散骨の疑問が丸わかり〜違法性・散骨方法/場所/費用相場・道徳観・以後の法要や供養のあり方・ペット散骨・注意点などを徹底解説

海洋散骨をはじめとした、散骨について違法性や手続き、環境への配慮、散骨後の法要、ペットの散骨なども確認したので記しておきます。情報は、2024年8月現在、今後法改正があれば記事も更新します。

かなり文字数があります。下記の目次↓から、ジャンプできます

目次

散骨とは〜埋葬・納骨の違い

散骨とは?

散骨は、故人の焼骨を粉末状にし、自然の中に撒く葬送方法です。従来の埋葬や納骨とは異なり、特定の場所に遺骨を固定せず、自然に還すという考え方に基づいています。

散骨の歴史は古く、世界各地で様々な形で行われてきました。日本では、奈良時代には庶民の間では散骨が行われていたようですが、平安時代には淳和天皇が散骨の記録があります。天皇が逝去されると山陵を築いていた時代には異例のことでした。

江戸時代、「檀家制度」が強化されたことで、お寺にお墓を作るようになり、散骨は行われなくなります。

現代になると「墓地、埋葬等に関する法律」により、遺骨を墓地以外に埋葬してはいけないと定められましたが、これはあくまで「埋葬」のこと。散骨に関する法規制はありません

散骨・納骨・埋葬の違い

散骨・納骨・埋葬の違いを整理しておきます。

散骨・納骨・埋葬の違い、法律用語としての埋蔵、焼骨を収蔵
散骨・納骨・埋葬の違い
  • 散骨粉末状にした遺骨を、海や山などの自然界に撒く方法
  • 納骨骨壷などに入れた遺骨を、お墓や納骨堂に安置する方法
  • 埋葬遺体や遺骨を土中に埋める方法

日本の『墓地、埋葬等に関する法律』(墓地埋葬法/墓埋法)では、埋葬」は主に土葬(遺体を直接土中に埋める)を指します。

火葬後の遺骨を土中に埋めることも広義の「埋葬」に含まれますが、「埋蔵」と表現されることがあります。

墓石の下のカロート(納骨室)に安置するのは、一般的に「納骨」と呼ばれています。墓地埋葬法では「焼骨を収蔵」。

ややこしいですが、言葉の定義や条文での表現を区別しておかないと、勘違いしやすくなります。

散骨の法的側面〜墓地埋葬法や刑法(死体損壊罪・死体遺棄罪)

「散骨は違法」と考える人も少なくないようです。

日本では、墓地埋葬法によって葬送に関する規制が定められていますが、散骨に関する明確な規定は存在しません。供養の目的で節度を持って行う分には問題ないとされています。

これは散骨が完全に自由であることを意味するわけではありません。不適切な方法で行えば、罪に問われる可能性があります。

散骨や粉骨の違法性 墓地埋葬法、刑法遺骨等遺棄

墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)での違法性

墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)』では、埋葬や焼骨の埋蔵の定めはありますが、散骨を禁止するような条文や規定はありません。

墓地、埋葬等に関する法律 第4条
埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。

墓地、埋葬等に関する法律 e-Gov

「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とは、遺体や遺骨を「墓地」として認められた場所で土中に埋めるのは禁止ということ。

土中に埋めず、地表や海洋への散骨は、埋葬にも埋蔵にもあたりません。

また、厚生労働省から『散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)』が出ていますので、厚労省も散骨を認めています。
散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)

厚労省『散骨』の定義

散骨
墓埋法に基づき適法に火葬された後、その焼骨を粉状に砕き、墓埋法が想定する埋蔵又は収蔵以外の方法で、陸地又は水面に散布し、又は投下する行為

・自治体の条例で禁止された区域ではできません。条例に違反すれば罰金が課されることもあります。
・他人の所有地での無断散骨は避けるべきです。

刑法 死体損壊罪での違法性

刑法第190条の「死体損壊等罪」では、遺骨を損壊したり、遺棄したり、領得したりした場合、3年以下の懲役刑が科せられます。

刑法 第190条(死体損壊等)
体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

刑法 e-Gov

粉骨は、形式的には「死体損壊」に該当します。

ただ、散骨や自宅供養、分骨など供養目的として行われる焼骨の粉骨に関しては、節度をもって行う限り、刑法第35条の「正当行為」にあたり死体損壊罪が成立しない、とされます。

また、先の厚労省のガイドラインでも、散骨の際には粉骨するとされています。

焼骨の形状
焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。

散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)

なお、火葬も故人の体の損壊であり、火葬後に骨壷に収めるために一部粉骨しますが、これも「死体損壊等罪」にはあたりません。『墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)』でも火葬は認められていますし、『刑法』で認める 業務上の「正当行為」だからです。

1991年法務省刑事局が葬送を目的として、個人が節度をもって実施する分には遺棄罪にはならないとの見解を示したとされてています。これは見解であり、非公式のものです。

刑法 遺骨遺棄罪での違法性

刑法第190条の「死体損壊等罪」では、遺骨の遺棄でも3年以下の懲役刑が科せられます。

ただ、遺族や祭祀継承者など遺骨を処分する権限がある人が、葬送を目的として節度をもって散骨することは、遺骨遺棄罪には該当しないと解釈されています。

法に触れない「節度をもって」の範囲とは?

一般に、「節度をもって」の範囲は次のように考えられます。

「節度を持って散骨する」の節度の範囲

遺骨とわかる形で散骨しない

散骨に関わる法律はありませんが、先の厚労省のガイドラインでも、「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。」とされています。

粉状がどの程度の粒度を指すのかの規定はありませんが、散骨業者間では2mm以下が一般的です。

日本国内では、欧米諸国の散骨ルールに従って「一片2mm以下まで粉骨する」というのが定着

和光葬儀社

遺骨とわかる状態で撒いた場合、刑法190条の死体等遺棄罪に問われる可能性があります。

粉末にしたとしても、大人の1体の焼骨は2kg程度あります。

2kgの砂糖・塩・小麦粉などを想像してみてください。結構な量(嵩)があることがわかります。

自分の家の庭であれば構いませんが、山などで2kgほどの白っぽい粉がこんもりしていたら、驚きます。散骨は、遺骨を散布することです。遺骨であるとわからないように、広く散布することも周囲への配慮です。

他人が所有する土地に無断で散骨しない

他人の所有する土地に了承なく散骨すると、散骨方法や散骨場所によってはトラブルの原因となります。

焼骨は衛生面では問題ないとされていますが、感情的に嫌悪感を持つ人もいます。
他人の土地に散骨が及んだ場合、その土地の所有者や隣接地所有者が社会通念上受忍すべき限度を超えた不快感を強いられたり、海産物や農産物への風評被害が生じると、慰謝料請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。

自然環境へ配慮する

漁場や養殖場・海水浴場の近くの沿岸、川や湖などの水源では、散骨できません

散骨時には、プラスチック、ビニール等を原材料とする副葬品等の投下など、自然環境へ悪影響を及ぼす行為も認められません

葬送の目的を持って行う

散骨には、特別な儀式はありませんが、葬送の目的を持って行う必要があります。

いらない/邪魔だから捨てる、といった感覚では、遺骨遺棄や不法投棄と変わりません。

自治体の条例に違反すると懲役や罰金の可能性も

市町村によって、散骨に関する条例が設けられていることもあります。

散骨が原則禁止、散骨場の設置規制、散骨場所の規制など、条例によって内容は異なります。

違反には、「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」が科されることもありますし、供養方法としても穏やかではありません。散骨を予定している自治体への事前確認は必要です。

散骨原則禁止
  • 北海道長沼町
  • 北海道岩見沢市
  • 埼玉県秩父市 ※個人の散骨も対象
  • 宮城県松島町 
散骨の規制
  • 北海道岩見沢市
  • 北海道七飯町
  • 宮城県松島町 
  • 埼玉県本庄市
  • 千葉県館山市
  • 神奈川県鎌倉市
  • 神奈川県逗子市
  • 神奈川県湯河原町
  • 神奈川県箱根町
  • 長野県諏訪市
  • 静岡県御殿場市
  • 静岡県熱海市
  • 静岡県伊東市
  • 静岡県三島市
  • 愛媛県愛南町
  • 鹿児島県伊佐市
  • 熊本県南阿蘇村
  • 沖縄県宮古島市

散骨の許可申請手続きやルール

個人で散骨する際の、自治体への許可申請や改葬許可証の必要性の有無

散骨の許可申請手続き

火葬には必要な手続きがありますが、散骨するには、自治体への許可申請などは必要ありません

火葬の手続き

火葬を行うには、故人が住民票登録をしている自治体に「死亡届」「死亡診断書」「火葬許可申請書」を提出して火葬許可証を取得する必要があります。

散骨に関する条例が定められている自治体もあります。散骨予定の自治体に必ず確認しましょう。

散骨業者・粉骨業者への申込に必要書類

散骨や粉骨を請け負う業者には、それぞれ申し込みに必要な書類があります。

業者への必要書類
  • 各社指定の申込書
  • 申込者の本人確認書類
  • 故人の埋葬証明書 など

※火葬し骨あげが完了すると、火葬場が「埋葬証明書」等を発行します。
一般的に、自治体から発行された「火葬許可証」に火葬済印が押され返却されたものが「埋葬証明書」等にあたります。

改葬許可証の必要性の有無

寺院や霊園等の墓地や納骨堂に納骨した遺骨を、別のお墓や納骨堂に移動することを「改葬」といいます。

改装するには、自治体に改葬許可を申請し、改葬許可証を発行してもらう必要があります。

一方で、今のお墓を「墓じまい」するなどで、山林散骨や海洋散骨をする場合には、基本的に改葬許可証は不要です。散骨は改葬(別のお墓や納骨堂への移動)ではないからです。

寺院や霊園、納骨堂などに事情を話せば、改葬許可証がなくても遺骨を取り出すことは基本的には可能なのです。

寺院が、改装許可証を要求する場合には「自宅供養」などを理由とし改葬許可を申請し、許可証を発行してもらいましょう。

火葬後、納骨せず自宅安置(自宅供養)し、手元にある遺骨を散骨する場合には、改葬にあたりません。改葬許可証の申請も不要です。

散骨のルールや基本的な考え方

2024年現在、散骨に関する法律はありませんので、定められたルールなどもありません。

厚労省のガイドラインや、散骨業者が「散骨方法」や「散骨のルール」などとしているものに準じるといいでしょう。
散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)

散骨をする際の基本的な考え方やルール

条例を確認し、葬送の目的を持って行う

事前に散骨するエリアの自治体の条例はよく確認し、葬送の目的を持って行うことが大切です。

遺骨は2mm以内のパウダー状に粉骨する

厚労省の散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)では、焼骨とわからない程度の粉状に砕くよう記されています。

焼骨の形状
焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。

散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)

大きさの規定はありませんが、欧米諸国の散骨ルールに従い2mm以下にするのが一般的で、国内の散骨業者もそれに倣っています。

遺骨とわかる状態で撒いた場合、刑法190条の死体等遺棄罪に問われる可能性があります。

粉骨は自分でもできますが、業者に任せると遺物除去や殺菌もしてもらえるので手間なしです。

粉骨業者
画像引用:ミキワの散骨葬

\粉骨だけでもOK! 全国から受付/

「ミキワの改葬散骨葬」では、粉骨(洗浄・乾燥・粉骨)だけ依頼することも可能です。
無料引き取りのエリア外の場合、追加料金で引き取りをしてもらうか、発送で対応してもらえます。
時間はかかりますが、粉骨への立ち合いも可能です。

遺骨の遺物は取り除く

遺骨には、故人の眼鏡や入れ歯などの金属類などの遺物や、棺桶の釘やタッカー針などが混入していることもあります。火葬場で骨壷に収める際に取り除きますが、全てを取り除けるわけではありません。

自然界に悪影響を及ぼすものもあるため、異物は取り除いてから散骨します。

粉骨した遺骨は水溶性の袋に入れる(海洋散骨の場合)

海洋散骨であれば水溶性の袋に入れます。水溶性の袋であれば、そのまま海に沈めることができます。

庭や山林への散骨であれば、散布だけになりますので、袋の指定はありません。

自然環境へ配慮する

散骨時には、プラスチック、ビニール等を原材料とする副葬品等の投下など、自然環境へ悪影響を及ぼす行為は認められません

献花する場合には、セロハン包装、リボンなどの装飾、アルミホイル、輪ゴムなどは外します。海洋散骨の場合には、レイや花輪も避け、バラバラにした花びらだけを撒くのが一般的です。

献酒は構いませんが、お菓子などの食べ物やお供え物も控えます。

散骨では喪服を着用しないのが一般的

散骨の際には、周辺住民などへの配慮から喪服を着用しないのが一般的です。基本的に服装は自由ですが、動きやすく節度ある服装が望ましいでしょう。

海洋散骨であれば、ライフジャケットの着用が必要になります。服装は散骨業者に確認することをオススメします。

散骨する場所はよく考えて選ぶ

基本的には好きな場所で散骨できますが、散骨が禁止されているエリア(河川や湖沼、海岸近くなど)、他人の畑や養殖場などの近くは散骨できません

住宅地や観光地では近隣住民とのトラブルになる可能性もあります。公共の乗り物の上や橋の上からの散骨はしないなど、社会常識を尊重することも大切です。

なお、自宅の庭での散骨は違法ではありませんが、土に埋めると「埋葬」となり違法

加えて、将来不動産を売却する際には重要事項への追記が必要になる可能性が高いです。

所有地で散骨した場合、不動産売却時の重要事項説明に記載することを明確に義務付ける規定はありません。買主の宗教観や価値観によっては、散骨の事実が購入判断に影響する可能性があるため、後のトラブル防止のため、記載することが望ましいとされています。

粉骨の考え方

粉骨は自分でできるのか

粉骨には、特別か決まりごとはありませんので、2mm以下のパウダー状に粉砕する機械があれば自力でもできます。

ただ、身内の焼骨を自らの手で砕き、機械で粉砕しパウダー化するのは、精神的負担も大きいことが予想されます。成人の焼骨であれば2〜3万円程度かかりますが、業者にお任せするのが賢明です。

業者に任せると遺物除去や殺菌もしてもらえるので手間なしです。

粉骨業者
画像引用:ミキワの散骨葬

\粉骨だけでもOK! 全国から受付/

「ミキワの改葬散骨葬」では、粉骨(洗浄・乾燥・粉骨)だけ依頼することも可能です。
無料引き取りのエリア外の場合、追加料金で引き取りをしてもらうか、発送で対応してもらえます。
時間はかかりますが、粉骨への立ち合いも可能です。

遺骨の発送の違法性〜ゆうパック・品名の書き方・送り方

粉骨業者が近距離であれば、有償無償であれ引き取りに来てもらったり、届けることもできますが、離れている時にはゆうパックで発送することもできます。

遺骨の発送に関しては、規制がありませんので、違法ではありません。ただ、業者によっては受け入れていないようです。郵便局の「ゆうパック」であれば発送できます。

遺骨の発送方法
  • ゆうパックで発送することができる
  • 発送時の品名は「遺骨」
  • 粉骨業者に専用の梱包資材があれば利用する
  • 専用の梱包資材がない場合には、段ボールなどに骨壷ごと入れて送る
  • 骨壷は割れないように、緩衝材を入れ、「水濡れ禁止」「天地無用」「横倒厳禁」「下積み厳禁」「逆さま厳禁」「割れ物」などのいずれかを外箱に記載、もしくはシールを貼る

ダンボールや緩衝材など一式揃った送骨専用梱包キットもあります。↓

六価クロムの除去

焼骨には、六価クロムという物質が含まれる可能性があります。

六価クロムは強い毒性を持ち、国際がん研究機関(IARC)や米国環境保護庁(EPA)によって発がん性物質としてリストアップされています。強い酸化作用があり、皮膚や粘膜に付着すると皮膚炎や腫れ物の原因にもなる、毒性が強いことも知られています。

ただし、すべての遺骨(焼骨)に六価クロムが含まれているわけでありません

六価クロムは、ステンレス等を高温で燃焼すると発生します。火葬の台がステンレスであれば発生する可能性があり、ステンレス製以外の耐火れんがや耐火セラミックなどの場合は発生しません

火葬の台がステンレンスだからといって、確実に発生するわけでもありませんし、発生したとしても、お骨に含まれるのはごく微量。基準値を超えないケースが多いようです。

特殊な薬剤で中和することができるため、気になる場合や、海洋散骨の場合にはオプション(検査1,000円程度、中和・乾燥が15,000円程度)で六価クロム除去をお願いするといいでしょう。義務化されてはいませんので、任意ですが、海洋散骨業者によっては、六価クロム除去を条件としていることもあります。

遺骨に六価クロムが含まれていたとしても、自宅での安置やペンダントなどに納めて身につけていても、安全性に問題はありません。常温で気化することは無いからです。
ただ、水に溶けやすい性質があるため、濡れた手で遺骨に触れたり、自宅での水洗いは避けましょう。

散骨場所の選び方

散骨の場所選びは、故人の遺志や遺族の思いを反映させる重要なプロセスです。

禁止されたエリア以外であれば、基本的には好きな場で散骨できますが、社会常識を尊重することは重要です。また、散布の場所や方法によっては、慰謝料請求や損害賠償請求などを受ける可能性があることも、忘れてはなりません。

市町村への事前確認は必要

一部の市区町村では条例を設け、散骨自体を禁止しています。

散骨原則禁止
  • 北海道長沼町
  • 北海道岩見沢市
  • 埼玉県秩父市 ※個人の散骨も対象
  • 宮城県松島町 

散骨自体を禁止していなくても、散骨場や行業者に対しての規制が厳しい自治体もあります。個人の散骨に及ぶとは限りませんが、トラブル予防のためにも散骨予定の自治体には事前に確認しておくといいでしょう。

散骨の可否

スクロールできます
散骨場所可否備考
自分の所有地売却予定があれば要注意
水源の近くは避ける
他人の所有地所有者の許可があれば○
水源の近くは避ける
公有地管理者の許可が必要
道路/施設/山/公園等
散骨場手続きや費用等は要確認
国立公園×島根県のカズラ島は可(有料)
一般公園×公園管理者が許可すれば可
海〜沖合漁場、観光領域から離れた沖合
海〜漁場・養殖場・海水浴場×風評被害がある
海〜防波堤・浜辺人目につかない配慮が必要
誰かの所有地
河川散骨業者は× 取水源/漁場
湖・沼散骨業者は× 観光地/生活用水/漁場
商業施設
レジャー施設
文化施設
×所有者・管理者の許可が必要
→ ほぼ無理
観光地人目につかない配慮が必要
業者に依頼するのが無難
宇宙業者に依頼
海外での散骨

ハワイなど海外での散骨をする方もいますが、国や地域によって規制が異なります
飛行機への持ち込みも、国や航空会社によって異なります

事前調査は必要です。

散骨場所の選び方

基本的に好きな場所で散骨できますが、故人が好きだった場所、思い出の場所などを選ぶ方も多いようです。

  • 故人が好んだ場所
  • 故人との思い出の場所
  • 自宅の庭など身近な場所
  • 景色のいい場所
散骨できる国立公園

島根県隠岐郡にカズラ島は、唯一散骨可能な国立公園です。
ただ、船で行く必要があり、散骨費用が高額なのがネックです。
176,000円(生前予約・委託散骨)〜291,500円(施主散骨・散骨時料金)
※ 2024年8月現在

複数箇所への散骨

散骨方法には決まりがありませんので、複数箇所への散骨も可能です。

弔い旅行や弔い登山などで、故人の好きな場所や故人との思い出の場所を巡り、少量ずつ散骨される方もいます。

海洋散骨〜海上、海岸での散骨方法や費用相場

散骨の中でも、海洋散骨を希望される方の割合は多いようです。

一般社団法人 全国優良石材店の会のアンケート(2020年)では、国内の海洋散骨は年間で約25,000人、山林は約9,000人程度と推計されています。
「散骨に関する調査」一般社団法人 全国優良石材店の会

故人が海と関わる仕事をしていた、マリンスポーツや海釣りなどの趣味の他にも、映画やドラマなどの映像からイメージの定着、青く透明な海への憧れ、所有権の問題をクリアなど、理由は様々でしょう。

海での散骨方法や費用相場、注意点などをまとめておきます。

海洋散骨の違法性、許可申請手続き、散骨できない場所

海洋散骨に関する法規制

日本では、葬送を目的として節度をもって散骨することは違法ではありません。遺骨とわからないようにパウダー状に粉骨し、周辺環境や近隣住民に配慮し、散骨すれば墓地埋葬法や刑法に触れることはありません。

ただ、市町村単位で散骨を規制していることもありますし、近隣住民や事業者から風評被害や精神的苦痛として、慰謝料や損害賠償請求を受ける可能性はゼロではありません

海洋散骨の方法、許可、手続き、注意点

違法ではないとはいえ、完全フリーでもありませんので、「節度をもって」散骨する必要があります。節度の範囲や、散骨の基本ルールは、上述の通りです。まとめるとコレ↓

散骨をする際の基本的な考え方やルール

海に限らず、散骨自体に許可申請等はありません。自治体への手続きや各種届出もありません

養殖場や釣り場、海水浴場、観光客の多い場所は避け、周囲の人や周辺環境、時間帯、服装等に配慮して散骨するのが基本です。

海での散骨例

ダメな例

  • 養殖場や釣り場、海水浴場の近くで散骨〜禁止
  • 観光遊覧船やフェリーなどから散骨〜禁止
  • 橋の上から散骨〜危険、場所によっては風評被害などのトラブルやあらぬ疑いをかけられる可能性もあり
  • 海岸利用者や観光客の多い時間帯に複数名・喪服で散骨〜周囲への配慮
  • 深夜早朝に1人・喪服で散骨〜危険、あらぬ疑いをかけられる可能性もあり

周辺に配慮すれば問題のない例

  • 散骨業者の船から散骨
  • 海岸・防波堤・岩場等で人気の少ない時間帯に少人数・普段着で散骨
  • サーフィン中に散骨 ← 周囲への配慮と、安全確保していれば◯
  • 漁船・釣船・ボートから散骨 ← 周囲への配慮と、安全確保していれば◯

一部散骨業者や、アフィリエイトサイトでは、海岸や岩場での「散骨禁止」「散骨できない」「トラブルになる」などの強めの主張もありますが、法的根拠はありません。
時間帯や場所によっては、「トラブルになる可能性がある」のは確かですから、「節度を持って」散骨するに限ります。

海岸・砂浜・岩場・防波堤での散骨方法や費用

自治体の条例で規制がなければ、海岸・砂浜・岩場・防波堤などから散骨できます。
※ しつこいですが、海水浴場、養殖場、釣り場、観光地はダメです。

もちろん、パウダー状に粉骨し、異物は取り払い、環境や周囲の人への配慮、自分たちの安全の確保は必要です。

波打ち際や岩場であれば、袋から出して散布しても波に紛れあっという間に海にとけてしまいます。風で舞いますので、海面や岩場に近いところへ静かに散布するのがポイントです。

防波堤など、深さのある場所であれば、水溶性の袋にいれたまま海へ見送る(投下)こともできます。

自分たちだけででき、費用もかからない散骨方法です。

粉骨は自分でもできますが、業者に任せると遺物除去や殺菌もしてもらえるので手間なしです。

粉骨業者
画像引用:ミキワの散骨葬

\粉骨だけでもOK! 全国から受付/

「ミキワの改葬散骨葬」では、粉骨(洗浄・乾燥・粉骨)だけ依頼することも可能です。
無料引き取りのエリア外の場合、追加料金で引き取りをしてもらうか、発送で対応してもらえます。
時間はかかりますが、粉骨への立ち合いも可能です。

海上での散骨方法や費用相場

友人知人のボートや、散骨業者などの船で沖合まででて、ポイントを選べば他者とのトラブルはまずありません。

人気や実績のある海洋散骨業者の費用↓
※ プランに含まれるサービスが各社異なります

スクロールできます
サービス内容ミキワの散骨葬みんなの海洋散骨海洋記念葬シーセレモニーブルーオーシャンセレモニー
散骨海域東京湾全国関東・大阪・高松・沖縄・ハワイ・グアム全国
代理散骨プラン27,500円~44,000〜55,000円~55,000円〜
貸切プラン110,000円~242,000円~143,000円~297,000円~
合同乗船プラン132,000円~165,000円~165,000円~
中・大型船 (10名~)2,178,000円~
メモリアルクルーズ99,000円
※散骨なし


(貸し切り、合同)
粉骨プランに込
※粉骨のみ
14,300円〜
プランに込33,000円33,000円
粉骨の立会い
ペット代理散骨プラン16,500円〜
※粉骨込み
55,000円
※粉骨込み
※乗船プランもあり
55,000円
※粉骨16,500円
※乗船プランもあり
ペット粉骨5,500円〜16,500円
遺骨の出張引取り指定区域無料
指定区域外
13,200円~
有償22,000円~22,000円~
(移動距離により変化)
価格は2024年8月現在、消費税込み

\東京湾で費用を抑えて海洋散骨/

\全国海域対応・追加費用なし/

\代理散骨から豪華クルーズ船まで対応/

海洋散骨の代行費用相場

海洋での散骨代行費用は、2024年現在では55,000円程度かかります。

直営業者で2〜3万円台もありますが、散骨海域が全国対応するような業者では、5万円程度かかります。委託業者の代行費用に、自社の紹介マージンがのりますので、そんなところかなという価格帯です。

中には、ネット中継してもらえる業者もあります。

散骨代行の場合、粉骨料込みの場合と、別料金の場合とあります。各社のサービス内容の詳細や合計金額は、見積もりで確認することをオススメします。

お見送りのセレモニー感はありませんが、遺族が船に乗る必要はありませんし、悪天候で順延となっても以降お任せなので、安心安全と言えば安心安全です。

海洋乗船散骨の費用相場

遺族が乗船し散骨する場合、貸切プランと他の遺族との合同乗船プランとありますが、15万〜30万円程度が相場です。

2〜3名の乗船、船上で散骨・献花・献酒程度のシンプルなプランでも10万円はかかります。

乗船人数の増加の他、カメラマン付き、船室付き、セレモニー付、ドリンク付きなどプラン内容によって、費用はかなり変わってきます。

粉骨が別料金の場合もありますので、粉骨+散骨+不用品等の処分など総額の見積もりとり、サービス内容の詳細や合計金額、悪天候等での対応などを確認することをオススメします。

乗船型の海洋散骨の所要時間は1.5〜2時間程度です。

友人知人のボートや漁船に乗せてもらった時のお礼は?

プレジャーボート所有の知人友人に乗せてもらったり、地方であれば漁師さんにお金を払うと沖合まで乗せてもらえることもあるようです。

短時間で戻るとは言え、燃料費がかかります。お礼として1万円は包みたいところです。お金をもらってのせるのは、別の問題が発生することもありますので、あくまで「お礼」、代金ではありません。

河川・湖・沼・滝での散骨

厚労省の散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)では、河川及び湖沼での散骨は認めていません。これは、取水源や生活環境への配慮です。

ただ、散骨事業者向けのガイドラインであり、個人を対象としているものではありません。個人の散骨を規制する法律はありませんので、自由と言えば自由ですが、「節度をもって」散骨する必要があります。

散骨場所や散骨方法によっては、近隣住民や事業者から風評被害や精神的苦痛として、慰謝料や損害賠償請求を受ける可能性はゼロではありません

海岸・砂浜などと同様、周辺環境や近隣住民に配慮し、散骨ポイントや時間帯、服装を選ぶことが大切です。

琵琶湖での散骨は違法か?

日本最大の淡水湖である琵琶湖。 およそ400万年もの長い歴史をもつ日本最古の湖で、世界中で20ほど存在する古代湖の1つでもあります。

魅力溢れる琵琶湖への散骨希望者は多そうです。

法律上、行政上は河川。水源地であり、漁場でもありますが琵琶湖での散骨を禁止する条例や法律などはありません。つまり、違法行為にはあたりません。

琵琶湖での水上散骨を請け負う業者もあるくらいですから、ポイントや時間帯を選べば、自分で散骨することも可能でしょう。

水質保全特別措置法に指定されているため、今後条例などで規制される可能性はゼロではありません。

山林・公有地・公園の散骨

山林・公有地での散骨に関する法規制

日本では、葬送を目的として節度をもって散骨することは違法ではありません。遺骨とわからないようにパウダー状に粉骨し、周辺環境や近隣住民に配慮し、散骨すれば墓地埋葬法や刑法に触れることはありません。

ただ、山林といってもだれかが所有しています。有名な山の多くは、国有地もしくは自治体が所有する公有地です。

山での散骨で最も人気のある富士山は、八合目から山頂は富士山本宮浅間大社の私有地、その下は国有林と山梨県有林です。本来であれば、所有者や管理者の許可なく散骨することはできませんが、河川や海岸などと同じと言えば同じですね。

登山家・山屋・登山愛好者界隈では、登山仲間や遺族が弔い登山をし、遺灰や粉骨した遺骨をこっそり少量撒くことはあるようです。

遺骨を、墓地以外の場所へ埋める「埋葬」は、墓地埋葬法違反です。墓地以外にお墓を建てるのも違法です。

これも違法
  • 遺骨のまま置いてくる
  • パウダー状に粉骨した遺骨を土に埋める
  • パウダー状に粉骨した遺骨をこっそり撒いて、上から落ち葉や土をかける
  • 遺骨を散布した場所に墓標を立てる

他にも、市町村単位で散骨を規制していることもありますし、近隣住民や事業者から風評被害や精神的苦痛として、慰謝料や損害賠償請求を受ける可能性はゼロではありません

山林・公有地散骨の方法、許可、手続き、注意点

山には、国や地方自治体が所有する公有地の他に、私有地もあります。散骨の法規制はないとは言え、本来であれば、所有者や管理者の許可が必要です。

ただ、その許可を申請するような手続きなどはありませんし、少量をこっそり無断で散布したところで、河川や海岸、湖などと同様、御法度とまではいかないのが現状です。

だからこそ、取水源、観光客や参拝客の多い場所、建造物などの周囲は避け、周辺環境や周囲の人々へ配慮し「節度をもって」散骨する必要があります。

山林散骨の代行業者には要注意

山林散骨代行として請け負いながら、雑木林に勝手に撒いたり、散布しないでゴソっと遺骨を地表に置くような業者も存在します。どのような場所に散布しているのか、許可も含めてよく確認する必要があります。

海上ほど大変ではありませんので、よほどの事情がなければ、登山仲間や遺族が散骨することを強くオススメします。

山林散骨の費用相場

山林散骨の多くは、登山仲間や遺族がこっそり少量を散布してくるのが主流ですから、そこに費用は発生しません。入山料や交通費、焼骨をハウダー状に粉骨する費用程度です。

粉骨は自分でもできますが、山林への散骨の場合には、環境への配慮から遺物除去や遺骨の殺菌もきちんと行うことをオススメします。

海洋散骨葬を営む「ミキワ」では、大人1柱の粉骨は返送費用も含めて2〜3万円程度です。↓

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公園での散骨

公園も同様。国立公園、都道府県や市区町村の公園、一般の公園。無料開放もあれば、入園料がかかるものもありますが、いずれにしても誰かが所有し管理しています。

本来であれば、所有者や管理者の許可が必要ですが、その許可を申請するような手続きなどはありませんし、少量をこっそり無断で散布したところで、河川や海岸、湖などと同様、御法度とまではいかないのが現状です。

だからこそ、子供達の遊具や休憩スペース、その他建造物などの周囲は避け、周辺環境や周囲の人々へ配慮し「節度をもって」散骨する必要があります。

レジャー施設・商業施設・文化施設での散骨

レジャー施設・商業施設・文化施設・公園(国立公園〜一般の公園)の場合には、建物や施設の管理者が必ずいます。

管理者が許可すれば、敷地内はもちろん、施設内であっても散骨可能です。ただ、よほどの著名人か、施設の関係者でなければ許可が下りることはないでしょう。

ディズニーランドでの散骨

「散骨 ディズニー」というGoogleサジェストがあり、驚いておりますが、ディズニーでの散骨を望む人は少なからずいることと思います。

大好きなディズニーランドに骨を埋めて、永遠に暮らしたい。

そんな故人の願いを叶えたい気持ちはわかりますが、散骨がバレたら即退園レベルです。ディズニー側も、園内での散骨には強く反対しています。

アメリカのディズニーランドでは、散骨している人を見かけると “HEPA cleanup” という清掃コードが発せられ、微細なチリまで取り除けるフィルター装着の掃除機で吸い取られてしまうそうです。(参考:WSJ

せっかくの散骨も、ガッチリ吸い取られてしまいます。いい供養方法とは言えなさそうですね。

なお、「散骨 ディズニー」で上がってくる散骨業者は、ディズニーランド内での散骨ではなく、ディズニーランド沖、要は東京湾での海洋散骨をしています。

宇宙葬

銀河ステージ では、1〜7gの遺骨を詰めた専用カプセルを打ち上げる宇宙葬スペースメモリアル』を提供しています。
銀河ステージの宇宙葬『スペースメモリアル』

費用は66万〜198万円(2024年8月現在)。

頻繁に打ち上げているわけではありませんし、申し込みからフライトまで最短でも3〜4ヶ月かかります。

過去には、「よりそうお葬式」(旧 株式会社みんれび)でも、宇宙葬の扱いがありましたが、現在は終了しているようです。

バルーン葬

株式会社バルーン工房 では、直径は2m~2.5mの風船に粉末状の遺骨を入れ、高度40〜50km上空の成層圏で散骨する『バルーン宇宙葬』を提供しています。
株式会社バルーン工房『バルーン宇宙葬』

費用は、264,000円〜

「バルーン宇宙葬」はあくまで商標。成層圏での散骨となりますが、生分解されるバルーンを使用しているため、環境への負荷もありません。

ペットのバルーン葬も対応しています。

庭や畑など自分の所有地での散骨

自分の所有地であれば、葬送を目的として節度をもって散骨することは違法ではありません

自分の畑や庭といっても、散骨ですから、焼骨を粉骨し散布します。

敷地内ですから、2mmにこだわる必要はないでしょうが、遺骨のまま撒く(放置)すれば遺骨等遺棄に問われますし、遺骨を土の中に埋めれば墓地埋葬法違反です。

風で周囲の家に飛ばないように周辺環境や、近隣の住民にも配慮が必要です。

風の強くない日に、地面に近いところで静かに散布すれば、風で舞い散らずに散布できるでしょう。長期間残存しますので、広範囲に撒くほうが目立ちません。

遺骨を、墓地以外の場所へ埋める「埋葬」は、墓地埋葬法違反です。墓地以外にお墓を建てるのも違法です。

これも違法
  • 遺骨のまま庭に置いておく
  • パウダー状に粉骨した遺骨を土に埋める
  • パウダー状に粉骨した遺骨をこっそり撒いて、上から落ち葉や土をかける
  • 遺骨を散布した場所に墓標を立てる

粉骨だけ業者に頼むほうが間違いありませんが、すべて自分で粉骨することもできます。

散骨後、骨壷や骨箱は居住地区の指定の分別方法で処分します。その際に、そのまま捨てるとあらぬ疑いをかけられたり、事件化する可能性もあります。骨壷や骨箱とわからないよう、バラして(壊して)処分するのがおすすめです。

海洋散骨葬を営む「ミキワ」では、大人1柱の粉骨は返送費用も含めて2〜3万円程度です。↓

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自宅や所有地で樹木葬をする

自宅や所有地で樹木葬をすることは可能ですが、上述の通り、遺骨を土中に埋めると墓地埋葬法違反です。

シンボルツリーや、故人の好きだった木の周りに散布するのであれば、問題ありません。

不動産売却予定があれば要注意

将来不動産を売却する際には重要事項への追記が必要になる可能性が高いです。

所有地で散骨した場合、不動産売却時の重要事項説明に記載することを明確に義務付ける規定はありません。買主の宗教観や価値観によっては、散骨の事実が購入判断に影響する可能性があるため、後のトラブル防止のため、記載することが望ましいとされています。

買い手が気にしなければ問題ありませんが、気になさる方も少なからずいます。売れにくくなったり、売却価格に影響が出る可能性もあります。

自力で空葬散骨や宇宙葬をする

宇宙葬や空葬には、法的規制はありませんが注意が必要です。

そもそもで、個人が宇宙まで物を飛ばすことは相当困難ですが、ロケットの打ち上げにはアメリカの許可が必要です。

バルーンなどを用いた空葬は、個人レベルで技術面はクリアできそうですが、自分の所有地以外で許可なく打ち上げたり、航空機の運航に支障をきたしたりすると処罰の対象となります。

ドローンによる散骨は、航空法に抵触します。

空葬であれば、自力ではなく、業者に依頼するのが間違いありません。

散骨に適した季節や時期

お墓などへの納骨同様、散骨にも決められた時期などはありません。故人の遺志や遺族の考えで、タイミングや時期を選ぶことができます。

散骨をするタイミングの考え方

故人の遺志や遺族の考え方で決めることができますが、なんらかのきっかけがあると時期を決めやすいようです。

散骨のタイミング
  • 四十九日や一周忌などの法要に合わせて
  • 故人の好きな季節
  • 故人の誕生日や思い出の日など
  • 長期休暇期間

自分の所有地に散骨するのであれば、時期等は問いませんが、海洋散骨など業者に依頼する場合には事前予約等も必要になります。

全量を散骨するか、分骨し少量手元に残すかでも違います。必要な手続きを終え、心の整理がついたタイミングが望ましいようです。

散骨時の注意点
  • 猛暑、大雨、強風などの悪天候時は無理をせず避ける
  • 周囲に人が多い時間帯は避ける
  • 深夜早朝など、足元が暗い時間帯は避ける
  • 場所によっては、服装に配慮する(喪服を着用しない)

海での散骨に適した時期

海洋散骨

海洋散骨といっても、乗船型や代行型などいくつか方法はあります。いずれにしても、予約を入れていても天候次第では順延となりますので、納骨や自分で散骨するよりも日程が不確かです。

乗船型であれば、順延とならなくても、乗船中に風が強くなれば船酔いなどもあります。

梅雨や台風の時期、冬は避ける方が無難です。3月〜梅雨前、台風シーズン終了〜11月下旬などが比較的いい時期ですが、エリアによっても異なります。

冬場は、風が冷たく厳しい時期ですが、海水の透明度が高いことからオススメしている業者もあります。しっかり防寒対策をして乗船する必要があります。

地上とは異なりますので、時期や時間帯は海洋散骨業者に相談してみるのが間違いありません。

防波堤や海岸線などからの散骨

防波堤や海岸線などからの散骨であれば、年間通して可能です。強風高波、雨などを避け、安全を確保して行いましょう。

地上での散骨に適した時期

山林や自宅等、地上での散骨は年間通して自由にできます。

ペットの散骨〜飼い主との合同散骨、庭や公園での散骨

ペットの遺体の埋葬(土葬)、遺骨の埋葬、散骨の法規制は簡単まとめると、次のようになります。↓

スクロールできます
場所土葬
遺体を埋葬
遺骨を埋葬散骨
庭・自分の所有地⭕️⭕️⭕️
公共の場所・海岸・山林等違法
軽犯罪法違反
違法
軽犯罪法違反

ペットの埋葬

ペットの埋葬は基本的には違法

公共の場所や海岸、山林などにペットの遺体や遺骨を無断で埋める・埋葬することは、違法・禁止です。

ペットの遺体は、法律上「一般廃棄物、可燃ごみ。無断で廃棄物を埋めることは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により禁止されています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律
第16条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

第25条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第25条14号 第16条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 e-Gov

私有地なら違法ではない

ただし、飼い主が供養の目的でペットの遺体や遺骨を自分の庭や所有地に埋める(埋葬する)場合には、法律上問題ないとされています。

ペットの大きさや種類にもよりますが、火葬のほうが安全です。

遺体をそのまま埋める(土葬)する場合には、注意も必要です。
土地のコンディションやペットの大きさにもよりますが、骨が完全に分解されるまでには、数年〜数十年かかると言われています。浅く埋葬すると、分解の過程で異臭がしたり、虫が湧いたりします。

人間の場合は、「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」により、認められた墓地以外での遺体や遺骨の埋葬や墓石を立てることは認められていません。

ペットの散骨

人間の散骨を禁止する法律がないため、供養を目的とし節度を持って散骨することは「違法」にはあたらないように、ペットの散骨も供養を目的とし節度を持って散骨するは、法律上は問題ないと考えられています。

ただし、散骨ですから、遺骨とわからないように粉骨したり、周辺環境や周辺住民への配慮は必要ですし、どこでも好きな場所に散骨が認められているわけではありません。

飼い主とペットとの合同散骨

分骨などで手元供養していた大切なペットの遺骨との合同散骨をすることで、生前同様に最期まで寄り添うことができます。

ペット散骨・代理散骨・飼い主との合同散骨にも対応している海洋散骨業者もあります。↓

\ペット散骨・代理散骨にも対応/

\ペット散骨・合同散骨を東京湾で/

将来、ご自身の遺骨をペットと合同散骨したい場合には、遺言で明確に記しておくことをオススメします。

ペット遺骨の粉骨費用相場

ペットの遺骨を散骨する場合でも、粉骨をする必要があります。

異物除去や殺菌などもありますし、ペットといえども粉骨をするのは精神的にも負担がありますので、業者にお任せするのが賢明です。

ペットのサイズにもよりますが、5,000円程度〜20,000円程度かかります。

散骨に関する宗教的・精神的側面

散骨したら「成仏できない」は本当か?

散骨に対しては、「成仏できない」「故人が迷う」といった懸念の声もありますが、これは宗教や個人の信念によって解釈が異なります

大切なのは、故人の遺志を尊重し、遺族が納得できる形で送り出すことです。散骨後も、仏壇(位牌)での供養や定期的な法要を営むことで、故人との精神的なつながりを保つことができるでしょう。

遺族の「拠り所」として形あるものが必要な場合には、散骨前に分骨し、一部を手元供養することも可能です。

散骨後は元に戻すことは不可能です。後悔のないよう、よく考えて判断する必要があります。

散骨後の供養方法〜仏壇・戒名・位牌・法事法要

散骨後の供養方法には決まりはありません。遺族それぞれの方法で供養することができます。

散骨後の供養方法
  • 法事法要などの仏教的なことは一切営まない
  • 命日などに散骨場所にお参りする
  • 仏壇や位牌を用意し供養する

檀家の場合は、菩提寺に好意的に受け止めてもらえるかビミョウです。

お墓があり納骨し(あるいは納骨予定があり)、一部を散骨するのであれば菩提寺側も好意的でしょうが、納骨なしで全量散骨や散骨+手元供養となると、位牌の開眼供養をお願いできるのかは確認が必要になるでしょう。

  • 仏壇 = ミニチュア菩提寺
  • 位牌 = 故人の霊魂の依代
  • お墓 = 遺骨を納め、故人やご先祖様を祀る
墓・仏壇・位牌 とは

菩提寺がない、墓じまい後などであれば、特定の寺院と関係があるわけではないでしょうから、葬儀社などに僧侶を手配してもらうといいでしょう。

宗派に合わせて法要ごとの手配となりますので、檀家になる必要もありませんし、法要ごとの明朗会計になります。

仏教的な法事法要の必要性を感じない場合には、供養の仕方は自由です。命日や休暇の際に散骨場所にお参りしたり、山や海・空・写真などを見て故人を偲ぶこともできます。

お墓・仏壇・位牌など宗教的な形あるものに拘らずとらわれず故人を偲ぶことは、残されたものの故人を思う気持ちが問われるような気がします。

分骨という選択肢

全ての遺骨を散骨せず、一部を保管する「分骨」という選択肢もあります。分骨の手続きは比較的簡単で、火葬場や葬儀社に申し出れば対応してもらえます。

分骨するには、「分骨証明書」が必要になります。火葬場や故人の住民票のあった自治体から発行してもらえます。

火葬場で、骨壷に収める際に分骨しておくと、火葬場から分骨証明書を発行してもらます。
納骨や永代供養時に必要になります。
散骨や手元供養では、必ずしも必要ではありませんが、遺骨の身元確認として必要とする業者もあります。

故人が全量の散骨を望んだとしても、全てを散骨することで遺族が拠り所を失う可能性もあります。親族とのトラブル予防のためにも、一部を散骨し残りを納骨する、一部を散骨し残りを手もと供養するなどできます。

全量散骨よりも、分骨しておくほうが安心です。

分骨した遺骨の一部は、遺骨ペンダントなどのメモリアルジュエリーに加工することも可能です。故人を常に身近に感じることができるため、人気のある供養方法の1つです。

ミニ骨壷と言われるような、小さな骨壷で手元供養し、時期が来たらその遺骨も散骨することもできます。

先に旅立った配偶者やパートナー、あるいはペットの遺骨を少量残しておくことで、将来自分が旅立つ時に一緒に散骨してもらうことも可能になります。

散骨を選択する際の考慮点

散骨は、従来の葬送方法に代わる新しい選択肢として注目を集め、広く受け入れられつつあります。しかし、その選択には慎重な検討が必要です。

散骨のメリット
  • 自然に還る
  • 経済的な負担が軽い
  • 精神的な自由度が高い
  • お墓の建立や維持管理が不要となる
  • 故人の生前の価値観や好みを反映できる
  • 故人や遺族にとっての思い出深い場所で散骨できる
散骨のデメリット
  • 宗教や死生観に影響される
  • 遺族の心情への影響が懸念される
  • 一度散骨すると元に戻すことはできない
  • 遺族の心の拠り所が失われる可能性がある
  • 法的なグレーゾーンがあり、トラブルの可能性がある

散骨は、故人の遺志はもちろん、遺族全員の気持ちを尊重することが重要です。家族で十分に話し合い、全員が納得できる形で決定することが望ましいでしょう。もちろん、親族の理解も必要です。

また、散骨後の供養方法についても事前に考えておくことをおすすめします。例えば、散骨した場所に定期的に訪れる、自宅で遺影と共に供養するなど、故人を偲ぶ方法を家族で共有しておくことで、心の整理がつきやすくなることでしょう。

*****

アラカン子なし夫婦の私たちは、今のところ「散骨」を予定。

場所や方法などは、今のところ詳細まで決める予定はありません。なにか思うことがあったり、新しい情報が入ってきた時に、夫に話をしてあ〜だのこ〜だの言い続けるのだと思います。供養のあり方や方法も、時代と共に変わるもの、変わらないものもあるでしょう。

これまで「普通」とされてきた供養方法に縛られたり、新しいものを全否定したりと極端にならないよう、新しい情報にはアンテナをめぐらせ、背負わなくてもいいものは背負わずにすむようにしたいところです。

故人らしい、自分たちらしい、見送り方を考え始めたらぜひ読んでみてください。

「その人らしくを」をモットーに形式に囚われずに見送った人々の物語(前書きより抜粋)。

ノンフィクションです。ここに「これからの供養のあり方」の答えはありません。ただ、弔いのあり方、供養とはなにか、残された人の生き方を考えるきっかけになります。良書です。
※ 記事執筆時はKindle Unlimtied 対象。Amazonなら無料で読めます。

愛する人を喪った人々がたどりついたそれぞれの自由な弔いの形とは――。セーヌ川、珊瑚の島、ヒマラヤへの散骨の旅、絶句するようなハプニング、そして新たな出会い。涙と笑いで彩る、「別れ」の先に生きる人々を深くユーモラスに描く爽快ノンフィクション。著者自身の体験を描いた文庫書下ろし新章収録。

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