ローラーが楽ですが、壁はハケでもローラーでも構いません。塗布面の広さや作業のしやすさで選べばいいでしょう。

柿渋は、製品にもよりますが、原液そのままでも、2倍程度に薄めてから塗布しても構いません。
水で薄めると発色も弱くなるので、塗布する回数が増えますが、塗りムラがでにくくなるので、作業は気楽です。

ダラダラ垂れるほどたっぷりつけずに、サラッと薄く塗っていくのがコツです。

ハケやローラーは使用後すぐにきれい水洗いして、乾燥させれば、再使用できます。ただ、洗い方が悪いと固まって使いにくくなります。

100円ショップでも購入できますので、使い捨てと思って作業するのがオススメです。

漆喰や珪藻土を塗布するよりも、ずっと簡単です。道具による差はあまりないように思います。気楽にできるのも、柿渋のいいところです。

「柿渋」「ベンガラ」をで床・壁を塗る時のコツ

「柿渋」に「ベンガラ」、とても優秀な塗料です。

家そのものにも、人にも優しい昔ながらの塗料です。

塗るのも簡単ですが、コツをザザッとまとめておきます。

  • ハケやローラーでササっと薄く塗る
    → ダラダラ垂れてくるほどの量を一度に塗らない
  • 完全に乾く前に重ね塗りしても構わない
    → 表面は乾いてから塗布する
  • 赤みを残したいなら3回程度、濃い色にしたいなら5回程度の重ね塗りは必要
    → 素材や塗布量によっても異なるため、好みによってさらに塗り重ねる
  • 塗布後2週間程度様子を見る
    → 発色するまで数日〜2週間程度かかる
  • 時間の経過による色の変化も楽しむ

柿渋は、塗料としての性質上、何度か塗り重ねる必要がありますが、完全に乾く前に塗り重ねることもできます。塗る面積にもよりますが、同日中に2〜3回塗ることも可能です。

重ね塗りは表面がしっかり乾いてからにします

ただし、塗布した時の色が仕上がりの色ではないことを忘れずに。

発色するのに1〜2週間程度かかることもあります。
木材の種類によっても、発色が異なります。

季節や天候にもよりますが、数日から1〜2週間程度で発色し、赤みが強くなってきます。同日に塗布した面でも、陽(紫外線)のあたり方で発色も異なります

可能であれば、最初は数回塗布したら、2週間〜1ヶ月程度様子を見ることをオススメします。より色を濃く、暗い色に仕上げたいと思ったら、また塗り重ねればいいのですから。

床の色を濃いめに仕上げたい場合には、4〜5回は塗布しても大丈夫でしょう。壁の場合は、2〜3回だと少し赤みがかった色に仕上がります。

風合いは好みの問題ですから、何度塗布するかの正解はありません

せっかくの天然塗料なのですから、時間による変化そのものも楽しみ、その後塗り重ねることで変化する色合いやその工程も楽しんでみてください

柿渋は紫外線に反応するので、同じ室内でも陽のあたりやすい場所と当たりにく場所では色合いが変わってきます。

天然塗料「柿渋」「ベンガラ」は、古民家や築年数の経過した家にはよく似合いますが、新築の家で使われる方も少なからずいらっしゃるようです。壁・床だけでなく、柱、天井、家具などにも使用できます

もちろん、布も染められます。活用範囲も広く楽しめます。

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