デジタル技術の進歩により、私たちの生活は大きく変化しました。これらのサービスの中には、月額や年額の定期購入(サブスクリプション)形式で提供されているものがあります。
【代表的なサブスクリプション】
- Amazonプライムなどの有料ネットサービス
- NetflixやHuluなどの音楽や動画ストリーミングサービス
- GoogleやApple、Microsoftなどのクラウドストレージ
- オンラインゲーム
快適で便利で欠かせないサービスである一方、新たな課題も生み出しています。
その一つが、契約者が亡くなった後のサブスクリプションサービス解約に関する問題。これは、今後多くの遺族が直面する可能性のある課題です。
残された家族のためでもありますし、ご自身のプライバシー保護やセキュリティ、大切なデータの保管などのためにも、自分で対策しておく必要があります。
契約者死亡時のサブスクリプション解約問題
契約者が亡くなった場合、遺族がすみやかにサブスクリプションを解約し、あるいは自動的に解約され、不要な支払いを止めることが理想です。
しかし、現実はそう簡単ではありません。
- 遺族は故人がどのようなサブスクリプションサービスを利用していたのかさえ把握していない
- サブスクの利用を知っていても、アカウントやパスワードを知らない
- 契約者が死亡しても、自動解約にはならない
- 解約措置をしなければ、本人が死亡しても契約は続く
いずれにしても、サブスクの解約をしないと、新たな問題を引き起こす可能性があるのです。
- 不要な料金の継続的な発生
- 故人の銀行口座やクレジットカードからの自動引き落としの継続
- デジタルコンテンツへの不正アクセスのリスク
- 個人情報の長期間の保存
- 未納による遅延損害金の発生
- 未納や一定期間アクセスがないことによるアカウント凍結や削除
- 自動解約で重要なデータや思い出の消失
サブスクを解約しなければ、支払いに利用していた銀行口座やクレジットカードが活きている場合、自動的に支払いが継続されます。
銀行口座は、銀行に口座名義人の死亡を届け出ると口座が凍結されます。口座凍結中は、原則として口座振替が行われません。ただ、銀行側から定額制サービスの運営元へ、契約者の生死に関わる情報が伝わるわけではないので、口座振替ができなかった事実だけが残るのが、一般的です。
クレジットカードであれば、カード解約(退会)後のカード支払いを利用できませんが、退会前にした買い物や契約には影響を及ぼしません。カード退会前に発生したサブスク料金は、支払い義務があり引落されます。
サブスク料金の自動引落ができない場合、コンビニ払いや振込などの請求書が送られてくる可能性もあります。遺族が気が付かず、あるいは支払うべきものか分からず放置すれば、遅延損害金が発生する可能性もあります。
一方で、一定期間アクセスがない、未納が続くなどの場合には、アカウント凍結や削除になることもあります。
ストリーミングサービスや、ネットサービスであればあまり問題にならないかもしれませんが、ストレージサービスが凍結されると、一定期間後にアカウントが削除され、デジタル遺品一切のデータが消失する可能性もあるのです。
定期購入などもありますが、現物が届く分まだわかりやすいですね。
契約者死亡時の各有料サービスの解約対応方針
サブスクリプションサービスの提供者によって、契約者死亡時の対応方針は異なります。主要なサービスの例を挙げます。
- NHK:
NHKふれあいセンターに電話し、解約手続きか名義変更手続き - Google:
非アクティブアカウントマネージャーを設定することで、一定期間アクセスがない場合に特定の人物にアカウント情報を引き継ぐことが可能
2年以上使用されていない Google アカウントは無効となり、Googleは無効な Google アカウントとそのアクティビティやデータを削除する権限を有する - Amazon:
カスタマーサービスに連絡し、死亡証明書を提出することでアカウントの解約が可能 - Apple:
契約者が、生前にデジタル遺産管理人を指定することが可能
その人物がアカウントのデータにアクセスし、必要に応じて解約も可能 - Netflix:
アカウント所有者の死亡を報告するためのオンラインフォームを提供
必要な書類を提出することで、アカウントの解約や削除が可能 - Spotify:
カスタマーサポートに連絡し、死亡証明書を提出することでアカウントの解約が可能
これらの手続きは一般的に、死亡証明書や遺族であることを証明する書類等の提出が必要となります。サービスによっては、解約手続きに時間がかかり、その期間は支払い義務が生じる場合もあります。
契約者死亡後の相続人の支払い義務と法的側面
デジタル遺産に関する法律は、技術の進歩に追いついていない面があります。多くの国では、デジタル資産の相続に関する明確な法律が整備されていません。
日本の場合、デジタル遺産に特化した法律はまだありませんが、一般的な相続法の枠組みの中で対応が行われています。契約者が死亡すると、原則として相続人がその権利と義務を引き継ぐことになります。
契約者が死亡しても、サブスクリプション解約措置を取らなければ、提供者との契約は自動的に解約とはなりません。契約が継続する限り、相続者はサブスク利用料金の支払い義務があるのです。
一方で、クラウドストレージサービスの場合、写真などのデータが残されているため、名義変更をして継続利用を希望することもあるでしょう。デジタルサービスの利用規約によっては、アカウントの譲渡や相続を禁止している場合もあります。その場合には、契約者死亡後、遺族が希望してもサービスの継続利用ができない可能性もあります。
法的にグレーな領域であり、サービス提供者の判断に委ねられることが多くなります。
【重要!】トラブル防止のための生前にできる対策
デジタル遺産に関するトラブルを防ぐためには、生前から対策を講じることが重要です。以下にいくつかの方法を紹介します。
【パスワード管理サービスの活用】
パスワード管理サービスを利用することで、重要な情報を安全に保管し、必要時に指定した人物がアクセスできるようにすることができます。
【サービス提供者のツールの活用】
GoogleのInactive Account ManagerやFacebookのLegacy Contactなど、サービス提供者が提供する死後のアカウント管理ツールを利用することも効果的です。
【家族との情報共有】
利用しているサービスのリストや、アカウント情報を家族と共有しておくことで、万が一の際に速やかに対応することができます。
【遺言書の作成】
遺言で、自分のデジタル資産をどのように扱ってほしいか、具体的な指示を残すことができます。アカウントの解約手順や、デジタルコンテンツの取り扱いなども含みます。
パスワード管理サービスも、今あるものが将来に渡り使えるとも限りません。Googleなどのサービス提供者側のツールも、将来変更になる可能性もあります。
一度設定しても、時折確認しておくと安心です。
我が家では、遺言書+夫婦それぞれが使用してるサブスクやアカウント情報を共有しています。
共有していますが、夫がプライベートで使用しているものを覗くようなことはありません。私のは、覗かれても困るようなものはありませんが、夫はのぞいたりしないので気にもしていません。
【遺族の手続き】解約や名義変更の手続きの手順
契約者が亡くなった後、トラブルや不要な支払いを避けるために、遺族が取るべき対応は以下の通りです。
故人の利用していたデジタルサービスを特定します。
共有情報、メールアカウント、クレジットカードや銀行口座の明細、スマートフォンのアプリなどを確認することで、多くの情報を得ることができます。
特定したサービスのカスタマーサポートに連絡し、契約者の死亡を報告します。多くの場合、オンラインフォームや電話、メールでの連絡が可能です。
必要に応じて、故人のデジタルコンテンツ(写真、動画、文書など)をダウンロードし保存します。
解約/名義変更手続きに必要な、死亡証明書、遺族であることを証明する書類(戸籍謄本など)、故人の身分証明書のコピーなどを準備します。
各サービスの指示に従い解約手続きを行います。
自力での解決が困難な場合には、専門業者にお願いするのが間違いありません。費用はかかりますが、専門ツールによる調査で、デジタル資産の洗い出しを依頼できます。
サブスク解約だけでなく、遺族が知らなかったデータや記録、金融資産などがあれば、合わせて洗い出してもらえます。
オススメは「デジタル資産バトン」。
国際規格であるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得。プライバシーに関わるデータは、細心の注意を払い、慎重かつ丁寧に扱ってもらうことができます。
- 相談無料
- 秘密保持契約(NDA)締結後に個人情報等の詳細確認
- バイス(PCやスマホなど)を送り、取得可能なデータを確認
- 取得したい情報に合わせて見積もり
- データ抽出やバックアップ
- 報告・データ納品・デバイス返却
- 支払いは報告内容確認後
PCやスマホなどの端末(デバイス)にある情報を確認してからの見積もりですから、作業終了後に高額請求されるようなこともありません。依頼したデータやデバイスが返却され、報告内容を確認してからの支払いですから、詐欺などの心配もありません。
デジタル遺産管理の今後の展望
デジタル遺産・デジタル遺品管理は、今後ますます重要になることは間違いありません。これに伴い、以下のような動きが見られます。
多くの国で、デジタル遺産に関する法整備の必要性が認識されつつあります。例えば、アメリカの一部の州では、デジタル資産の取り扱いに関する統一法が制定されています。
ブロックチェーン技術を利用したデジタル遺産管理システムなど、新しい技術を活用した解決策の開発が進んでいます。よりセキュアで効率的なデジタル遺産の管理が可能になるでしょう。
多くのデジタルサービス提供者が、ユーザーの死亡時の対応をより明確にし、簡素化する動きを見せています。今後、さらに多くのサービスで、死後のアカウント管理ツールなどが提供されるようになると予想されます。
デジタル時代では、遺産はもはや物理的な資産だけではありません。デジタル遺産の適切な管理は、私たち自身と遺族の両方にとって重要な課題なのです。
サブスクリプションサービスの解約問題は、デジタル遺産管理の一側面に過ぎませんが、適切に対処しておかなければ、遺族に不要な負担をかける可能性があります。契約者本人による生前の準備と、遺族による適切な対応が重要です。
法整備や技術的解決策の開発などで、デジタル遺産管理のあり方も数年単位で大きく変わる可能性もあります。一度設定して終わりではなく、時代の変化に合わせて適切な対策を講じることは、自分自身のデジタル遺産を適切に管理守ることにも繋がります。
アラカン子なし夫婦である私たちにとっても、デジタル遺産やサブスク問題はかなり重要。今でも十分面倒なのに、私たちはこれからさらに歳をとり、デジタルはさらに進化。ついていける自信はありません。
今のうちからコツコツ準備することに、2人で決めました。
情報共有するための準備はかなり面倒でした。でもコレ、どちらか1人になったときに全部するの?って考えたら、ホントやってよかったです。
まとめると、情報も整理されるので◎
使わないアカウントは退会・削除したので、スッキリしました。
あとは、時々アップデートする予定です。