報恩講で使う蝋燭(ろうそく)について、一般的な考え方を簡単にまとめておきます。
寺院や地域によって考え方が異なりますので、細かいことはご住職や世話人の方に確認すると間違いありません。
報恩講〜ろうそくの色
報恩講では、赤ろうそく(朱蝋・朱ろうそく)を使うことが一般的です。
赤ろうそく(朱蝋・朱ろうそく)を用意できない場合には、白のろうそくで代用することもできます。
浄土真宗で使うろうそく
和ろうそくと洋(西洋)ろうそくの違い
浄土真宗の法要では、和ろうそくを使いますが、自宅では必ずしも「和ろうそく」を使用しなければならないわけではありません。
和ろうそく | 洋ろうそく | |
---|---|---|
原料 | ・木蝋(もくろう)〜櫨(はぜ)の実の油から抽出 ・糠蝋(ぬかろう)〜米ぬかから抽出 など植物性の蝋 | パラフィン 石油由来の鉱物油 |
芯 | 紙やイグサ 太めの灯芯 | 木綿糸など 細めの灯芯 |
炎 | 大きく、美しく揺らぐ | 和蝋燭よりも小さめ |
色 | 少し黄色い | 白い |
特徴 | ・消えにくい ・燃焼時の臭いや油煙、煤が少ない | ・油煙やすすが出る ・安価 |
実際、木蝋や糠蝋から作られた本物の「和ろうそく」は比較的高価ですし、あまり売っていません。「和ろうそく」として販売していても、原料が「パラフィン」ならば、正確には「和ろうそく」ではなく、「和ろうそく風の洋ろうそく」です。原料や芯の形状で見分けることができます、
ろうそくの色
浄土真宗で使う蝋燭は、4種類、白・朱・銀・金の色があります。
一般の家庭でのお勤めでは、白か赤(朱)を使います。
種類 | 用途 |
---|---|
朱蝋(しゅろう) | 年忌法要・報恩講など |
白蝋(はくろう) | 一般の法要・日常の勤行など 朱蝋がないとき |
金蝋(きんろう) | 結婚式・慶事 ※ 朱蝋で代用可 |
銀蝋(ぎんろう) | 通夜・葬儀・告別式 ※ 白蝋で代用可 |
現代では、朱(赤)はおめでたい色ですが、古くには貴重な色、尊い色ともされていました。そのため年忌法要や報恩講など、大切な仏事の際に、白蝋よりも朱蝋(赤ろうそく)が使われるのです。
- 本願寺派(西本願寺)〜三回忌まで白、それ以降は赤
- 真宗大谷派(東本願寺)〜四十九日を過ぎたら赤(百か日法要から赤)
とも言われていますが、地域慣習やお寺の考え方によっても異なります。
ろうそくの形〜棒型・いかり型
ろうそくの形は大きく2種類、棒型といかり型に分けられます。
ストンとまっすぐなのが棒形、先(上)が太く根元が細くなるがいかり型です。
一般に、寺院ではいかり型、家の仏壇(お内仏)では棒型が使われますが、家の仏壇(御内仏)にあわせた小さなサイズのいかり型を使用する場合もあります。
真宗興正派は棒型を使用するようです。
これも地域や宗派、寺院によって考え方が異なります。
報恩講におすすめの赤ろうそく(朱蝋)
報恩講では、赤ろうそくを使用します。自宅の仏壇のサイズや、燃焼時間によって選ぶといいでしょう。
小さい方が、炎も小さく、燃焼時間も短く、使い勝手はいいのですが、あまり小さいとお勤めの途中で消えてしまうこともあります。
植物由来・お手頃価 赤玉錨ローソクの赤ろうそく
油煙を抑えた植物性(パーム油・糠蝋・和紙等)を原料とした、型流しタイプの和蝋燭 。
高さ:約55mm 燃焼時間:約20分 棒型
高さ:約88mm 燃焼時間:約30分 棒型
高さ:約100mm 燃焼時間:約45分 棒型
高さ:約110mm 燃焼時間:約55分 棒型
高さ:約90mm 燃焼時間:約55分 いかり型
お手頃価格のカメヤマの赤ろうそく
品質重視のカメヤマローソク。
ただ、原料はワックスとだけ記載。カメヤマの自社サイトでは ”カメヤマの和ローソクは、昔ながらのカタチをそのままに、扱いやすい洋ローソクの製法で作りました。” とあるので、厳密には和ろうそくではなく、和ろうそく風洋ろうそくと思われます。
高さ:約90mm 燃焼時間:約30分 棒型
高さ:約145mm 燃焼時間:約100分 棒型
昔ながらの和ろうそく〜糠蝋(米ぬかが原料)
高さ:約90mm 燃焼時間:約55分 いかり型
植物性原料であっても、主原料はパーム油(アブラヤシ)に変わっています。木蝋(ハゼの実)や糠料(米ぬか)を原料とした、昔ながらの和ろうそくはなかなか手に入りません。地域によっては、実店舗の仏具屋さんでも扱いがないこともあります。