【遺言書】自筆証書遺言書保管制度を利用してみた④~「保管申請書」の書き方に関するアレコレ徹底解説

自筆証書遺言書保管制度を利用する際に必要な「保管申請書」の書き方や注意点をまとめておきます。

行政の申請書あるあるなのですが、「書き方例」や「書き方の説明」があっても、行政特有の言い回しなどで、ホントわかりにくいです。

実際に書いてみてわかりにくい箇所も多く、お恥ずかしいことに複数箇所を書き間違えていました。

「保管申請書」は、申請時に法務局((遺言書保管所)で、一字一句確認されます。

間違いは、法務局の担当者に教えられた通りに書き直せばすみますし、訂正印も不要です。間違いだらけにならないよう、確認しながら記入していくと、当日早く進みます。

書いていかないと予約時間内に作業が終わらない可能性や、当日受け付けてもらえない可能性もあります。必ず記入して持参しましょう。

目次

保管申請書の書き方

法務局の自筆証書遺言保管制度の「申請書/届出書/請求書等」のページから、「申請書」や「記載例・記載上の注意事項」をダウンロードできます。
06 申請書/届出書/請求書等
記載例・注意事項01

住民票記載通りの住所、氏名、本籍等を記入する必要があるため、申請時の必要書類である「住民票(本籍及び筆頭者の記載入り、マイナンバーや住民票コードの記載なし)」を、用意してから記入することをオススメします。

申請書の誤記入は、当日法務局での申請時に訂正指示されます。
訂正印不要、二重線で消して書き直すだけなので、神経質にならなくても大丈夫です。

保管申請書1枚目 【遺言者欄】

申請年月日
右詰め、数字が1桁の場合「0」不要
 例)令和 6年 5月20日

以降、年月日記載の場合は同様に、右詰め、数字が1桁の場合「0」不要

遺言書保管所の名称
申請書を提出する法務局(遺言書保管所)の名称を記入
全国の法務局(遺言書保管所)の一覧及びその管轄

※すでに、他の遺言書を保管中の場合には、現在保管中の「法務局(遺言書保管所)」の名称を記入

遺言書の作成年月日
遺言書に記載した作成年月日

遺言者の氏名、出生年月日
・必要事項を住民票通りに正確に記入
・氏名のフリガナは、濁点・半濁点(「ゴ」や「プ」等)は同じマスに記入

【例】安倍 (正)ア ベ (誤)ア ヘ “

遺言者の住所
・住所は枠の中に「都道府県+市区町村+丁目」まで記入
・番地や建物名、部屋番号は下のマスに記入

遺言者の本籍
・本籍は、都道府県、市区町村、地名等〜丁目、番地ごとに、マスに記入

住所と本籍で書き方が少し異なります。
「地名〜丁目」「大字」などは、「大字丁目」の行に記入します。

筆頭者の氏名
遺言者が戸籍筆頭者の場合には、「□遺言者と同じ」に✔︎するのみ筆頭者の氏名の記入は不要
・戸籍筆頭者と遺言者(申請者)が異なる場合には、本籍に記載されている筆頭者氏名を正しく記入

遺言者の国籍(国又は地域)
日本人の場合には、記入不要
・外国人の場合には、コード表を参照し記入
法務局 国名コード表

遺言者の電話番号
・平日に連絡がとれる電話番号を記入
・左詰め、ハイフン(-)不要

ページ数
申請書の当該ページ数と総ページ数(「1/5」「2/5」など)

申請書 全ページの右下に「ページ数」の欄があります。
申請書を書き終えてから、通し番号で記入しましょう。

保管申請書2枚目 【遺言者本人の確認・記入等欄】

不動産の所在地
・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局(遺言書保管所)に申請する場合には、左の□に✔︎し,所有する不動産の所在地を登記事項通りに記入

遺言者の住所地や本籍地を管轄する(遺言書保管所)に申請する場合には、記入不要

【例】住所地「東京都」、本籍地「長野県」、不動産所有地「千葉県」の場合
 ・住所地 東京都での申請 → 記入不要
 ・本籍地 長野県での申請 → 記入不要
 ・不動産所有地 千葉県での申請 → 記入が必要

民法第968条の自筆証書遺言書
・左の□に✔︎を入れる

他の遺言書が保管されている場合
①すでに、他の法務局(遺言書保管所)に遺言書を保管している場合にのみ、左の□に✔︎し、保管番号を記入
※1枚目の「遺言書保管所の名称」にも、現在保管中の「法務局(遺言書保管所)」の名称を記入

他の遺言書の保管はない場合には記入不要

②すでに保管してある遺言書の、遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍、筆頭者の氏名に変更がある場合には、この申請書で変更手続きをすることも可能。変更内容を記入し、左下の□に✔︎
※ 変更手続きには、住民票の写し等の変更を証明する書類の添付が必要

遺言者の記名
・遺言者(申請者)の氏名を住民票通りに正しく記名、捺印は不要

備考欄
・補足等あれば記入

遺言書の総ページ数
財産目録も含めた遺言書の総ページ数を記入

保管申請書3枚目 【受遺者等・遺言執行者等欄】

遺言書に受遺者等又は遺言執行者等の記載がある場合に、所要事項を記入します。
・1名ごとの記入
・1枚に2名まで記入できます
・受遺者等又は遺言執行者等が合計3名以上になる場合には、この書式の枚数を増やして記入します

受遺者
・遺言により財産を受け取る者
・遺言により認知するものとされた子、遺族補償一時金等の受取人等として指定された者等、遺言により権利を得る者も該当

遺言執行者
・遺言の執行に必要な手続きを行う者
・受遺者の中の代表者、財産の管理者、未成年後見人等、遺言により義務を負う者
※遺言執行者を遺言者が指定していない場合には記入不要

受遺者等又は遺言執行者等の番号
・受遺者等又は遺言執行者等の全員に対する通し番号を記入
・受遺者等又は遺言執行者等が1名のみの場合には、「1」と「記入

受遺者等又は遺言執行者等の別
・受遺者等又は遺言執行者等の該当する□に✔︎
・受遺者等と遺言執行者等を兼ねる場合は、両方の□に✔︎

氏名
住所
・受遺者等又は遺言執行者等の氏名及び住所を記入
・受遺者等又は遺言執行者等が法人、社団、財団の場合
 ・姓の欄に商号又は名称
 ・住所欄に本店又は主たる事務所の所在地

相続開始後、関係相続人等の請求により遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧等があった場合には、その他の相続人、受遺者等又は遺言執行者等に遺言書の保管をしている旨、遺言書保管官が通知します。
適切に通知できるよう、正確に記入する必要があります。

出生年月日
・受遺者等又は遺言執行者等の生年月日を記入
・法人の場合には、記入不要

会社法人等番号
・受遺者等又は遺言執行者等が、法人、社団、財団の場合にはその番号を記入

記入内容は、相続開始後、受遺者等又は遺言執行者等から遺言書情報証明書の交付の請求等がされた際の本人確認の情報の1つとして利用されるため、正確に記入する必要があります。

保管申請書4枚目 【指定する者に対する死亡後の通知の対象者欄】 

遺言者が亡くなったことを遺言書保管官が確認したときに、遺言書を保管している旨を遺言者の指定する者に通知するための確認書類です。

通知を希望する場合にのみ、記入します。

私たちは、夫婦でお互いの唯一の受遺者であり、遺言執行者です。
そのため、片方が他界したことを知らないことはまず考えられないため、この書類は記入や提出をしませんでした。
通知不要という選択肢もあります。必要に応じて、後日変更手続きは可能です。

同意を要する事項
・遺言書保管官から、指定する者に遺言者の死亡を通知してもらうために、市区町村の戸籍担当部局との情報共有に同意する場合には、左の□に✔︎

通知を希望しない場合には、記入及びこの書式の提出も不要

市区町村の戸籍担当部局に提供される情報は、申請者の氏名、出生年月日、本籍、筆頭者の氏名の情報です。遺言書の内容等に関する情報が提供されるわけではありません。

市区町村の戸籍担当部局から提供される情報は、申請者の死亡の事実に関する情報のみです。

①受遺者等又は遺言執行者等を通知対象者に指定する場合
・申請者(遺言者)の死亡時に通知する相手を保管申請書3枚目 【受遺者等・遺言執行者等欄】に記入した者に指定する場合には、【受遺者等・遺言執行者等欄】の受遺者等又は遺言執行者等の番号を記入

通知の対象者は3名まで指定可能
2名もしくは3名に通知する場合には、この書式の枚数を増やして記入します

・【受遺者等・遺言執行者等欄】に記入したいずれでもない者を通知対象者としたい場合には、①の欄には記入不要、下記②の欄に記入

①以外の者を通知対象者に指定する場合
・【受遺者等・遺言執行者等欄】に記入したいずれでもない者を通知対象者としたい場合には、遺言者との続柄、指定する者の氏名及び住所を記入

・通知対象者が法人、社団、財団の場合
 ・姓の欄に商号又は名称
 ・住所欄に本店又は主たる事務所の所在地

指定者通知の対象者であっても、関係相続人等(遺言者の推定相続人並びに遺言書に記載した受遺者等及び遺言執行者等)以外であれば、遺言書の閲覧等はできません。

保管申請書5枚目 【手数料納付用紙】 

法務局名
今回申請する法務局(遺言書保管所)の名称を記入

申請人・請求人の表示〜住所、氏名又は名称
・申請人(遺言者)の住所及び氏名を記入

印紙貼付欄
申請手数料3,900円分の収入印紙を貼付
申請者(遺言者)の割印不要

申請の手続き時でも貼付できますので、収入印紙のみ持参し、申請内容の確認後に貼付しても構いません

法定代理人の表示
・記入不要

その他
・納付金額に、3,900円と記入

年月日、担当
・記入不要(法務局の担当者が使用)

申請書の記入は、わかりにくさはありますが、難しいものではありませんので、大丈夫です。
相続人や受遺者が多いと、確認事項や記入事項が増えてしまうので、少し大変になるかもしれません。

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