厄祓い・厄除けの基礎知識〜神社とお寺の違い、服装、のし袋の表書き・書き方、お札の入れ方、お守りや箸の使い方・処分方法、お礼参り

厄払いや厄除け祈祷の基礎知識をまとめておきます。

目次

厄払い・厄除けでの神社とお寺の違い

一般に、神社で受けるのが「厄払い」、寺院で受けるのが「厄除け」ですが、いずれも神様・仏様の力を借り厄災を遠ざけ、身を護ることを目的としています。

厄払い/厄祓いと厄除けの主な違い 神社 お寺 寺院

厄祓い・厄除けの考え方の違い

厄祓い/厄払い(やくはらい)は、一般に神社で、降りかかった厄災を祓い追払い、あらたな厄災を呼び込まないようお祓いします。

厄除け(やくよけ)は、一般に寺院で、災難を防ぎ除け、身を守り、邪気が寄りつかないよう予防的な意味合いで祈祷が行われます。

ただ、場所も目的も、現実には明確な使い分けがなされているわけではありません。

厄祓い・厄除けの祈祷方法の違い

神社では、お祓いが行われます。

神職が祓詞(はらえことば)を奏上し、大麻(おおぬさ)で参列者をお祓いして清めます。その後、参列者は玉串を神前に捧げるのが、大まかな流れです。

寺院では、主に護摩祈願が行われます。

薪(護摩木)を焚き、僧侶が仏様を炎の中にお招きし祈願します。

厄払いと厄除け・神社とお寺で効果的なのは

考え方も祈祷の方法も異なりますが、厄災を避け、平穏無事に過ごすために祈願することに変わりはありません

自分の信仰や祈願しやすい場所、方法などで、どちらか一方、もしくは両方を選ぶことになります。

中には、厄払いで厄を祓い、再び厄災が降りかからないよう厄除けを重ねてする方もいるそうです。

厄祓い・厄除けでの服装

厄祓い/厄払いや厄除けを受ける時の服装の指定はありませんが、神様や仏様に災難から身を守ってもらうお願いをしにいくわけですから、それなりの服装が望ましいでしょう。

厄払い・厄除けでの服装

  • 男性:スーツやビジネスカジュアル など
  • 女性:スーツやワンピース など

※ 黒である必要はないのですが、ネイビーやグレーなどの落ち着いた色合いで
※ 靴下やストッキングは着用

避けるべき服装
  • 派手な色合い、柄、華美なアクセサリーなど
  • ジーンズ、サンダル、スニーカーなどのカジュアルな服装
  • 短パン、ミニスカート、ノースリーブなど肌の露出が多い服装
  • 素足
  • 帽子 ※祈祷場所や本堂では脱帽

神社やお寺によっては「平服」や「礼服」の指定があります。
予約時やホームページなどで事前に確認しておきましょう。

封筒(のし袋)の書き方・表書き・お札の入れ方・相場

「厄祓い/厄払い」か「厄除け」かではなく、「神社」かお寺(寺院)かで、封筒も表書きも異なります。

神社場合〜表書き・封筒/のし袋の選び方、書き方

神社でお祓いをする場合の、封筒(祝儀袋)の書き方です。

初穂料 厄払い・厄除け 神社への祝儀袋・のし袋 表書きと名入れの書き方 水引の種類

表書き「初穂料」とは

神社で祈祷を受ける場合には、「初穂料(はつほりょう)」として納めます。

初穂料は「その年に取れた最初の稲」を神様にお供えしていたことに由来しますが、現代では「神様の感謝を伝えるお供えものとしてのお金」という意味でも使われています。

祈祷では「玉串料(たまぐしりょう)」でも構わないのですが、お守りやお札を授与される際には使いません。厄払いには、お守りやお札などの授与品が含まれることが多いため、「初穂料」を使うのが一般的です。

初穂料の封筒/のし袋(祝儀袋)

初穂料を包むのは、「熨斗(のし)」飾りがあり、赤白の水引が結ばれている「のし袋」、祝儀袋が一般的です。

神社によっては、そのまま(現金を裸で)納めることもあります。もちろん、白封筒に「初穂料」の表書きでも構いません。

イラスト付きなどの可愛らしいものもありますが、「神様へのお供え」の現金を包むものですから、シンプルな方が無難です。

また、熨斗や水引がプリントされたものは、3,000円程度であればいいですが、5,000円以上であれば、水引は結びのもの、もしくは水引なしの白封筒の方がいいでしょう。← ただの見た目の問題です。

白封筒に包む場合には、赤の郵便番号欄のない、無地の封筒を使います。
表書き・名入れなどの書き方は、のし袋(祝儀袋)と同様です。

名前の書き方

名入れは、願い主(神様や仏様ににお願いをする本人)の氏名です。世帯主とは限りません。

お寺の場合〜表書き・封筒の選び方、書き方

厄除け祈祷の表書き

寺院で厄除けなどの祈祷を受ける場合には、表書きは「御布施」や「御礼」「御祈祷料」です。

お布施の封筒/のし袋

厄除けなどの祈祷は、弔事ではありませんので、「お布施」でも黒白の水引は使いません

「ご祈祷料」などであれば、封筒は赤白の水引を結んだのし袋(祝儀袋)を使用します。

ただ、表書きに「御祈祷料」と印字された短冊入りの封筒はあまり流通していません。表書きなしの祝儀袋を用意し、 表書きも手書きする、あるいは自作でプリンターで印字することになります。

ですから、おすすめは、水引なしの「お布施袋」

厄除けなどの祈祷のほか、法要などのお布施の袋としても使うことができます。
※ 葬儀の場合、◯十万のお布施であれば、水引が結んである不祝儀袋の方が厚み的に安定します。

名前の書き方

名入れは、祈祷を受ける方の氏名です。世帯主とは限りません。

中袋の書き方

神社の場合

初穂料 神社 お札の入れ方 向き、中袋の書き方

初穂料では、中袋に現金を包み、封筒を二重にする必要はありません。

上袋(外側の封筒や包み紙)にそのまま現金を包んでも構わないのです。

ただ、住所や名前、金額などを記入する際に、間違えたり書き直したりしやすい方は、中袋があった方が便利です。

下記の封筒であれば、慶事でも、弔事でも、中袋として使えますので、まとめ買いしておくのがおすすめです。

我が家は、表書きは印刷のもの、名入れはスタンプ。
ただ、裏書は手書きになりますので、中袋使用派です。
必ずのように、一度は書き直すので、白封筒はいつもストックしています。

お寺の場合

施餓鬼でのお布施の包み方、お札の向き、書き方

お布施でも、封筒を二重にする決まりはありませんが、中袋を利用し二重にする方が丁寧です。

中袋ののり付け

中袋は、のり付け不要です。

封筒の口を折り、そのまま祝儀袋や上包みに包みます。

金額の書き方

中袋や祝儀袋裏面の金額は漢数字ではなく、「壱」「弐」「伍」「仟」のように大字(旧字)を使用するのが一般的です。

スクロールできます
算用数字123578101001,00010,000
漢数字
大字(旧漢字)

祝儀袋や中袋に横書きの金額欄が印刷されている場合には、算用数字で「3000円」「5000円」「10000円」などと記入します。

お札の向き・入れ方・新札

お札の向きは、肖像画が正面、上(封筒の口の方)に来るように入れます。

お札は必ずしも新札である必要はありませんが、神様・仏様へのお供えものです。新札の用意ができれば新札、ない場合には、折り目や汚れ、破れなどのないきれいなお札を使いましょう。

ペンの色

ペンの色は「黒」

筆や筆ペンの方がいいとも言われていますが、あまり気にする必要はありません。

表書き(初穂料やお布施)や名入れ(表の名前)が、ボールペンや万年筆のような細い字だとバランスが悪くなります。そういう意味では、筆ペンの方が見た目的にはよくなります。

厄払い・厄除け祈祷の金額相場

神社の場合

初穂料は、神社によって異なります。納める金額によって、お神札の大きさなど授与品が異なる神社もあります。

境内や神社のホームページに金額が明記されていることが増えていますが、わからない場合には神社の社務所に連絡して確認してみましょう。

一般には、5,000円程度です。神社によっては、10,000円などの場合もあります。

お寺の場合

お寺の場合、金額が明示されている場合と、「お気持ちで」の場合とあります。

「お気持ちで」の場合には、5,000円〜10,000円程度が一般的です。

当日の受付で渡す

お祓いや祈祷当日、神社やお寺の受付でお渡しするのが一般的です。 のし袋(祝儀袋)などの封筒のままお渡しします。

封筒やのし袋の持ち歩き方

初穂料でも、お布施でも、神様・仏様にお供えするものです。

汚したり、端が折れたりしないように、袱紗に包んで持ち歩くといいでしょう。

袱紗がない場合には、「金封袱紗」と呼ばれる簡易タイプを用意するといいでしょう。慶事、弔事、法要などでも使えるのは「濃い紫」。1つあれば、重宝します。

 長く使うことを考えれば、台付ふくさの方がおすすめです。

お札・木札の祀り方

神社や寺院の祈祷後に、お札(お神札)や木札を授かります。

いずれも厄年を中心にそれまでの厄を落として新たな厄災が入らないように仏様・神様にご祈祷したものです。

お札・お神札・木札を祀る場所

  • 神社から頂いたお神札は神棚に
  • お寺(寺院)からいただいたものは、仏壇もしくは神棚に
  • 神棚や仏壇がない場合には、家族が集う部屋の目線より高い場所に
    ※ 画鋲で止めることはしない
    ※ 倒れそう、落ちてきそうな場合には、剥がせるタイプの両面テープがおすすめ
    ※ 台所、水回りの上は避ける

お寺から授かったものを神棚に祀っても、神様と仏様が喧嘩するようなことはありません。

神社からのものと、寺院からのものを、同じ場所に祀る場合には、上下に重ねるのではなく、左右に並べるのが良いとされています。左右の決まりもありませんし、スペースの問題もありますので、臨機応変に、、ということになります。

お守りの持ち方

お守りの持ち歩き方

神社・寺院に関わらず、お守りは神仏のご加護を高め、厄災から遠ざけてもらうためにも、日々使用するものと一緒に持ち歩きます

心臓に近いところが効果的との考え方から、お守りに紐を通し首からかけて肌身離さず身につける、シャツやジャケットの胸ポケットに入れておく、という方法もあります。

お守りも、複数枚あっても、神様・仏様が喧嘩することはありません。

持ち歩くのが難しい場合には、お札のように神棚や仏壇、部屋の高いところに祀ります。

これだけは避けたいお守りの持ち歩き方

  • 目に入らないような奥深くにしまい込む
  • ペンケースの中など汚れやすい場所に入れる
  • スマホにぶら下げ、お尻のポケットに入れる

お守りは、神様・仏様の分身ですから、ぞんざいに扱わないことが大切です。

お守りの効力の期限

安全祈願などのお守りと同様、厄払いや厄除けのお守りにも、明確な期限があるわけではありません。

とはいえ、1年に1度はお祓いや祈祷をしていただいた神社や寺院へお参りし、古いお守りは返納し、新しいお守りを授かるほうがいいでしょう。

厄払いや厄除けで授かる箸の意味や使い方

厄祓いや厄除けでは、神社や寺院によって、あるいは納めた金額によって、お箸を授かることもあります。

御神箸とは

神社のお祓いで授かる箸が、「御神箸」。「おみはし」「おんみはし」「ごしんばし」、、など、神社や地域によって読み方が異なります。

神様にお供えしたものを下げて、お供えしていたものを皆で分かち合いいただくことを「直会(なおらい)」といいます。この直会をいただく際に、御神箸が使われてきました。

お寺の場合は、長寿箸、厄除け箸などとも呼ばれています。

厄除けや厄払いでは、直会の儀式はありませんが、縁起の良い箸として授けられます。

お箸の使い方

御神箸や長寿箸は、日々の食事使うことができます。

元々、神様からのお下がりをいただくために使ったり、健康長寿や厄除けを祈願して授かったお箸です。

お守りやお札/お神札/木札などとは異なりますので、授かり物としてお供えするというよりも、日常的に使用する方がいいでしょう。

お箸の処分方法

自治体の分別方法に合わせて、家庭ごみとして処分して構いません。

割り箸のようなお箸であれば、長く使うことは難しいですが、塗り箸であれば長く使い続けることもできます。

授かり物ですから、ゴミとして捨てにくい場合には、お焚き上げしてもらえる神社や寺院もあります。

その他の授かり物

神社や寺院によって、お祓いや祈祷の目的によっては、他のものも授かることがあります。

代表的なものは、お神酒や数珠。

お神酒(おみき)やお酒

神様や仏様にお供えしたお神酒やお酒をお下がりでいただくこともあります。

いただいたお酒は、自宅で飲むことができます。

数珠

寺院での厄除け等の祈祷では、数珠を授かることもあります。

法要で使うものよりも小さめの、手首につける数珠(腕輪念珠)であることが多いようです。

これは、略式数珠で、法要用ではなく、普段身に付けることができます。煩悩から身を護り、平穏に過ごせるようとの思いが込められているものです。

お札・木札・お守り処分方法

「処分」とは言いますが、「捨てる」わけではなく、授かった仏様・神様へ感謝の気持ちを伝え「返納」します。

基本は返納

神社や寺院から授かったお札/お神札/木札やお守りは、1年を目安に授かった寺社に返納します。

神社には「古神札納め所(古神札納所、古神符納所など)」、お寺には納札所などが用意されています。年間通して設置されているとも限らないので、寺務所や社務所聞くと教えてもらえます。

また、お焚き上げがある際に持参し、お焚き上げしてもらうこともできます

授与された寺社に郵送で返納する

お受けした寺社が遠方の場合には、郵送での返納もできます。

それぞれの寺務所や社務所に問い合わせ、返納先や返納方法、封筒への記載内容等を確認しましょう。

寺社によっては、お焚き上げ料が必要になります。

近所の寺社にお納めする

近所の寺社に納めることもできますが、お寺の場合には注意が必要です。

寺社によっては、お焚き上げ料が必要になります。

お寺に納めるときの注意点

同じ宗派であることが原則です。お受けしたお寺と異なるお寺でもお願いできますが、宗派が異なる場合には断られることもあります。祈祷のあり方が異なるのですから、こればかりは仕方がありません。

自宅で清めて可燃ごみで処分

お受けした寺社には返納できない、郵送での返納もできない、近所の寺社にもお納めできない、、ような場合には、可燃ゴミとして処分します。

返納するタイミングは厄除け・厄払いから一年後

厄除けや厄祓いで授かったお札やお守りは、あくまでその年の厄災から身を護ることを第一の目的としています。

お守りやお札は、願い事が成就した時や、授与されてから1年後に返納するのが一般的であるように、厄祓いや厄除けで授与されたものも祈祷から1年程度で返納するのが良いとされています。

なお、前厄の年にお祓いや祈祷を受けた場合には、本厄の年、後厄の年の3年間毎年厄祓いや厄除けを受ける方が良いとも言われています。お祓いや祈祷時に新たに授与されますので、その際に前年の授与品を返納します。

前厄からズルっと3年間、同じお札やお守りではダメですよ。ちゃんと神様や仏様に、1年の報告と感謝をして、新たな1年の健康と安全を願ってくださいね、、ということなのでしょう。

厄払い・厄除けのお礼参り

お礼参りとは

厄祓いや厄除けに限らずですが、願い事がかなった時に改めて神様・仏様にご報告と感謝をするために参拝するのが、お礼参りです。

運気が下がり、不運が続くとされる厄年を無事に過ごせるようにお祓いや祈祷をしていただくのが、厄祓いや厄除けです。

まったく不運や不安がないということはないでしょうが、大難が小難に、小難が無難になれば、ありがたいこと。感謝の気持ちを込めて、お礼参りをしましょう。

お礼参りは、厄年を乗り越えたという気持ちの切り替えにもなりますよ。

お礼参りでお札やお守りを返納

お礼参りに伺うのであれば、その際に、厄払いや厄除け祈祷の授与品を返納することもできます。

お礼参りはいつまで

お礼参りは、お祓いや祈祷から1年後が目安です。

特に、定めがあるわけではありませんので、都合の悪い場合には時期をずらしたり、先に授与品だけ返納し、後日改めてお参りするなどしても構わないでしょう。

お礼参りに行かないと・・・

お礼参りに伺わなくても、神様・仏様が怒ったり、ヘソを曲げたり、厄災が降りかかるようなことはありません。

ただ、せっかくご加護により無事に過ごせたのですから、お礼は伝えた方が、、、という話です。

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細かな作法やマナーをあげる方もいらっしゃいますが、お寺や神社で実際に聞いてみたり、ホームページなどをみてみると、そんなことはありません。形にばかり囚われずに、神様・仏様に真摯に願う方が良さそうです。形から入りたい、、といのであれば、それはそれでいいのでしょうが。

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