お月見基礎知識〜2025年 十五夜・十三夜・十日夜・中秋の名月はいつ、お月見別名、ススキ・うさぎ・団子との関係

お月見に関わることをまとめておきます。

目次

2025年 お月見はいつ

お月見は年に3回ある

お月見といえば十五夜が有名ですが、お月見は年に3回楽しまれてきました。

お月見 時期 別名

2025年の十五夜・十三夜・十日夜と満月はいつ

お月見=満月のイメージがありますが、お月見の日が満月とは限りません。

また、お月見の日にちは現在でも旧暦でみますので、毎年大幅に日程が変わります。

十五夜・十三夜・十日夜の2025年日程と満月の日

お月見は1回でもいいのか

お月見で大切にされているのは、十五夜と十三夜。

1年で最も美しいとされる中秋の名月「十五夜」と、次いで美しいと言われる「十三夜」。

そのため、昔は十五夜と十三夜を同じ庭で見る風習がありました。

そして、どちらか一方しか見ないことを「片見月(かたみづき)」といい、縁起がよくないものとされてきました。

なお、ここで、十日夜が入らないのは、十日夜は「秋の収穫祭」の意味が強いからとされています。

片見月が縁起がよくない理由やその風習の根拠は調べてもよくわかりません。

「中日新聞」の「浅田英夫の星の歳時記」によると、江戸時代の遊郭の遊女の営業トークらしいです。

中秋の名月と十三夜の両方を愛でないと、「片見月」といって縁起が悪いと言われるが、もとをただせば、この言い伝えは、江戸時代の遊郭で広まったらしい。遊女がお客に「一緒に2回お月見をしないと縁起が悪いのよ。だから十三夜には必ず来てね」と誘ったという訳だ。つまり営業トークだった。

中日新聞 浅田英夫の星の歳時記「10月11日は「十三夜」のお月見」

十五夜とは

十五夜と中秋の名月

十五夜(じゅうごや)とは、1年で最も美しいとされている「中秋の名月」を鑑賞するお月見

平安貴族が中国の観月宴「中秋節」を取り入れたことに由来します。

旧暦では7月〜9月が秋。旧暦の8月は秋の真ん中であるから「中秋」

空が澄み渡り、月が最も美しく見える時期であることから、旧暦8月の十五夜を「中秋の名月」と呼び、お月見をするようになりました。

しかも、旧暦8月の十五夜には、ほぼ満月であることが多いのです。

江戸時代にお月見が庶民にも広がると、秋の収穫物をお供えし、実りに感謝する行事として定着します。

月の神様である「月読命(つくよみのみこと)」は農耕の神。月の満ち欠けが農作業の時期を教えてくれたこともあり、月に対する深い信仰心があったのです。

秋の収穫物である里芋の新芋をお供えしたことから、「芋名月(いもめいげつ)」との別名があります。

現在は新暦ですが、お月見は「旧暦」の暦で行います。

「十五夜」は他の月にもある

お月見の「十五夜」は旧暦8月15日を指しますが、他に月齢15を意味する「十五夜」があります。

月齢とは

月齢とは、新月(月齢0日)からの経過日数で、月の満ち欠けの周期を表す数値です。
実際には、約29.5日かけて満ち欠けを繰り返しますが、月齢では29〜30が周期です。

月齢15と満月の関係

月齢15は、月の満ち欠けの周期のほぼ中間地点。一般に、満月と呼ばれる状態になります。

地球から見て月が最も丸く、最も明るく見える状態です。

ただ、厳密には、月齢15の日に必ずしも満月になるわけではありません。
月の軌道が楕円形であることと、太陽との位置関係により、多少の変動があります。

また、月齢は1日単位で数えるため、月齢14~15のときに満月を迎えます。

月齢15と十五夜の関係

旧暦では、月の満ち欠けを基準にひと月(29日か30日)を定めていました。
新月(月齢0日)に、その月が始まり、月齢15頃に満月を迎え、また欠けていきます。

そのため、月齢15となる旧暦15日は「十五夜」とも呼ばれ、毎月訪れます

十三夜とは

十三夜(じゅうさんや)は、旧暦9月の十三夜、旧暦9月13日に行われるお月見です。

十五夜は、古代中国から伝わった風習ですが、十三夜は日本独自の風習です。

十三夜の由来には諸説あり、平安時代に、第58代天皇である宇多天皇が十三夜の月を愛でたのが始まりとも、第59代天皇である醍醐天皇が月見をしたのが始まりとも言われています。

最古の記録としては、延喜19年(平安時代中期)、醍醐天皇が月見の宴で詩歌を楽しんだとの記述があるとのことです。

十三夜は、十五夜の少し前、つまり満月までもう少し

ややかけた月の形が風情がある、またさらにこれから満ちていくことで縁起がよい、などと愛されてきました。

豆や栗の収穫時期であるため、収穫祝い、お供えしたのが別名「豆名月(まめめいげつ)」「栗名月(くりめいげつ)」の由来です。

十三夜の別名
  • 後の月(のちのつき):十五夜の後に行われるお月見
  • 豆名月(まめめいげつ):豆の収穫を祝い、お供えする時期
  • 栗名月(くりめいげつ):栗の収穫を祝い、お供えする時期

十日夜とは

十日夜(とおかんや)は、旧暦10月10日に行われるお月見です。

東日本を中心に、秋の収穫祭として田の神様を祀る行事などが行われてきました。

十日夜の別名
  • 三の月:その年の三回目のお月見
  • 大根の年取り:大根を田の神様へのお供えしたり、大根畑に入らない、収穫は翌日以降、など各地で異なります
  • 刈り上げ十日:稲の収穫祭〜収穫に感謝し、翌年の豊穣を願い、餅などを田の神様にお供えし、神様をお見送りします
  • かかしあげ:稲の収穫祭〜田の神様が山に帰る日として、田から案山子を引き上げます

お月見とお供えもの・うさぎの関係

お月見では、ススキや月見団子、御神酒などをお供えします。

お月見とススキの関係

十五夜や十三夜のお月見には、古くから「ススキ」をお供えする風習があります。

ススキをお供えするのは、稲穂の代わりにお供えすることで豊作を祈願し、厄災から収穫物を守るためとの意味が込められてきました。

ススキをお供えした理由
  • 実りの象徴である稲穂の収穫前であり、ススキの穂を稲穂に見立てた
  • ススキの内部が空洞であることから、神の宿る場所と信じられてきた
  • ススキの切り口が鋭いため、邪気を払うを信じられてきた
  • ススキが魔除けになり、厄災から守られると信じられてきた
  • 農作物収穫への感謝と、次期の豊作を願った

ススキは魔除けのお守りとして、お月見以外でも、田畑の近くに植えたり、家の軒先に吊るしたり、地域によっては、お月見以外でも、ススキは魔除けのお守りとして、田畑の周りに植る、家の軒先に吊るす、庭や田畑に吊るすなどの風習があります。

お月見と団子の関係

お月見では、月見団子をお供えする風習もあります。

その由来は、お米の粉で月に見たてた団子を作りお供えすることで、農作物の収穫の感謝と豊作祈願を伝えたこととされています。

月の神様である「月読命(つくよみのみこと)」は農耕の神。月の満ち欠けが農作業の時期を教えてくれたこともあり、月に対する深い信仰心がありました。

月見団子は、形や色、味付け、あんこ入りかどうかなど、地域によってさまざまです。お供えする個数にも地域差があります。

ピラミッド上に積み上げるのは、感謝や祈願を月まで届けるためとされています。

お供え後、そのお団子を食べることで、月の力をいただき、健康と幸せをえることができると信じられてきました。

最近は、色んな味のアソートもネットで購入できるので、楽しいですね。

お月見とうさぎの関係

「月にウサギが住んでいる」話は、日本の伝承です。

もともとは、インドのの説教仏話である「ジャータカ神話」の物語に由来しますが、日本では「今昔物語集」に「三獣行菩薩道兎焼身語」として、月うさぎのもととなる物語が残されています。

食べ物を乞う老人のために、ウサギが餌を探しに出ますが、見つけられず帰ってきました。ウサギは、身を焼いて老人に捧げました。
その老人の正体は、帝釈天(たいしゃくてん)という神様でした。兎の自己犠牲の精神や慈悲深い行為を後世に伝えるため、そのウサギの姿を月の中に映し出しました。

その月うさぎは、餅つきをしています。

その理由は、帝釈天のために餅つきをしている、食べ物に困らないように餅つきをしている、など豊穣の喜びや感謝の気持ちとも言われています。

また、古代中国では月のうさぎは、杵と臼で不老不死の薬を作っている、との説が日本にも伝わり、話が転じた、などの説もあります。

2025年 十六夜はいつ

十六夜(いざよい/じゅうろくや)とは、十五夜の翌日の月のこと。2025年は、10月7日(火)

「ためらう」「躊躇する」「停滞する」という意味を持つ「いざよう」という動詞が、十六夜(いざよい)の語源とも言われています。

十六夜では、前日の十五夜よりも少し遅れて月があがります。その様子が、躊躇っているようであることから、その名が付けられたと言われています。

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十六夜』泉鏡花が晩年に発表した短編小説、江戸を舞台とした、切ない恋物語。

中秋の名月の夜、老女が若き日のの思い出に浸りながら、月に向かって語りかける独白の形で進みます。美しくも儚い人生、そして死の象徴としての月。

泉鏡花独特の美しい文体で、当時の風俗や情景、老女の心の動きが繊細に描写されています。

そして、文豪 谷崎潤一郎氏の『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』。

日本の建築や工芸品に見られる陰影の美しさを、西洋の合理的な光に対する東洋的な感覚として捉え、その美意識の深さを探求します。

Kindle Unlimited 対象もあります。無料で読めます。
陰翳礼讃/懶惰の説/恋愛及び色情/客ぎらい/旅のいろいろ/厠のいろいろ の6本を収録。

読みやすい現代語訳もあります。Kindle Unlimited 対象。

田舎暮らしをしていた頃は周りが暗いので、月がよく見えました。
天気のいい夜は毎晩のように「お月見」。見ていると、和みます。
今の家も、ベランダからよく見えるので、頻繁に夜空を眺めています。
おかげで、「お月見」の日には、全く特別感が全くなく、サラッと流れてしまいます。

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