今の時代、さまざまな代行サービスがあります。
「代行」ですから、誰かの代わりに職務を行うのですが、必ずしもその道の専門家である必要はありません。
例えば、認知度・利用度が高いものには、運転代行や家事代行やデーター入力代行などがあります。
飲酒後などで運転できない人の代わりに、その人の車を目的地まで運転するサービスが「運転代行」。
誰かの代わりに家事を行う「家事代行」、データの入力などを社外の人が請け負う「データ入力代行」。いずれも、ある程度の経験や知識が必要ですが、その道の専門家というわけではありません。
他にも、10数年前から始まり地味に「代行」として活躍の場が広がっているのが「レンタル人間」。
このレンタル人間の、シニア枠の進化が凄すぎます。例えば、、
- 代理出席
→ セミナー、学会、結婚式、お通夜、告別式などへの出席 - レンタル家族
→ 祖父母・父親・母親・親族等の代理として、イベントに出席 - お墓参り代行
→ お墓のお掃除やお墓参りを代行 - 観客代行
→ 要はサクラとして、イベントや公演、演劇等の観客になります
※ 無料で観劇等できて、高くはありませんがギャラまでもらえます - 謝罪代行
→ 職場の上司や取引先の責任者、依頼者の親になりすまして代わりに謝罪
※ ギャラ高め - 断り代行
→ 本人が断りにくい場合に、代わりに断る - 愚痴聞き代行
→ 悩みや不安、愚痴などを傾聴し共感することで、依頼者のストレス解消等を目指す
※ カウンセラーのように解決方法を提案する必要はなし
いずれも、誰かの代わりに謝罪したり、お断りを入れたり、愚痴を聞いたり、参加したりします。
依頼内容にもよりますが、1回数千円〜1万円程度のアルバイト代となるようです。1件あたり、数十分〜数時間の仕事です。
中には、1回10万円を超えるものもあるそうです。これは、土下座謝罪などの、結構キビシイもの。
でも、自分自身や所属先、身内に不手際があったわけではなく、あくまで「謝罪する」こと自体がお仕事。
心を込めて深く深くお詫びして、ギャラをいただいて終了ですから、単発短時間の俳優業のようなものです。
代行サービス専門のファミリーロマンス代表 石井裕一氏によると、レンタル依頼の3割が“還暦超え”レンタル、拘束時間が1~2時間と短いものが多く、一日に複数回の稼働も可能。月に30件近く請け負う強者もいるということです。
「ギャランティは企業イベントへの参加や冠婚葬祭出席だけで1万円。不倫や仕事でのミスの謝罪代行の中には一時間10万円と高額な案件もあり、人気です」(石井氏)
なお、両親の代わりや祖父母の代わりをする「家族代行」の場合には、正月の集まりや出産の立ち合いなどの家族イベントの際に、リピートでの依頼も珍しくないとのこと。
記事参照:「レンタルおじいちゃん」は定年後も稼げるバイト。“謝罪代行”で1時間10万円の案件も
時期やエリアによって、依頼件数や依頼内容には差がありそうですが、単発バイトとして面白そうですね。
ネットで探してみたところ、同じように「レンタル人間」のサービスを提供している代行会社は複数あります。
ファミリーロマンス
AAS(総合代理出席事務所)
ダイコーの庭
女性スタッフの便利屋
仕事として登録するのは無料ですし、なにか売りつけられたり、費用がかかるものでもありません。シニア世代の単発バイトしては魅力的ですね。
ちなみに、家族レンタルをテーマにした長編映画もあります。
映画 ファミリーロマンス,LLC公式サイト
アメリカのドラマ映画「ファミリーロマンス,LLC」には、先述のファミリーロマンス代表 石井裕一氏が出演。2019年カンヌ映画祭の特別上映セクションで世界初公開されています。
監督は、ドイツ人のヴェルナー・ヘルツォーク氏。
長編劇映画やドキュメンタリ、短編やテレビ映画など数多くの作品があり、カンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭などへの出品や受賞も多数。
-あらすじ-
Family Romance,LLC
ファミリーロマンスは誰かの代わりになる演者をレンタルできる企業。
社会の穴埋めができるんであればと、10年前に人間レンタル屋という代行事業を創設した石井裕一は、自身も体を張って多種多様な代行人を演じていた。そんなある日、一人のシングルマザーから娘の父親の代わりになってほしいとレンタル父親の依頼を受ける。回数を重ねるごとに徐々に本当のお父さんだと信用してくる娘との間に、現実と非現実の境が徐々に分からなくなってきていた。
中には、リア充演出、つまり実社会における人間関係や趣味活動を楽しんでいる自分を演出するために、レンタル祖父母やレンタル父母などを利用する方もいるでしょうが、謝罪代行などは現代社会ならではの需要なのでしょう。
一方で、「責任者出してこい!」とかも、身なりのビシッとした高齢の方が出てきて、深々丁寧にお詫びすると収まったり、、学生や成人がなにかトラブルになった際に、高齢の親が低姿勢で説明しお詫びをすると収まったり、、
「なりすまし」ではありますので、モラル的な問題もありますが、高齢の方が深々頭を下げて解決するのであれば、それはそれで相手のモラルの問題もありますので、どっちもどっちな感じです。
ビジネスとして成り立っていますので、割り切って単発・短時間・高単価バイトには良さそうです。
ただ、登録には顔写真と全身写真が必要。依頼者のイメージや外見などの要件にあう必要があり、案件ごとに仲介業者内で行う写真オーディションのようなことが行われます。
興味はあっても、写真が嫌いすぎて、最後の一歩が踏み出せないのが実状です。