会社の同僚・上司・部下の葬儀〜参列、香典、金額相場、連名、行けない場合の対応
在職中、会社の同僚や上司・部下本人の逝去は、そうあることではありません。
葬儀への参列や香典をどうするか、故人本人を知っているが故に悩ましい問題となります。親しい関係かどうかだけでなく、会社の規模や考え方、お葬式(通夜/葬儀/告別式)の場所によって、参列するかどうか、香典はどうするか、などの対応が異なるからです。
正しい対処法といものはありませんが、基本的な考え方をまとめておきます。
会社の上司・同僚・部下の葬儀への参列
会社の上司や同僚、部下などが亡くなった場合、参列するかどうか悩むかもしれませんが、まずは「参列できるか」を確認する必要があります。
物理的・地理的に判断
故人の生まれ育った地であったり、「家」が会社から近距離であれば、なんの問題もありませんが、必ずしも近距離とは限りません。例えば:
- 故人は独身で、喪家となるご実家が会社から離れている
- 故人は結婚しているが、単身赴任のため「家」は離れている
- 故人は結婚し家族で住んでいるが、転勤で一時的に住んでいる
このように、現代社会では、必ずしも勤務地と葬儀会場(斎場)が近くにあるとは限らないのです。
斎場が遠方の場合、故人の直属の上司や親しい同僚が会社の代表して参列することがあります。基本的には会社の判断となります。
会社の判断とは別に、個人的に参列する場合には、有給休暇などを利用し業務を休んでの参列となる可能性もあります。
故人との関係性から判断
斎場が近い場合には、会社の判断+故人との関係性から判断することになるでしょう。
会社としての対応
葬儀(告別式)は日中に営まれることが多いため、会社の規模や方針、慣習によって対応が異なります。
比較的大きな会社の場合、社長の代理で総務部担当や、直属の上司、同じ部署や親しい社員が参列する傾向があります。
一方、少人数の会社では、業務の都合もありますので対応は様々でしょう。葬儀(告別式)には、会社の代表が参列し、他の社員はお通夜に行くことが多いかと思います。
これは、故人の会社での地位などにもよりますが、社内から何名も葬儀に参列するとなると、会社の業務に関わるため、仕方がありません。
オーナー企業の社長や会長などが亡くなると、葬儀の日は会社を休業するようなこともありますし、役職についている方が亡くなれば、会社関係参列者の受付として社員がお手伝いをすることもあります。
個人としての対応
会社の判断や故人との関係性にもよりますが、お通夜でのお別れとなることが多いでしょう。
お世話になった、親しい関係で参列したい場合、会社代表としての参列でなければ、業務から抜けた時間の扱いは会社の考え方にもよります。上司への相談が必要となるでしょう。
一方で、故人と業務上の接点がないような場合には、個人としての参列は不要ともいえます。
近年は、お葬式(通夜/葬儀/告別式)の営み方も変わってきていますので、ご遺族の意向も確認する必要があります。上司や総務にも相談してみるのが、間違いありません。
会社の上司・同僚・部下の葬儀での香典相場
社員本人死亡の場合、「弔慰金」の支給がありますが、それは慶弔見舞金規程によるもので、香典とは異なります。
故人が、社員のご家族であれば、「弔慰金」を「香典」という形で葬儀(通夜/葬儀/告別式)の際に渡すこともあります。本人死亡の場合は、死亡した状況などにより金額が異なりますので、後日振り込みや現金で渡すのが一般的です。
個人名での香典相場
個人名で香典を包む場合には、3,000円〜10,000円程度が相場です。
相場に開きがあるのは、故人との関係性のほか、社風や年齢、収入にもよるからです。
自分が20代であれば3,000円でもいいでしょうが、30代以上になれば5,000円程度包むのが一般的です。会社での役職や年収が高い場合には、1万円包むことも珍しくありません。
ただ、どんなに親しくてもあまりに高額を包むのは、よほどの理由がなければ慎む方がよさそうです。受け取る遺族側が困惑することも考えられます。
連名での香典相場
会社によっては、部署やチームでの連名で香典を包むこともあります。お互い様ということもありますし、個人の負担が少なくなる方法です。
その場合、人数や年齢、慣習等にもよりますが、1人1,000円程度、役職が高い人は3,000円程度など集め、連名で包みます。
連名分をまとめて、そのまま包むこともあるでしょうが、端数が出るような場合、忌み数字(4や9など)の場合には、上司に多めに出してもらうなどで、額面を調整するといいでしょう。
香典を連名で包む場合、参列時は手ぶらでいいのか
連名で包む場合には、代表者が参列することが多いでしょう。
もし、それぞれがお通夜に参列する、複数名が葬儀に参列するような場合、代表者以外は手ぶら(香典持参なし)で参列することになります。受付で記帳だけ行いましょう。
香典は、連名と個人で二重に包む必要はありません。違和感があるかもしれませんが、おかしな対応ではありません。
通常、受付で記帳する際に香典を渡すのですが、記帳だけ済ませれば構いません。なお、お通夜と告別式の両方に参列する場合には、お通夜で香典を渡し、告別式では記帳のみ行います。
咎められるようなことはないでしょうが、気が引けるのであれば「香典は会社の代表者がお渡しします」とでも伝えればいいでしょう。
葬儀に行かない場合の香典の渡し方
葬儀にもお通夜にも参列しない/できない場合には、いくつかの方法があります。
会社の同僚・上司・部下であれば、上司や総務の方は参列するでしょうから、参列する方にお願いするのが間違いありません。
なお、出張中、休暇中、転勤で離れているような場合には、会社の他の同僚にお願いして建て替えて出してもらう、PayPayなどの電子マネーで同僚に支払い対応してもらう、社内便などで送るなどの方法もあります。現代社会では、いかようにもなるので、臨機応変に対応するといいでしょう。
目上の方に預けるのは失礼に当たるため、自分よりも役職が上ではない(つまり、同じか下)の方に託すべきとの意見もありますが、これは社内で誰が参列するかや、社風によっても異なるでしょう。
私が以前勤めていた会社では、部署ごとに有志が出し連名で包んでいました。業務の都合や斎場が遠方など、なんらかの事情で部署から参列できない場合には、参列される方が社内分をまとめて持参していました。それに対して「失礼だ!」と言った雰囲気は一切ありませんでしたよ。
参列や香典辞退の場合
家族葬や近親者のみでの葬儀を営まれたり、お葬式(通夜/葬儀/告別式)は営んでも、会社関係者の参列や弔問、香典、供花などを辞退される場合もあります。
それは、故人の遺志やご遺族の意向になりますから、「個人」としては受け入れるしかありません。
この場合でも、会社の規定で支給される「死亡弔慰金」は、一般的な香典とは異なりますので、通常通り支給されます。
弔電や供花、供物など一切を辞退される場合もありますが、弔問や香典辞退でも、弔電や供花は送っても構わないとの解釈もあります。弔電や供花は、香典返しのようなお返しが不要とされているため、ご遺族の手を煩わすことがないから、との理由です。
これも、あくまで一般論です。社員本人死亡の場合には、社員の親族の死亡よりもデリケートな問題です。総務などを通して確認してもらいましょう。
同僚が不慮の事故で亡くなった際、ご遺族の意向で近親者のみでの葬儀でした。弔問や香典は辞退とのことで、葬儀日程等の詳細も知らされませんでした。
当然に、会社からは参列なし、部署や個人からの香典も控えました。複雑な心境でしたが、ご遺族の意向ですから、仕方がありません。
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会社の上司・同僚・部下が亡くなるということは、そうあることでもありません。
葬儀への参列は、故人との関係性から判断することになりますが、死亡した状況によっては、デリケートな問題です。
ご遺族の意向も尊重し、また「会社」という組織に属しての関係であることから、会社の判断を確認する、指示に従う必要もあります。
個人的な感情え先走るようなことは慎み、上司や同僚とも相談して決めるのがいいでしょう。