リモートワークの普及などもあり、注目されている地方移住。
メディアで取り上げられることも減ったようですが、地方の小さな市町村は超高齢化や人口激減予防策として、移住者に向けた支援制度も拡充されています。
インターネットなどで、いくらでも情報を集められる時代ですから、各自治体間での競争も激しくなります。
家や仕事を斡旋する支援は当たり前。単に移住者を増やすための支援にとどまらず、移住して起業してもらう、地方で新しい事業を創生してもらう、その為の支援制度に力を入れるようになってきています。
地方で起業を目指す人に向けた資金調達を支援する補助金や融資制度をまとめておきます。
地方で起業する人を支援する補助金・助成金とサポート制度
①地方で起業する人の為の補助金・助成金制度
地方に移住し、田舎で起業するとダブルで支援を受けられるおいしい補助金/支援制度があります。
「地方創生起業支援事業」「地方創生移住支援事業」と呼ばれるものです。
【概要】
地方起業支援(https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html)
地域の課題に取り組む「社会性」「事業性」「必要性」の観点をもった起業(社会的起業)を支援 〜 最大200万円、補助率1/2以内
地方移住支援(https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html)
地域の重要な中小企業等への就業や社会的起業をする移住者を支援 〜
・最大100万円
・18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき最大100万円を加算
・単身の場合は最大60万円以内
↓
起業支援金+移住支援金
地方に移住して起業した場合 〜 最大300万円
※ 18歳未満の子供も共に移住する場合には、子供一人当たり最大100万円加算
※ 単身の場合は最大260万円
採択者には、都道府県が選定する執行団体が計画の審査や事業立ち上げに向けた伴走支援を行うとともに、起業に必要な経費の2分の1に相当する額を交付
分野としては、地域活性化関連、まちづくりの推進、子育て支援、社会福祉関連、買い物弱者支援等など地域の課題に応じた事業が想定されます。
起業支援金には、人件費、店舗等借料、設備費、原材料費、借料、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、マーケティング調査費、広報費、その他知事が必要と認める経費が含まれます。
交付限度額200万円、補助率は1/2以内とはいえ、人件費、設備費、原材料費、旅費、マーケティング調査費、広報費、、これだけでも400万はかかります。
つまり、無理して経費を使わなくても、交付限度額200万円に達します。
不足分は、自己資金をプラスしたり、別途融資を受けることになりますが、地方や田舎でしか出来ない事業、地方に移住したからこそ出来る事業を実現するには、ありがたい支援です。
【地方起業支援 対象者】
① 東京圏(*1)以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域(*2)において社会的事業の起業を行うこと。
② 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに個人開業届又は法人の設立を行うこと。
③ 起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。
(*1)東京圏
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
(*2)東京圏の条件不利地域の市町村
・東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
・埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町、東秩父村、神川町
・千葉県:館山市、勝浦市、鴨川市、富津市、いすみ市、南房総市、東庄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
・神奈川県:山北町、真鶴町、清川村
【地方移住支援 対象者】
①【移住元】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
②【移住先】東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)
③【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施
※ それぞれに細かな要件が別途あります
この制度は、国・内閣府主導の制度ですが、実施は各自治体です。
②地方で起業する人の為の融資制度
地方で起業する際に融資をうける場合は、先ずはその地域の銀行または信用金庫に相談してみるのが良いです。
もし民間の金融機関に断られることがあっても、日本政策金融公庫があります。無論最初からこちらに相談しても構いません。
日本政策金融公庫には、移住者支援制度はありませんが、新規開業等を支援する制度があります。
「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方」が対象で、他にも要件はあります。
民間の金融機関よりも、税務省所管の特殊会社である日本政策金融公庫のほうが敷居は高くありません。誰でも利用できますので、気軽に相談してみると良いでしょう。
③地域おこし協力隊で働いてから起業する
『地域おこし協力隊』という”地方で暮らしたい”人を応援する制度もあります。
地域のPR活動や農林水産業への従事、住民の生活支援等など、地域に関わる様々な仕事に携わりながら、最長3年間の雇用契約または業務委託契約を結ぶ(給料をもらう)というものです。
諸条件は地域によって異なりますが、給料は平均16万前後。任期終了後の起業には、最大100万円支給されるということで、若い人を中心に増える”移住ニーズ”に応えたとても良い制度です。
隊員の4割が女性で、7割が20~30代。任期終了後は約6割の人がその地域に定住しているそうです。
約束された給与=生活費がありながら地方移住/田舎暮らしを実現し、その地域の様々なモノやコト、そしてヒトに出会えることが出来るので、”お試し移住“としてはもちろん、起業の足がかりに『地域おこし協力隊』となるのは賢い選択かと思います。
但し、『地域おこし協力隊』として雇われるということは、公人になることでもあり、自由ではなくなります。そして、最大の問題は給与(平均16万)と時間(最長3年)です。
家族構成にもよりますが、地方/田舎で暮らすなら十分とは言わないまでも、生活はしていけるとは思います。別途住居費などが優遇されるケースもあるようです。
が、しかし、もし本気で起業し3年経てば結構稼げるようになります。
もし、まだ十分に稼げていないにしても費やした時間=経験は必ず今後の事業のプラスになります。
時間=経験はお金では買えないし、時間をかけてしか育たないものもあるのです。
田舎で暮らしてみればわかります。田舎だと時間はゆっくり流れるような気がしますが、あっという間に季節が変わり月日が過ぎていきます。
“お試し移住”なら良いのですが、移住して起業することが目的であれば、3年間自己投資そして事業に投資すべきだと私は思いますが、一応選択肢の一つとし載せておきます。
④クラウドファンディング
私個人的には、融資を受けるのであれば、日本政策金融公庫がオススメです。
行政の補助金申請や、銀行などの融資申請の手続きは面倒だし不愉快になることが多いのですが、日本政策金融公庫は手続きも面倒なことはありません。自由度が高く、形式的な報告などを強いられることもありません。
でも今、もっと簡単な方法があります。クラウドファンディングです。この数年で着実に利用者が増え、成功事例も増えています。
クラウドファンディングサービスは色々ありますが、以下の2社が大手で安心でしょう。
>Makuake(地域活性化)
>CAMPFIRE(まちづくり・地域活性化)
>地域に寄り添うクラウドファンディングVAAVO ※CAMPFIRE傘下です
上記リンクを参照すればわかりますが、すでに様々なプロジェクトでたくさんの成果を得られています。
特に、オススメはMakuake。
アクセスユーザーも多いですし、累計応援購入額が850億円以上。
掲載申込前には、Makuakeの担当者との打ち合わせもありますので、サポート体制も万全。プロジェクトページを作成するには、少し手間がかかりますが、でもこれがいいのです。
プロジェクトページを作成するということは、自分たちの思いや目標を言語化すること。何をどうしたいのかが、自分の中でもクリアになっていく作業です。
掲載後、目標金額に達成しなくても、自分たちの持ち出しはないのですから、使わない方がむしろ損なくらいです。資料請求は無料。↓まずは、資料を見てみてください。
私の友人もMakuakeで、加工場の費用を調達。
リターンは、手作り体験や商品。遠方からも、体験に来ていただいたと、とても喜んでいました。
起業しやすい県、サポートが手厚い市町村はどこ?
冒頭にも記しましたが、単なる移住者よりも、移住して過疎化が進む田舎で起業してくれる人は大歓迎されます。
何故なら、町の新しいビジネスが出来れば、人が集まります。雇用が生まれます。町の財政が潤います。まさに町の救世主。
そんな可能性を支援する制度やサービスは、今後ますます充実してくるでしょう。
事実、Uターン、Iターン、Jターンによる移住定住促進と起業支援に一生懸命な「東北」や「北陸」「四国」「九州」には手厚くサポートしてくれる制度が沢山あります。
ちなみに、起業支援に手厚いことで有名なのは「千葉県」です。銀行や信用金庫が多数協賛する起業化支援イベント「ちば起業家ビジネスプランコンペティション(CHIBAビジコン)」は有名です。
なお、47都道府県のうち開業率のトップは「沖縄県」で、起業が全国一盛んな地域として有名です。次いで、「福岡県」や「愛知県」も開業率が高い地域です。
自治体の支援制度と開業率は関係ないようです。無論、自治体の支援制度の充実度や開業率で、起業の成否が決まるわけではありません。
自分の好きな場所で、住み居心地の良い場所、働き心地の良い場所で起業すべきだと思います。