家族が亡くなり、忌明け後に初めて迎えるお盆である新盆/初盆は、特別なものとされています。
宗教色はありますが、むしろ地域慣習や家の考え方の方が強くでます。地域慣習も、都道府県や市町村単位どころか、町内会・集落レベルで違うこともあります。
ネット上に、絶対的な正しい解答はありません。とはいえ、私も義父の新盆の際にはわからないことが多すぎて、だいぶ調べました。次の機会がしばらく来ないことを願うばかりですが、記憶の整理も兼ねてまとめておきます。
田舎暮らしをしていた時には、人生初のお盆慣習も経験しました。地域差、ありすぎて驚きます。
結構なボリュームがあります。下記の目次から、気になる項目へジャンプできます。↓
新盆見舞い/初盆見舞いとは
家族が亡くなり、忌明け後に初めて迎えるお盆である新盆/初盆は、故人の魂が初めて戻ってくる時であるため、普段のお盆よりも丁寧に供養する風習があります。
この際に、故人の親族や親しくしていた知人等が提灯や仏花、お線香などをお届けし、改めて故人を偲び、供養の気持ちをご遺族に伝えることを「新盆見舞い/初盆見舞い」と呼びます。
新盆法要に参列する際に持参する香典やお供え物、親族や親しい知人から贈られる盆提灯、ご近所さんによる仏前のお参り、、そのすべてが「新盆見舞い/初盆見舞い」にあたります。
新盆見舞いの香典〜金額相場や、香典袋、表書き、お札の入れ方、ペン
地域差や家の考え方、宗教によっても異なりますが、風習としての一般的な考え方です。
香典の金額相場
故人の関係性 | 金額相場 |
---|---|
親・兄弟姉妹 | 10,000円~30,000円程度 |
祖父母・叔父・叔母等 | 5,000円~10,000円程度 |
知人・友人・会社関係等 | 3,000円~10,000円程度 |
近所 | 1,000円~3,000円程度 |
香典袋・表書き・ペン
宗教 | 表書き |
---|---|
仏式 | 御仏前、御供、新盆御見舞、初盆御見舞 等 |
神道 | 御玉串料 等 |
キリスト教 | 御花料 等 |
仏式では香典袋は、白黒の水引、結び切り、ペンは黒を使用します。
水引等なしの「新盆見舞い」の封筒であれば、宗派問わず使うことができます。↓
香典袋のお札の向き、入れ方、新札・ピン札
香典袋へのお札の入れ方や向きは、お葬式と同様です。
上包みと中袋は表裏を揃え、お札は裏向き、顔が下に入れると覚えておくと間違いありません。
新札・ピン札の場合には、真ん中で一折してから包みましょう。
名入れの例はこちら↓
新盆見舞いの贈り物、供物の考え方
地域差や家の考え方、宗教によっても異なりますが、風習としての一般的な考え方です。
新盆見舞いの贈り物(供物)の考え方と金額相場
新盆見舞い/初盆見舞いの贈り物は、「お盆のお供え物 (五供)」を基本に考えます。贈答用のお線香、ローソク、お花、旬の果物、お菓子、日持ちもする乾麺や昆布・海苔などの食品が一般的です。
避ける方がいいのは、肉や魚介類などの生物。
最近では、ゼリーや焼き菓子など日持ちし、個装タイプのものが人気です。
お供えですから、3,000~5,000円程度が目安です。
新盆見舞いの「のし」や表書き
新盆見舞い/初盆見舞いでも、品物をお供えする場合には、葬儀、法事法要等と同様です。
【新盆見舞い/初盆見舞いの掛け紙(のし紙)】
- 水引:弔事用の白黒か黄白の結び切り
- 表書き:「御仏前」「新盆御見舞」「御供物(おくもつ)」「御供」等
- 外のし
※ 近年は「熨斗」がついていない掛け紙のことも「のし紙」と呼ぶのが一般化されています
※ 仏式以外(神道やキリスト教等)では、掛け紙(のし紙)に蓮のないものを選びます
掛け紙(のし紙)は、お供物の包装紙の上にかける「外のし」で用意します。これは、同じ時期に複数の方からお供物をいただくため、誰からのお供えかわかるようにするためとされています。
新盆見舞いにお線香やロウソクは?
新盆/初盆は、忌明け後の初めてのお盆ですから、お線香やロウソクのお供えもよく選ばれています。
近年は、住宅事情や好みの問題もあるので、お線香の場合には、香りが良い、香りが弱い(微香)、煙が少ない(微煙)タイプが人気です。
ご自身のメッセージをを添えるなら ↓
※「御供」の掛け紙(のし紙)付き、名入れなし
※ メッセージなしでも贈ることができます
お悔やみ挨拶文(定型)をつけるなら ↓
※「御供」の掛け紙(のし紙)付き、名入れなし
新盆見舞いのお供花は?
新盆/初盆で仏前や墓前にお供えする仏花は、白系を基調とすれば間違いありません。色味を加える場合には、淡く優しい色合いが好まれる傾向があります。
【新盆にオススメの花】
- 白い菊(マム)
- 白いカーネーション
- 白いユリ(百合)
- 白いラン(蘭)
暑い時期でも日持ちし、花びらが散りにくい花をメインにするのがオススメです。
故人の好きな花があれば、入れてもらってもいいでしょう。
親族や知人からお供花を贈る場合には、飾りやすく、花瓶も使わないアレンジメントがオススメです。
新盆見舞いのお供花にプリザーブドフラワーは?
最近人気のプリザーブドフラワーですが、ご遺族が用意されるのであればともかく、親族や知人がお供花として贈られる場合のは、控える方がよさそうです。
仏花は、どんなに綺麗な花でもいつか枯れてしまうことから、世のすべてのものは移り変わり、永遠のものはないという「諸行無常」という仏様の教えを表すとされています。そのため、いつか枯れる花、つまり生花であることが大切だとされているのです。
浄土真宗では、生花しか飾りませんので、故人の宗派への配慮も必要です。
また、プリザーブドフフラワーが故人やご遺族の好みであれば構いませんが、長く持つため、お盆後のご遺族側の扱いにも関わります。
雑な言い方をすれば、供物としていただいたものなので、捨てにくい。だからといって、スペースや好みの問題で、飾るのも難しい。
と、感じる方もいます。
新盆見舞いに提灯は?
お盆の時期には、ご先祖様が迷わず里帰りできるよう、道しるべとして提灯を灯す風習があります。
盆提灯
地域性もありますが、盆提灯は故人の供養のためのお供えの中で最高のものと考えられていました。
そのため、故人の冥福を祈り、感謝の気持ち込めて、親戚や故人と親しかった方が盆提灯を贈るという習わしがありました。そして、贈られた盆提灯が多ければ多いほど、故人が慕われていたことを示すものとされていたのです。
絵柄入りや色つきの華やかな盆提灯は、翌年以降も飾ります。
現在でも、その考え方は残っていますが、住宅環境や社会生活の変化もあり、盆提灯用にと現金(御提灯代)を包んだり、仏壇用のお供えを用意するケースが増えつつあるようです。
以前は、ローソク使用、脚付でしたが、近年は安全面やデザイン面から、置き型(脚なし)・LED・コードレスタイプが人気です。
白提灯
盆提灯とは別に、新盆/初盆では、初めて戻られる故人のために白提灯を別に用意する風習があります。
白提灯は、白木で作られた白紋天(しろもんてん)と呼ばれる白無地の提灯で新盆/初盆でのみ使います。翌年以降は、白提灯ではなく盆提灯を飾ります。
清浄無垢の白で故人の霊を迎えるという意味があり、初めてお盆を迎える故人用に1つあればいいとされ、故人の家族が購入することが多いです。
白提灯も、コードレス・LEDタイプが人気です。置き型であれば、マンションなどの集合住宅でも、迎え火・送り火の代わりに玄関先で灯すことができます。
新盆見舞いに伺う
地域差や家の考え方、宗教によっても異なりますが、風習としての一般的な考え方です。
新盆見舞い/初盆見舞いは、基本的に新盆法要に伺う際や、故人やご遺族の家にお参りに伺う際に直接お渡しします。伺う際には香典を持参しますが、親しい関係の場合には、香典とは別にお供物も用意します。
新盆見舞いにはいつ行く?
新盆/初盆のお宅への訪問は、8月(7月盆であれば7月)13日、14日を中心に15日までを目安に行います。
訪問時間は、午前10時〜午後5時頃までが一般的です。朝の忙しい時間帯や、食事時間、あまり遅い時間は避けます。
ご近所さんの新盆/初盆参りであれば、地域慣習に従いましょう。
親族や知人であれば、ご遺族に事前に連絡をいれておくと間違いありません。
過去には、新盆/初盆の時期には、家に誰かいるのが普通でしたが、核家族化や社会生活の変化もあり、必ずしもご遺族が在宅とは限りません。
新盆見舞いの服装
新盆/初盆法要がある場合には、基本は喪服、施主から案内があれば平服になりますが、新盆見舞い/初盆見舞いであれば、そこまでの服装は要求されません。仏前へのお参りですから、仏様、故人、ご遺族に敬意を払った服装であればいいでしょう。
【新盆見舞い/初盆見舞いの服装】
《男性》白または落ち着いた色のワイシャツ・襟付きのシャツ、ズボン、地味な色の靴など
※ ネクタイなしでも構いません
《女性》落ち着いた色のブラウスやシャツ、スカート、ワンピース、地味な色の靴など
※ メイクやアクセサリーは控えめに
夏でも、素足は避けます。靴下やストッキングを着用しましょう。
新盆見舞いを贈る
新盆見舞いはいつ送る?
新盆見舞い/初盆見舞いは、基本的に新盆法要に伺う際や、故人やご遺族の家にお参りに伺う際にお渡ししますが、都合があわない場合には郵送でお送りすることもできます。
お盆の入り、7月盆では7月13日、8月盆では8月13日の1週間前~前日までには届くよう、余裕をもって送りましょう。
新盆見舞いの電報は?
近年は、新盆見舞い/初盆見舞い用のメッセージ文例が用意されている電報もあります。
電報だけでなく、お線香やロウソクなども、日時指定で一緒に送ることができます。
私もよく使う 電報サービス【VERY CARD】であれば、新盆/初盆用のメッセージも複数用意されているので、簡単に手配できます。
オススメは 「香電 大輪(たいりん)」↓ 電報と一緒にお線香を贈ることができます。お線香も「日本香堂」の「香木白檀」の香りですから、安心です。
新盆見舞いのお返し
これは遺族側になりますが、新盆見舞い/初盆見舞いの返礼品の基本的な考え方もまとめておきます。
新盆見舞い返礼品(引き物)の金額相場
新盆見舞いの返礼品(お返し、引き物)も、香典同様 いただいた金額の3分の1~半額程度の予算で用意するのが一般的です。
香典は、3,000円~10,000円程度を包むことが多いため、1,500~3,000円程度の品物を用意しておくといいでしょう。
必ずしも、いただいた金額の3分の1~半額程度しなければならないわけではありませんが、いただいた金額が大きく返礼品とのバランスが悪い場合には、後日お礼として別途贈り物をするといいでしょう。
一般的には、お線香、お花、お菓子、果物などのお供え物だけをいただいた場合には、お返し不要とされています。
これは、「お返し不要」との相手方の心遣いともとれます。ただ、1万円以上するような高価なお供え物をいただいた場合には、頂いた金額の1/3〜半額を目安にお礼の品を贈るといいでしょう。
ご近所さんの新盆見舞い/初盆見舞いの返礼品
地域慣習にもよりますが、ご近所さんの新盆見舞い/初盆見舞いでの香典は、1,000円~3,000円程度が一般的です。
親族や親しい知人との関係とは異なりますし、ご近所づきあいの「お互い様」の意味合いもありますので、香典が大きな金額にはなりません。
そのため、返礼品も500円程度のもので構いません。
そうめん、お茶など、ハンドタオルなど軽量でかさばらないものがオススメです。スーパーなどで購入し、包装紙に包んだり、袋に入れるといいでしょう。
小さなものだと、掛け紙(のし紙)をかけるのが大変な場合には、シールが便利です。それぞれ、4~5cm程度のサイズですから、そうめんのような細長いパッケージでも使うことができます。
新盆見舞い 返礼品(引き物)の考え方
新盆見舞い/初盆見舞いでの返礼品(お返し/引き物)の考え方は、葬儀の引き物と基本的な考え方は同じです。
消え物が基本
「不祝儀を残さない」「悲しみを残さない」との意味合いから、食べたり使ったりするとなくなる「消え物」を選びます。
お菓子、お茶、コーヒーなどが、近年の人気です。
常温保管・軽量・かさばらないが基本
返礼品(お返し/引き物)は、持ち帰りやすく、扱いやすいように、常温保管・軽い・かさばらないが基本です。
ネット情報などでは、洗剤、調味料なども人気とされていますが、液体の物は重くなりますので避けるのが無難です。
返礼品として避けるべき物
新盆/初盆の行事は風習ではありますが、弔事と同様に次のものは避けます。
自宅消費できるものがベター
新盆見舞い/初盆見舞いは、法事法要のようにご招待するものではありませんし、お帰りの際に返礼品(お返し/引き物)をお渡しするのが基本ですから、多めに用意しておきます。
葬儀社にお願いする場合には、返品可能なこともありますが、ご自身で手配する場合は返品不可なことが多いです。
返品可能な店舗で購入したとしても、そうめんなどの食品は返品不可、返品可能期限は7日程度など条件がありますので、現実的ではありません。
用意した返礼品(お返し/引き物)が余ってしまった場合には、自宅でも消費できるものを選んでおくと安心です。
新盆見舞い返礼品の「のし」や表書き
新盆見舞い/初盆見舞いのお返しには、掛け紙(のし紙)をかけます。
- 水引:黒白か黄白、結び切りか淡路結び
- 名入れ:施主の苗字、氏名、◯◯家
- 表書き
・仏式:「志」「新盆志」「初盆志」「初盆供養」「新盆供養」「初盆会」「粗供養」等
・神道:「志」「しのび草」「新盆祭志」
宗派や地方によっても異なりますので、迷ったらコレ↓
シンプルですが、宗教、地方問わず使えます。
新盆見舞いの返礼品はいつ送る?
新盆見舞い/初盆見舞いの返礼品(お返し、引き物)は、法要やお参りしていただいた当日にお渡しするのが基本です。
郵送で届いたり、返礼品が足りないなどで渡せない、高価な物をいただいて別途お礼をしたいような場合には、郵送します。
【新盆見舞いの返礼品を送る時期】
体調を気遣う挨拶状やお礼状を添えて送りましょう。
- お盆明け1週間以内が目安
- 遅くても8月中、7月盆であれば7月中に送ります
- 表書き:「御礼」
- 水引:黒白(または黄白)の結び切り
※「御礼」でも、紅白や蝶結びの水引は使用しません
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新盆/初盆は、宗教観よりも地域慣習の方が強くでます。
そのため、過去には、地域によっては現在でも、慣習通りの新盆/初盆行事を行わないと非難や陰口の的になることもあります。
働き方や生活環境、住宅環境など様々な事情で慣習通りに対応できないことがあっても、しきたりを重んじる方には理解されなかったりするのです。別に、故人を蔑ろにしているわけでなくても、、です。
ただ、新盆見舞い/初盆見舞いの一般的な慣習を知っておくことで、対処できることもあります。
新盆/初盆見舞いに伺えない・伺わない、新盆/初盆を家族だけで迎える、お盆行事を行えない・行わない、いずれにしても賛否両論あるでしょうが、家族とも話し合い、無理のない範囲で過ごされるのがいいのかと思っています。
まとめてみたら、結構なボリュームで驚きました。
風習とはいえ、お見舞いの品物や香典だけでも、作法やらなんやら、こんなにあるんですね。