お歳暮/お中元の渡し方〜持参の時はアポ必要か、渡すタイミングや言葉、注意点、紙袋の扱い、習い事の先生の場合は?
お歳暮やお中元は、日頃お世話になっている感謝の気持ちとして贈るものです。
本来は直接訪問してお渡しするものですが、昨今は宅配便などで発送することが定着しています。手渡しする機会が頻繁にないため、連絡や渡し方に戸惑うことも。一連の基本的なことをまとめておきます。

マナー本はいろいろありますが、時代も変わってきています。
基本を抑えつつ、相手や関係性に合わせて対応するのが一番です。
お歳暮/お中元を渡す(持参する)時の注意点は?
お歳暮やお中元を持参する際の決まり事は特にありませんが、大切なのは相手の都合に合わせること。
お歳暮/お中元を持参する時間は何時頃
基本的な考え方は、先方が忙しい時間は避ける です。
ライフスタイルによっても異なりますが、次のように考えるのが一般的です。
- 事前に電話等で連絡をしてから伺う
- 早朝・食事時・夜は避ける
- 一般的には午前10時〜11時頃か、午後14時〜16時頃
- 事前連絡なしで伺い、玄関先でお渡ししてすぐに失礼する
伺う先が事務所や教室などで常時人がいるような場合には、アポイントなしで伺うこともありえます。ただ、玄関先での挨拶だとしても、先方が不在、来客中、忙しい時間帯の可能性もあるので、事前に連絡を入れる方が望ましいですね。
持参の事前連絡の伝え方
【お歳暮やお中元を持参するの旨の連絡 文例】
- お歳暮:年末のご挨拶に伺いたいのですが、〇〇様のご都合の良い日時はございますか
- お中元:夏のご挨拶に伺いたいのですが、〇〇様のご都合の良い日時はございますか
「お歳暮/お中元を持参したい」よりも、「年末/夏のご挨拶に伺いたい」の方が、婉曲的な表現です。
玄関先で渡すだけの場合でも、「玄関先ですぐに失礼いたしますが、これから伺っても宜しいでしょうか?」などと、連絡を入れてから訪問するといいでしょう。



「伺いたい」「ございますか」で丁寧語は問題ありません。
「お伺いしたい」「ございますでしょうか」といった表現をよく見かけますが、若干くどいですね… 最近よくある、過剰気味の丁寧語です。


【個別レッスン】習い事の先生へお歳暮/お中元を渡す時の注意点
個別レッスンの場合には、習い事の際に持参し、レッスンが始まる前にお渡しするのが基本です。
この場合には、先方のスケジュールにもレッスン時間が入っているため、事前の連絡は不要です。
◉ 自分の習い事
自分の習い事であれば、レッスンが始まる前に渡しましょう。
◉ 子供の習い事
子どもの習い事であれば、アポイントなしでレッスンに一緒に行き、玄関先でお渡ししてそのまま失礼しても構いません。レッスンがあるので、ご挨拶程度で早々に失礼するようにしましょう。レッスン終了後、帰り際でも構いません。
【グループレッスン】習い事の先生へお歳暮/お中元を渡す時の注意点
集団レッスン(グループレッスン)など、複数の人の出入りがある時には、先生だけでなく他の生徒に対しても配慮が必要です。
大人の習い事でも気を遣いますが、子供の習い事の場合には、なおさら気を配らなければなりません。
◉ 自分の習い事
自分の習い事であれば、普段よりも少し早めに行き、レッスンが始まる前に渡しましょう。レッスン前が難しい場合には、レッスン終了後でも構いません。
- 他の生徒がいない(目に入らない)ところでお渡しする方が望ましいです
- 前後にレッスンがある場合には、先生にとっては休憩時間ですので、負担にならないように気をつけましょう
◉ 子供の習い事
教室が始まる前の午後早めの時間帯など、子ども達がまだ来ていなくて先生の手が空いている時間帯に伺うのが望ましいです。
というのも、集団での習い事の場合、次のような事情があるからです
- 複数の子ども達がいる時間帯では、先生が忙しく迷惑になりかねません
- お中元やお歳暮を贈るかどうかは各家庭で対応が異なるため、他の子ども達やその保護者の目に触れない方がいいでしょう
他の保護者の目に入らなくても、子供達がみていると「○○ちゃんのお母さんが今日先生に何か渡してたよー」など、家で話す可能性もあります。
そのことで負担に思う家庭もあるでしょうし、贈り物合戦的に加熱し、先生にも保護者にも負担になる可能性もあります。中には、自分が知らなかっただけで、保護者の中での暗黙のルールといったものが存在する可能性もあります。
周りのことをあまり気にするのはよくありませんが、不要なトラブルや不快な思いをしないためにも、最低限の配慮は必要かと思います。
渡すタイミングが難しい場合は、郵送や宅配便で贈る方が先方にとっても、自分にとっても気が楽ですね。その場合には、習い事の際について行き口頭でご挨拶をするか、送り状を別に送付する、品物にメッセージカードをつけるいいでしょう。
お歳暮/お中元を渡す時の言葉
お中元やお歳暮を手渡しするとなると構えてしまいますが、伝えることは以下の2つです。
- お世話になっていることへの感謝の気持ち
- お歳暮/お中元を持参したこと
「お中元 / お歳暮をお持ちした」というと直接的すぎる感がある場合には、お中元なら「夏のご挨拶」、お歳暮なら「年末のご挨拶」と言えば婉曲的になりますし、自然な挨拶になります。
- 今年も大変お世話になり、有難うございました。
- 日頃から大変お世話になり、ありがとうございます。
- 心ばかりの物ですがお納めください。
- ささやかではございますが、日頃の感謝の気持ちです。どうぞお納めください。
- 日頃お世話になっているお礼です。お役立ていただければ幸いです。
- いつも大変お世話になっております。〇〇様がお好きだと伺っておりましたので、心ばかりの品ですが、お歳暮でございます。よろしければ、皆さまでお召し上がりください。
最後に「今後とも/来年も、どうぞよろしくお願いいたします」
品物について特別な思い入れ・気を付けて欲しいことがある場合は、一言添えると良いでしょう。
【相手のことを思って選んだ品であることをやんわり伝える】
・美味しいと評判のようですので、、
・お好きと伺ったので、、
・ご家族の皆様でお召し上がりいただけるように、、
【気をつけて欲しい点がある場合】
・賞味期限や保存方法など気をつけて欲しい点があれば、そのことも伝えましょう
これだけ伝えられれば大丈夫です。部屋に上がらず玄関先などでお渡しする場合には、この程度のご挨拶と最低限のお話だけで早々に引き上げましょう。
「つまらないものですが」に込められた深い意味は?
昔は贈り物をする際に「つまらないものですがお納めください」等と言ったものです。
「一所懸命に選んだ品物ですが貴方が大変素晴らしい方なので、 どのような物でもつまらない物に思えてしまいます」「立派なあなたに相応しい品物はない」といった考え方から「つまらないもの」と表現していました。
相手を称え、自らを遜る(へりくだる)謙遜語であるだけでなく、深い意味が込められていたのです。
現代では、その深い意味を知らないため、文字通りに「つまらないもの」「取るに足らないもの」として受け止め、「つまらないものを贈る方が失礼だ!」考える人も一定数いるようです。
言葉は時代とともに変わります。どちらが正しいとか、知識があるとかないとか、相手を責めても仕方がありません。せっかくのお礼の気持ちなのですから、誤解のないよう、双方不快な気持ちにならないような、言葉を選ぶ方が無難なのです。
【つまらないものですが の言い換え例】
- 心ばかりの品ではございますが…
- お気に召していただけると嬉しいのですが…
- 美味しいと評判でしたので…



「ささやかではございますが」は現代でも使われていますが、そのうち「つまらないもの」同様の扱いを受けることがあるのかもしれませんね、、、
【ささやか】
デジタル大辞典
形ばかりで粗末なさま。わずかなさま。多く、謙遜して用いる。
お歳暮/お中元を渡す時に紙袋はどうする?
お中元やお歳暮を持参する際に、一番美しいのは風呂敷包みですが、現代では紙袋が一般的です。
部屋に上がってお歳暮/お中元を手渡す場合
部屋に上がって、お歳暮を渡す時の簡単な流れです。
- 部屋に通していただいてから、椅子や座布団に座る前に落ち着いてご挨拶をします
- 紙袋や風呂敷から品物を取り出し、紙袋などをさっとたたみます
※ 立って渡す場合には品物を置く場所がなければ、品物を渡した後にたたみます - いったん正面を自分側に向けてのし紙などをチェックします
- のし紙が相手から読めるように向きを変えて、両手で渡します
- お渡しした後で、椅子や座布団に座ります
たたんだ紙袋は、持ち帰るのが原則ですが、親しい間柄であれば、処分をお願いしても構いません。
玄関先でお歳暮を手渡す場合
1年/日頃のお礼に伺うわけですから、部屋に上がり落ち着いてご挨拶をする方が望ましいのですが、先方の都合や事情がある場合には玄関先で渡しても構いません。
玄関先でお歳暮を渡す時の簡単な流れです。
- まずは落ち着いてご挨拶をします
- 紙袋や風呂敷から取り出します
- いったん正面を自分側に向けてのし紙などをチェックします
- のし紙が相手から読めるように向きを変えて、両手で渡します
- 紙袋などをさっとたたみます
たたんだ紙袋は、持ち帰るのが原則ですが、親しい間柄であれば、処分をお願いしても構いません。
外出先でお中元を手渡す場合
習い事の教室など、先方のご自宅ではない場合の手渡し方です。
挨拶の後、紙袋から出して贈答品が相手の向きになるようにして渡します。
「よろしければお持ち帰り用にお使いください」と新しい紙袋もお渡しします。
先方の持ち帰り用紙袋は、持参する時に自分が使った紙袋とは別の袋にするのが原則です。贈答品を購入する際に、持参用と持ち帰り用の2枚の紙袋を用意することになります。
挨拶の後、紙袋に入れたまま贈答品を渡します。
紙袋のまま手渡しする場合は、片手を「袋の下」に、もう片方を「持ち手の付け根」に添えて、「紙袋のままで失礼いたしますが、お持ちください」と言葉を掛けて差し出しましょう。
相手が急いでいる場合や、落とす可能性がある場合、相手が持ちにくい場合等では、贈答品を紙袋のまま渡しても構いません。状況に応じて相手にとっても無理のない渡し方をしましょう
子供の習い事にお歳暮/お中元は必要?
お歳暮やお中元は、日頃の御礼や季節の挨拶です。絶対に必要なものではありませんが、習い事の種類や先生の考え方よって違いがあることは、理解しておきましょう。
子供の習い事にお歳暮は贈るべき?
子供の習い事の先生へのお歳暮やお中元は、私の小さい頃はごく当たり前のように贈っていたものです。
近年は、習い事でも「受け取ってはいけない」という規定があったり、先生の方で恐縮される、ご辞退されることもあります。
一方で、茶道、花道、日本舞踊、お習字などの日本の伝統を重視するような習い事や、ピアノ、バレエ、バイオリンなど師弟関係が重視されている習い事、プロ養成などの場合には、今でもお歳暮やお中元を贈ることが珍しくなく、先生によっては「当然」レベルで考えている場合もあります。
会社が運営しているような教室であれば受付に、個人宅等の教室であれば他の生徒さんの保護者に聞いてみるといいでしょう。
サッカーや野球などのクラブチームの場合には、各家庭から数百円程度集め、チームとして贈ることもあります。その際には、個別に贈る必要はありません。初めてのお歳暮やお中元の時期に、チームメイトの親御さんに確認してみるといいでしょう。



子どもの習い事の場合、親としての気持ちもありますが、他の生徒さんと足並みを揃えることも大切です。
子供の習い事の先生にお歳暮を贈る意味は?
子供の習い事の先生にお歳暮やお中元を贈るのは、あくまで日頃の御礼や季節のご挨拶、先方の体調への気遣いです。
親が子どもの成長を気にかけている程度のプレッシャーにはなるかもしれませんが、贈り物をしたところで子供が上達するわけでも、成績が伸びるわけでもありません。中には贈り物の多寡で贔屓をする先生もいるかもしれませんが、贈り物をすることによる見返りは求めない方がいいでしょう。
また、指導していただくことへ対価として月謝をお支払いしているわけですから、必要以上に贈り物などを気にする必要もないでしょう。
子供の習い事の先生へのお歳暮の渡し方は?
上述の通り、プライベートレッスンであれば、子どものレッスンについて行きレッスン前(場合によっては後)に玄関先でお渡しするといいでしょう。
グループレッスンの場合には、他の生徒さんや親御さんの目もありますので、レッスン前にお渡ししたり、ご自宅に送るのがいいでしょう。
レッスン前に玄関先で渡すのであれば、先生のスケジュールにも問題はないでしょうから、事前連絡をしなくてもいいでしょう。
今はお歳暮お中元を贈らない人も少なくない
官公庁はもちろん、民間企業でもお中元やお歳暮の授受を禁止しているところが増えつつあります。そのため、プライベートでもお歳暮やお中元を贈らない人も増えています。



贈らないなら贈らないで割り切ったほうがスッキリしそうです。
昨今の”個人的な”お中元やお歳暮などは、小売業者の商戦にすぎませんので…
お歳暮とお中元、どちらかにするなら
お歳暮とお中元、どちらか1回にするなら「お歳暮」です。





