家族のみで新盆/初盆を迎えるなら〜僧侶なしの場合の服装、やること、考え方や注意点

家族が亡くなり、忌明け後に初めて迎えるお盆である新盆/初盆は、特別なものとされています。

ただ、経済的理由、ご自身や家族の特別な事情、その他ライフスタイルの変化などで、新盆/初盆の法要を営むのが難しい場合もあります。

そのような場合に、家族だけで新盆/初盆を行っていいのかについての考え方をまとめておきます。

目次

家族だけ・僧侶を呼ばずに新盆を行うことはできるの?

結論になりますが、、

新盆/初盆は、家族のみで営むことも、家族の同意のもと何もしないことも、なんの問題もありません。

新盆は、故人に対し1回のみです。

また、お葬式のような宗教儀式とも異なりますので、宗派よりも地域慣習や家の考え方によっても、大きな違いがあります。

後々、後悔したり、親族とのトラブルになったり、モヤモヤした感情が残ることのないよう、よく考えて判断することが大切です。

新盆/初盆とは?

新盆は、故人が亡くなり、四十九日が過ぎてから初めて迎えるお盆のことです。地域によっては、初盆とも呼ばれます。

お盆前に四十九日を迎えない場合には、その年のお盆ではなく、翌年のお盆が新盆/初盆です。

新盆/初盆の時期は、8月13〜16日が一般的ですが、7月盆であれば7月13〜16日、他にも地域によって時期が異なることもあります。

お盆の時期には、故人やご先祖様の魂が家に帰ってくるとされていますが、新盆/初盆では故人の魂が初めて家に帰ってくるため、普段のお盆よりも手厚くもてなし、供養します。お墓参りや、僧侶による読経のほか、法要を営んだり、親族が集まり会食をしたり、地域によっては近所の方も新盆参り/初盆参りをすることもあります。

新盆/初盆に僧侶を呼ばないのは?

お盆は、日本古来の先祖供養と仏教が融合した行事です。

僧侶に読経していただき、故人や先祖供養の法要を営むなど宗教的な意味合いもありますが、成仏した魂がこの世に戻ってくるのは仏教の教えではありませんし、むしろ民族信仰色が強いものです。

ですから、家族のみで新盆/初盆を迎え、僧侶を呼ばない、法要を営まない、としても宗教上の問題はありません

浄土真宗のように、そもそもで新盆/初盆という考えのない宗派もあります。

家族のみで新盆を迎えてもよい?

一部地域では、近所の方が新盆/初盆を迎えた家にお参りする新盆参り/初盆参りの慣習がありますが、多くの地域では家族や親族のみで法要を営みます。ライフスタイルの変化もあり、近年は家族のみで行うことも珍しくありません

家族のみで新盆を行うなら?

家族のみで新盆を迎えると決めた場合でも、準備等が必要なことがあります。

菩提寺への連絡

新盆法要を営まない場合には、遅くても1ヶ月前には菩提寺に連絡を入れましょう。

寺院によっては、あっさり受け入れてもらえることもあれば、何か言われることもあるかもしれません。

いずれにしても、新盆法要を営まない明確な理由を告げる必要はありませんので、「家族のやむを得ない事情により、、」程度で、濁しておけばいいでしょう。

お布施は必要?

法要や僧侶の読経がない場合には、お布施、お車代、御膳料等は不要です。

ただ、時期的に施餓鬼会/施餓鬼法要の案内をいただくこともありますが、これと新盆/初盆の法要とは全く別のものです。

会食だけするなら?

家族や親族が集まり、会食だけすることもあります。

その場合には、故人の葬儀を執り行った喪主が中心となり、準備をします。自宅での会食の他、レストランや料亭、ホテルなどで会食してもいいでしょう。

招待する親族には、事前にその旨知らせておき、人数が確定したら予約をします。予約の際に新盆/初盆の会食であることは伝えておきましょう。

会食時の服装は?

新盆法要を営む場合には、喪服が基本とされていますが、法要もなく会食だけであれば平服でも構いません。その際には、施主側から、招待者への案内が必要です。

会食の費用負担は?

法事同様、基本的に費用負担は施主です。

法要の際には、通常参列のお礼として引き物の用意がありますが、会食だけであれば引き物は出席者との関係性から判断するといいでしょう。

会食に出席される方が、お供え物や香典等を持参するかは、その方の自由です。

自宅で家族だけで新盆/初盆を迎えるなら?

自宅で家族だけで新盆/初盆を迎えることも、問題ありません。

新盆/初盆用に、白提灯を用意することもあるでしょうし、通常のお盆同様のお供え物や飾り物をしたり、迎え火送り火を焚いたり、お墓参りに行ったりします。

服装も、食事も、特に決まりごとがあるわけではありませんので、基本的に自由です。

新盆を家族のみで迎える時の注意点

地域慣習や家・親族の考え方にもよりますが、新盆/初盆を家族のみで行う場合には、いくつかの注意点もあります。

菩提寺への連絡

上述の通り、菩提寺には事前に連絡を入れておく必要があります。

親族等への案内

新盆法要を営まず、家族のみで迎える場合には、そのことを親族にも伝えておきましょう

相手が、新盆/初盆法要の参列、お墓参り、仏前のお参りを予定されていることもあります。事前に関係者に伝えておくことで、不要なトラブルを避けることができます。

新盆見舞いやお供物の返礼

新盆/初盆法要を営まず、家族だけで迎える場合でも、香典や新盆見舞い、お供物をいただくこともあります。

返礼品を用意しておく方が安心ですが、後日返礼品を送付してもいいでしょう。

親族からお叱りを受ける可能性もある

新盆/初盆法要は、必ずしも営まなければならないものではありませんが、故人との関係性、地域慣習、家の考え方、信仰心等によっては、「当然やるもの」「やらないなんて故人への侮辱」など、お怒りになる方も一定数います

他にも、法要は営まなくても、遺族はお盆期間中は在宅と考え、連絡なしにお参りに寄られる可能性もあります。その際に不在だと、「新盆だからお線香をあげに行ったのに誰もいない」など、お叱りを受けたり、陰口をたたかれる可能性もあります。

どうしようもないとはいえ、そういったこともあることは頭にいれておいた方がいいでしょう。

新盆/初盆でなにもしないのは?

上述の通り、新盆/初盆は必ず行う決まりごとではありませんので、何もしないという判断をしても構わないのです。

実際、ライフスタイルの変化やなんらかの事情で、「しない」のではなく「できない」こともあります。信仰心や考え方の違いから「しない」判断をする方もいます。

いずれにしても、他人から咎められるべきことではりありません

ただ、慣習として頻繁に行われていることも事実ですし、それを「決まりごと」や「当然すべきこと」と考えている、思い込んでいる方もいるのです。

ご自身や家族の同意のもと、よく考えて判断されるといいでしょう。

故人を思う気持ちが一番大切

お葬式やその後の法事法要をどうするかで悩む場合には、信仰心、故人との関係性、経済的理由、家族の事情など、様々な事情があります。

故人との関係も良好で、家族や親族とも仲が良い、仲良しまではいかなくても普通のお付き合いがある、法事法要を営むための時間的経済的問題がない、、、そのような方は、そもそもで「法要するしない」「新盆/初盆するしない」などで、思い悩むことはないのです。

する・しない悩む場合には、その理由を自分の中で明確にしてみると、判断しやすくなります。

何らかの事情がある場合には、できる範囲で営むこともできます。信仰心などから、法要に何の意味も見出せないのであれば、先祖や故人の供養方法を見直せばいいのです。

いずれにしても大切なのは、故人を思う気持ちであり、遺族の気持ちなのです。声の大きい、周りの「べき」論に振り回されることなく、冷静に判断されるといいでしょう。

法事法要のあり方も激変の時代へ

今は当然とされる法事法要のあり方も、核家族化や少子高齢化が進む中で、今後大きな変化があるでしょう。

実際、年忌法要も33回忌が一区切りと言われてきましたが、現在は7回忌や13回忌で終わりにすることも増えつつあります。

仏教に関する実態把握調査(2022年度)報告書 によると、菩提寺のある60代以上の方でも、家族の13回忌法要が必要と考えているのは、30%を切っています

ただし、自分自身の法要で13回忌まで希望しているのは、菩提寺のある60代以上でもたった18%。なお、菩提寺あり・なし、年代・問わず必要と思われる法要のボリュームゾーンは1周忌です。
仏教に関する実態把握調査(2022年度)報告書

出典:仏教に関する実態把握調査(2022年度)報告書

江戸時代に始まった檀家制度以降、仏教と活動や教義と実生活の関わりは薄くなり始めたとされています。

現代でも、、不登校の問題や自殺防止などに取り組んだり、宗教家の立場で人々の相談に乗ったりする寺院等、人々の心の問題に取り組まれている寺院や僧侶がいる一方、「葬式仏教」と揶揄されるような職業としての「僧侶」も増えていることは否めないでしょう。

加えて、寺院ではなくインターネットや葬儀会社、ショピングセンター内の実店舗などからも、お葬式や法事法要の一切が手配できる時代です。

そこに追い討ちをかけたのがコロナ禍。

家族葬が劇的に増えたものの、2023年には一般葬に戻りつつあるとのデータもありますが、少子高齢化や葬儀費用の高騰は進むのですから、家族葬や直葬などの増加、年忌法要の回数の減少など、法事法要の在り方が大きく変化していく時代であることは、想像に難くありません。

地域慣習や育ってきた環境、家族関係、信仰心、さまざまな要因が絡みます。加えて、葬儀会社やアフィリエイターが主張するような「マナー」やら「しきたり」などの形式ばかりが目につきます。

どんな時にも、形は大切ではありますが、供養とはなにか、むしろその本質を問われているような気がします。

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