誰も住まなくなった実家。
立地条件が悪い、家の状態や設備が良くない、家具他荷物が多数残っているような場合、賃貸向きでもありませんし、売却も難しい。解体すれば、解体費用もかかるし、更地にすれば税金が変わるし、思い出もあるし、そもそも面倒だし、、
様々な理由で、放置されている物件は数多くあります。
空き家の実家を放置すると金銭的ペナルティ?
今までは、放置でも良かったのですが、2023年12月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正により、そうも言っていられなくなりました。
放置で固定資産税が最大6倍!?
場合によっては、固定資産税が最大6倍、老朽化が進んだ空き家は強制的に解体され、その解体費用が自治体から持ち主に請求される可能性もあるのです。
これって、もう、金銭的ペナルティと言えそうなレベルです。
さらに、2024年4月からは、親の他界などにより相続した不動産の所有権変更/名義変更を放置しても、ペナルティが課されるようになりました。
相続登記(名義変更)しないと10万円以下の罰金?
これまでは、不動産などの所有権の相続登記は任意でした。
つまり、相続でもめたり、売却/抵当物件とせず、そのまま所有しているだけであれば、相続登記はしなくても良かったのです。
その結果、所有者不明土地の発生原因の約66.7%が相続登記がされていない、約32.4%が住所変更登記がされていないことが、国土交通省の平成30年(2018年)版土地白書で報告されています。
公共事業や民間の事業計画、空き家や未使用地の活用にも支障がでることから法改正され、2024年4月1日から相続登記が義務化されています。
【相続登記義務化とは?】
- 2024年4月1日から相続登記が義務化
- 相続による不動産取得後3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料対象
- 住所変更も義務化され、2年以上未登記の場合は5万円以下の過料
- 法改正以前の不動産も義務化対象
- 起算日は、「不動産の所有権を相続したことを知った日」
ただし、過去に相続した物件にも課されるので注意が必要です。
要は、相続したものは所有権をきちんと登記すれば何の咎めもありません。
相続人が、引っ越しなどで住所変更した際にも、その都度住所変更手続きをすれば何の心配もありません。
【過料と罰金は違うの?】
- 過料:行政上の秩序罰
→ 行政上の秩序を維持するために、行政法規上の義務違反に対して少額の金銭を徴収する罰則 - 罰金:刑事訴訟法の手続による刑罰の一種
過料の場合、刑事罰ではないので、検察官による起訴、刑事裁判、前科とは関係ありませんが、払わずにいると強制執行の手続きに関する規定に従い財産没収や差押えなどされます。
空き家の実家を手間なしで売却する方法
離れて住んでいて、手間もお金も時間もかけられないような場合には、そのまま売却するに限ります。
2023年12月の法改正の影響、新築物件の高騰などもあり、空き家などの買取が盛んになっています。多少安くなったとしても、手間なし売却が可能です。↓
買取までの流れも簡単です。
- 問い合わせフォームから無料相談
- 査定・買取金額の見積もり
- 金額に納得したら、契約・入金
【スピード買取などのメリット】
- 築古・ボロ家・事故物件などの物件でも買取可能
- 残地物の片付け不要
- ご近所さんなどに知られずに売却可能
- 手間なしで短期間で現金化
【スピード買取などのデメリット】
- 安く買い叩かれる可能性がある
- 時間がかかっても、普通に売却した方が高く売れる可能性がある
多少安くても手間・労力なしで手早く現金化するか、手間・時間・労力をかけても少しでも高く売却するかの違いです。
空き家の実家を格安で手放したくない場合には?
今は空き家とはいえ、自分の実家です。格安で投げ売りのように手放したくない場合には、他の解決方法を選びましょう。
- リノベーションして自分達が移住する
- リノベーションして自分達用の別荘/セカンドハウスにする
- リノベーションして賃貸物件にする
- リノベーションしてから売却する
物件の状態にもよりますが、築古物件を数年以上放置すると、家も傷みます。そもそもで、設備などが古い場合には、将来的にリフォームやリノベーションは必要です。
ですから、住むにしても、貸すにしても、売却するにしても、住みたくなる物件にするには、リフォーム/リノベーションが必須です。
地方移住~田舎暮らしの需要は俄かに増えていますし、自分にとっては生まれ育った家がリノベーションして生まれ変われば、自分の資産にもなるし、社会の資産にもなるのです。
空き家になった田舎の実家を再生する方法を考えてみましょう。
空き家の実家を再生させる時のポイント
築年数の古い家をリノベーションする際は、当然新築や築浅物件のリフォームと異なる点に目を向けなければなりません。
特に実家となると相続の問題にも気を付けなければなりません。
順を追って解説します。
税金対策
先ず、基本的なことですが、親が存命で家の名義が親のままである場合、リノベーションの費用を自分(子供)が出すと税金の問題が発生します。
子供が110万円以上のリノベーション費用を負担する場合、親に贈与したとみなされ、贈与税が課せられるのです。
これを避けるには、建物の名義を子供(自分)に移しておく必要があります。
この場合、親から子への贈与に相当するので贈与税がかかりますが、古い木造建築だけの贈与なら建物の価値が極めて低くなっているため、非課税になるか、課税されても安く済ませることができます。
自分名義にしておくことで、住宅ローン控除が利用できるほか、省エネリフォーム、耐震リフォーム、バリアフリーリフォームで税金が戻ってくる優遇制度が利用できるようになります。
【相続により家の名義変更にかかる主な費用】
相続登記をする場合、登記申請時の登録免許税と必要書類の取得費用などがかかります。
◉ 登録免許税:相続する不動産の固定資産税評価額×0.4%
・1000万あたり4万円
・固定資産税評価額は不動産所在地の市区町村役場発行の評価証明書に記載
◉ 必要書類の取得費用
・被相続人・相続人の戸籍謄本 など 合計でも数千円程度
・遺言書、遺産分割協議書、相続人の人数などのよっても必要書類が異なります
◉ 司法書士などへの報酬
・3〜10万円程度
・自分で名義変更をする場合には、不要
住宅性能
続いては住宅性能についてです。
特に、築40年、50年という古い家は、断熱性や耐震性は脆弱です。
住宅性能を高めることは古民家リノベーションの基本です。
費用にも直結しますが、ここを手抜きすると、快適性や安全性に影響があり、不動産としての資産価値にも直結します。
耐熱(気密)性能対策
1980年以前の竣工の物件は、省エネルギー基準が無かった時代ですから、夏暑く、冬寒い家が多いです。
かえって築100年近くの古民家のほうが、地域の気象条件などに合わせて、家の向きや窓の配置、屋根の傾きなどを工夫して建てられているので、夏はとても快適という家もあります。が、冬の寒さは厳しいです。
故に、古民家をリノベーションする際には寒さ対策は必須事項。
費用はかかりますが、難しい問題ではありません。リフォーム会社や工務店、大掛かりなリノベーションであれば設計事務所等が適切に対応してくれます。
セルフで古民家リノベーションする場合の寒さ対策については、別の記事でもご紹介しています。業者に依頼する場合でも事前に頭に入れておくと良いでしょう。
耐震性能対策
問題は耐震性能です。
1981年以前の家はいわゆる「旧耐震」。大きな地震があったときのことを考えると不安です。
建物には、1981年6月1日以降の建築確認における適用基準である「新耐震基準」と、1981年5月31日までに許可がおりた「旧耐震基準」があります。
新旧の耐震基準の大きな違いは、震度6強以上の強い揺れに対する想定です。
地震の規模 | 旧耐震基準 | 新耐震基準 |
---|---|---|
震度5強程度 | 大きな損傷を受けない → 変形・倒壊しない | 軽微なひび割れ程度の損傷 |
震度6強程度 | 建物の倒壊や損傷を受けない → 倒壊や損壊しない |
尚、その後1995年の阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことから、さらに耐震基準が厳しくなりました。
2000年6月1日以降の耐震基準となったため「2000年基準」と呼ばれています。
【2000年基準のポイントは?】
- 地盤に応じた基礎の設計
- 木造住宅の接合部は金具で固定
- 偏りのない耐力壁の配置
旧耐震基準をより強化し、バランスの良い家づくりが義務化されました
2000年以降も、日本国内では何度も大きな地震に見舞われていますが、旧耐震と新耐震では被害状況に大きな差が生まれることは、すでにわかっています。
2024年1月に起きた能登半島地震でも、旧耐震基準の木造住宅の倒壊が多数ありました。
耐震改修工事には、それなりの費用がかかります。家の状態や、広さ、間取り等によっても、大きく異なってきますが、費用相場は150万程度とも言われています。
そのため、実家などの築古物件では、設備や生活の利便性に関わる箇所だけでをリフォームして終わりとする方も、少なくありません。その方が、工期も短く、費用も抑えられるからです。
でも、耐震性能については、リノベーションを依頼する工務店や設計事務所に、事前に躯体等を確認してもらってください。
耐震性能対策は命に関わる問題です。条件を満たせば、耐震改修工事費用に自治体から補助金もおります。全額負担するわけではないのですから。
空き家の実家を再生して不動産投資
実家をリノベーションする目的は、自分達で使うケースと、投資物件とするケースが考えられます。
実家であれば、リノベーション費用と若干の相続税のみで、物件購入費用はかかりません。リスクの低い不動産投資が可能です。
自分で住むも良し、セカンドハウスにするも良し、二世帯用にリフォームするも良し、でもこれからの時代、思わぬ価値を生む可能性もあるので、どうせリフォーム~リノベーションするなら投資効果を見込みつつ、徹底的にこだわってリノベーションすることも検討してみるといいでしょう。
都心から近い、観光地やリゾート地に近い、または海から近いなど、魅力ある立地であれば、別荘や移住して田舎暮らしのための物件としてはもちろん、店舗など事業用として、さらに資産価値あるもの=投資用物件に再生可能です。
時間的に余裕がありモノ作りが好きな方あれば、自らセルフリノベーション(DIY)するのも楽しいです。