返信・返送・確認などを相手に依頼する際に使える文をまとめておきます。
お詫びや、相手の健康を気遣うような結びの文とは異なりますので、バリエーションを増やす必要もありません。自分の中で定型文としてパターンを押さえておくと、無駄にエネルギーを使わずに済みます。
くださいますよう・いただきますよう・いただけますよう の違い
「くださいますよう」「いただきますよう」「いただけますよう」の違いをざっくり確認します。
「くださいますよう」とは
「くださいますよう」は、相手に何かをしてもらうよう依頼する際に使用します。
「くださる」は「与える」の尊敬語で、相手の行動に対して直接敬意を表します。
「いただきますよう」とは
「いただきますよう」は、自分が受け取る立場の時に使います。
「いただく」は「もらう」の謙譲語で、自分が相手から何かを受け取る、こちらが決めた行動をしてもらう際に使用します。
自分の行動を低めて表現することで間接的に相手を立てる、相手に敬意を表します。
「ご返送いただきますようお願いいたします」であれば、返送してもらうことを前提として、相手に行動(返送すること)を依頼する表現なのです。
「いただけますよう」とは
「いただけますよう」は基本的に誤用です。
「いただける」は相手に対して可能の意味を持つ敬語表現
- いただける=(相手が)できる
- ~いただけます=(相手が)~できます
例文で確認します。
- お試しいただけます=(相手が)試すことができます
- ご利用いただけます=(相手が)利用することができます
- お召し上がりいただけます=(相手が)食べる(飲む)ことができます
試す・利用する・食べるなど、可能性を示し実際に行動するかどうかは相手に委ねる、相手に選択の余地を与えるときに使います。
ちなみに、コレらが「いただきます」になると、ちょっと怖いです。
相手が何かすることを前提とし、サービスなどの決定権は提供者側にある、確定的な表現になります。
言葉を分解すると「誤用」でも、実際には「ご確認いただけますよう」などは、ビジネスシーンでも使われていますね。
返信・返送・確認を依頼するなら?
返信・返送・確認を相手にお願いする際には、「くださいますよう」か「いただきますよう」のいずれかです。
⭕️ご返信(ご返送/ご確認)くださいますよう、お願い申し上げます。
→ 「返送する」相手に対する直接の敬意
⭕️ご返信(ご返送/ご確認)いただきますよう、お願い申し上げます。
→ 「返送していただく」自分がへりくだることで相手を立て、敬意を表す
❌ご返信(ご返送/ご確認)いただけますよう、お願い申し上げます。
「くださいますよう」「いただきますよう」いずれも、相手への敬意を表しますが、尊敬表現か謙譲表現かの違いです。
送る自分は「送付」「お送り」?
相手に、返信・返送・確認を依頼する資料などを送付する際の表現もまとめておきます。
「送ります」のバリエーション
- ○○をご送付いたします
- ○○をお送りいたします
- ○○を同封いたします ← 封筒で送付
- ○○を添付いたします ← メール等
〜する < 〜します < 〜いたします < ご/お〜いたします
で、敬語の度合いが高まります。
つまり、送付する < 送付します < 送付いたします < ご送付いたします の順。
ただし、「ご送付させていただきます」はイマイチ。現代では多用される表現かもしれませんが、送る相手の許可が必要なわけではありませんので、「させて」はつけなくて正解です。
送付状文例
送付状やメール本文では、相手が開封した際に次の事項が的確にわかることが重要です。
- ご記入の上、ご返送いただきますようお願い申し上げます
- 内容をご確認いただき、必要事項をご記入の上、ご返送ください
- ご多忙中恐れ入りますが、ご返送にご協力いただけますと幸いです
- 必要事項をご記入いただき、同封の返信用封筒にてご返送いただければ幸いです
- 訂正箇所がございましたら、赤字でご記入いただき、ご返送をお願いいたします
- お手数おかけいたしますが、ご確認後にご返送くださいますようお願いいたします
- お手数をおかけして大変恐縮ではございますが、ご返送のほどよろしくお願いいたします
- ○月○日までにご返送くださいますよう、よろしくお願い申し上げます
- 誠に恐れ入りますが、今週中のご返送にご協力いただけますと幸いに存じます
- 別添の資料をご参照ください
- 同送の資料をお目通しください
- 同封いたしました書類をご確認ください
- 本状に添えてお送りする資料をご参照くださいませ
郵便にて返送してもらう場合には、届け先(自分)を記入し、切手を貼付した返信用封筒(もしくは後払い、着払い封筒)を同封することも忘れずに。
相手や書類の内容によって、言い回しなども変わってきます。
いくつかのパターンを用意しておくと、使い分けできるので便利ですね。