古民家を自宅カフェにリノベーションして開業するまでの手順と営業許可申請のポイント

格安な古民家物件を見つけて、自宅カフェにリノベーションすれば、移住/田舎暮らしと転職/起業が一気に叶います。

カフェなどいわゆる水商売は、仕事の仕組みも単純明快。小難しい資格も免許も不要です。そこに美味しいものや心地よい空間があればお客さんは来てくれます。

自宅カフェ開業の唯一の法的ハードルは、保健所の許可が必要なことくらいです。

その要件などは、何を作ってどう販売するかによって異なります。ただ、カフェで食事やドリンクを提供する分には、許認可自体のハードルは高くありません

目次

自宅カフェにリノベーションして開業するまでの手順

保健所の申請以前に、自宅カフェを営業する上で確認しておくべきことがあります。

店舗営業できる地域かの確認

田舎の古民家立地ではあまり関係ありませんが、自宅で店舗を開ける地域かどうかについての確認は必要です。

要は、用途地域の確認です。用途地域とは、建てられる建物の種類、用途の制限を定めた基準のことです。

基本的に、どの地域でも開業できますが、住宅専用地域の場合、店舗兼住宅では「店舗床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満」などの条件もあります。

インターネットで簡単に確認できますので、不動産の契約や購入前に確認しましょう。

用途地域の確認方法

周辺リサーチ

飲食店を開業するということは、その地域に住んでいる以外の人を呼び込むことになります。

地方田舎の防犯意識が強い地域では、クレームの原因にもなりかねませんので、あらかじめその地域の方に相談してみるといいでしょう。

近隣の店舗や交番、公民館などの方に聞いてみると、その地域に詳しい方を紹介してもらえたりもします。

保健所申請について

古民家をリノベーションして自宅兼飲食店(カフェ)をやりたい旨を建築家や工務店など、工事を依頼する業者に伝えれば、適切な仕様で設計〜提案してもらえますが、保健所申請など、オーナー自身がやるべきことも多々あります。

以下、オーナーがやるべきことの手順を記します。

STEP
図面ができたら保健所に確認

何を提供するかによって、必要な設備や許可が異なります

設計図面ができたら、一度保健所に図面を持参し、問題がないかを確認しておきましょう。

保健所との事前確認は、必要なわけではありませんが、確認しておくと間違いありません。

カフェなどの飲食店は、すべて「飲食店営業(第1号関係)」。

以前は、飲食営業許可と喫茶店営業許可は分かれていましたが、現在統合されています。

テイクアウトは、飲食店の営業許可があれば基本的に追加の許可は不要ですが、メニューによって別の許可が必要になります。

また、手作りジャムなどを販売する場合には、製造許可も必要です。

セルフリノベーションの場合には、手書きの図面で大丈夫です。
手書きの場合には、サイズを記入。縮尺は正確でなくてもざっくり合っていれば、問題ありません。
私たちも、手書きの図面で申請しました。

STEP
食品衛生責任者の講習会に参加する

飲食店営業には、オーナーもしくは従事者の中から食品衛生責任者を1名定める必要があります。

これが、飲食店営業に唯一必要な資格です。

飲食店開業に必要な資格

  • 食品衛生責任者各都道府県で実施される養成講習会へ参加
    ・養成講習会では、食品衛生学・食品衛生法・公衆衛生学について学び、最後に確認試験があります ← 簡単です
    1日で終了、受講料1万円程度

※ 都道府県によっては、eラーニング式による「食品衛生責任者養成講習会」もあります。
食品衛生責任者養成講習会と同様の「修了証」が発行され、確認試験もオンライン上で受講できます。合格すれば、資格取得できます。

従業員でもいいのですが、辞めることも想定し、オーナーご自身か身内の方がなるのが望ましいです。

調理師、栄養士、製菓衛生士などの資格をもっていれば講習が免除される場合があります。

STEP
営業許可申請用の書類を提出する

工事完了予定の1〜2週間前を目安に保健所に営業許可申請用の書類を提出します。

申請に必要な書類

  • 営業許可申請書
    店の代表者の名前や住所、営業時間、食品衛生責任者の名前など
  • 営業施設の大要・配置図
    店の設備や面積、客席数、従業員数など
  • 食品衛生責任者設置届
    食品衛生責任者手帳の写し
  • 水質検査成績書
    貯水槽、井戸水を利用する場合

※ 自治体や申請する内容によっても異なります。管轄保健所で確認してください

食品衛生責任者講習は日程が決まっています。保健所の申請/立入検査後に受講する場合には、受講予定日を伝え、資格取得後に報告します。

STEP
保健所の立ち入り検査を受ける

保健所の担当者が店舗を訪れ確認します。

検査の立会人に指定はありませんが、オーナーもしくは食品衛生責任者が立ち会うことが望ましいです。

不備があれば改善し、後日改めて検査日を決めて再検査となります。

STEP
保健所に営業許可証を発行してもらう

立入検査に合格すると、営業許可書交付予定日が知らされます。予定日以降に保健所で営業許可書を受け取ります。

営業許可の申請から許可証の発行までは、順調に行っても2〜3週間程度かかります。

STEP
営業開始

営業開始以降も、店舗や設備が基準通り管理されているか点検を怠らないようにしましょう。

営業後、保健所が収去検査や立ち入り検査をすることもあります。

  • 収去検査:食品を検査し有害な微生物や残留農薬などが無いか確認する
  • 立ち入り検査:飲食店の設備や管理体制が適切になされているかを検査する

自宅カフェにリノベーションする場合のポイント

保健所の検査をクリアし営業許可を得るためには、そのチェック項目について、リノベーションの施工業者が知っていることは勿論、オーナー自身も知っておく必要があります。

管轄する地域の保健所によって細かい要件は異なりますので、工事開始前に管轄の保健所に確認することをオススメします。どのような店にするかを伝えれば、必要な設備や許可等教えてもらえます。

保健所がチェックする箇所〜カフェの場合の通例

  • 店舗と住居は仕切りなどで完全に区画されているか
  • 調理場とホールをしっかり仕切ることが出来るか
  • 厨房設備はすべて厨房内に収まっているか
    ・冷蔵庫や製氷機、食器や食洗器、オーブン等といった設備は調理場内に設置
  • 床、壁は清掃しやすい構造になっているか
  • 冷蔵庫に温度計は設置されているか
    ・外から冷蔵庫内の温度がわかるようにしなければならない
  • 店内は暗くないか
  • 換気扇が設置されているか
    ・防鼠防虫の設備がついているか
  • 従業員専用の更衣室や更衣ロッカーは調理場と区分されているか
  • トイレは衛生上影響のない位置に設置されているか
  • 従業員の手洗い設備はあるか
    ・手指の消毒器(手洗い用の洗剤)が設置されているか
    ・サイズが定められている地域もある
  • シンクは2槽あるか、もしくは1槽シンク+食器洗浄機が備わっているか
    ・サイズが定められている地域もある
  • お湯の出る給湯設備があるか
    ・60℃程のお湯が出なければ許可はおりない地域もある
  • 食器や食品をしまう設備に扉がついているか
    ・必ずしまう設備が必要。戸が木製でもガラス製でも可
  • ふたがついているゴミ箱があるか
    ・ゴミ箱は必ず蓋つきで最低1つ以上必要
  • 非常口への動線は確保できてわかりやすいか

上記の条件を満たさなければ営業許可を受けることができません。

そのため内装工事は、自宅兼店舗の施工経験がある業者に相談するがオススメです。また、複数の会社からの見積もりを検討すると異様に金額が高い施工業者に依頼するということがなくなります。

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