移住支援〜空き家/古民家を購入・再生するための補助金・助成金

少子高齢化・過疎化に伴い、地方には「空き家」「古民家」がたくさん存在しています。

その「空き家」「古民家」、そのままにしておくと、自然災害による倒壊や火災などのリスクや景観が悪くなるので、その対策は社会的課題です。

放置物件だけでなく、相続登記(名義変更)されないことにより所有者不明土地が増えたことで、公共事業や民間の事業計画、空き家や未使用地の活用にも支障がでることから法改正もされました。

2024年4月からは、空き家放置や相続登記(名義変更)を一定期間内に行わなければ、 過料(罰金のようなもの)対象となっています。

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空き家対策は国策です。様々な補助金・助成金があります。

地方移住や田舎暮らしを考えている方は、補助金・助成金をうまく活用して「空き家」「古民家」を再生・再利用することも検討するといいでしょう。

田舎の「空き家」「古民家」は格安です。古民家再生は社会貢献にもなるのでオススメです。

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目次

空き家や古民家を購入・再生するための補助金・助成金

「空き家」「古民家」物件は格安で購入または賃貸可能ですが、大なり小なり、改修・改装が必要になります。

その費用を補填してくれる補助金・助成金制度は色々あります。

自治体によって、名称や諸条件、上限額等が異なります。物件の購入/賃貸契約前に、自治体のホームページなどで詳細をご確認ください。

解体の補助金

雨風さえしのげればどんなボロ屋でも大丈夫という人を除き、普通の人がそのまま住める「空き家」「古民家」はほとんど存在しません。

快適に住める/暮らせるようにするには、空き家・古民家の一部または殆どを、先ずは”解体“してから、改修・改装することになります。

古民家リフォーム・リノベーションの第一歩は”解体”なのです。

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その解体費用を補助する制度があります。

危険廃屋解体撤去補助金」「老朽危険家屋解体工事補助金」「木造住宅解体工事費補助事業」等など、名称は様々ですが全国の多くの自治体に家屋解体の補助金は用意されています。

補助金の金額は、数万円~100万円程度。

家財道具などの残地物処分費用の補助金

古民家や空き家には、前の住人の暮らしがそのまま残っていることも珍しくありません。家具のみならず、家電、衣類、食器などの家財道具、消耗品、最悪ゴミなどまでそのまま残っていることもあります。

こういった残置物などの処分に係る費用にも、「空家家財道具等処分費用補助金」といった補助金があります。

補助金の金額は、最大10万円程度。

リフォームの補助金

古民家や空き家を改修・改装することを「リフォーム」と言います。

「リフォーム」の範囲・規模が大きくなると「リノベーション」と呼ばれますが、具体な基準はありません。自治体などでは、「リフォーム」と「リノベーション」は、同じ意味で使われています。

また、古民家や空き家の場合は「再生」と言うこともありますが、結局は皆同じ意味です。

補助金・助成金の名称等も「リフォーム」「リノベーション」「再生」という言葉が混在していますが、あまり気にしなくて大丈夫。

問題は条件です。基本的には改修・改装の目的別に補助金・助成金が用意されていることが多いので、その一例を記しておきます。

いずれも自治体ごとに、申請期間や申請対象、補助金額など異なります。必ず事前に物件所在地の自治体にご確認ください

着工前の申請が必要なことが多いです。着工後では申請できないこともあります。
完工までの期間が指定されていることもあります。
リフォーム工事の契約前に、自治体のリフォーム補助金の条件等をご確認ください。

介護・バリアフリー対応への改修・改装の補助金

介護保険法に基づくバリアフリー工事をした場合の補助金制度もあります。

手すりの取り付け、床の段差解消、床を滑りにくい素材に変更、開き戸を引き戸へ変更、和式トイレを洋式トイレへ取り替えるなどの工事も対象になります。

条件は、公的介護保険で要支援か要介護の認定を受けた居住者がいる住宅のバリアフリーリフォームであること。

補助金額は上限20万円、介護のランクが上がると追加で補助があるケースもあります。

自治体によっては、「要介護」認定がなされていなくても、高齢者の住居であればバリアフリーリフォームの補助金が受給可能な場合や、介護リフォームとの併用が可能な場合もあります。

省エネ住宅へのリフォーム補助金

断熱工事など省エネ住宅に改修する場合の補助金制度があります。

内窓やペアガラスの設置による窓の断熱化、外壁や屋根の断熱化、高断熱浴槽付き浴室へのリフォーム、エコキュートなどの高効率給湯器の設置、節水型トイレへの交換、太陽光発電システムの設置など、対象の範囲も広いです。

省エネ住宅へのリフォームで申請できる補助金には、国が支援する補助金の他に、自治体独自で支援する補助金もあります。

2024年には、「住宅省エネ2024キャンペーン」と称する、住宅の断熱性や高効率給湯器の導入による省エネ化の向上を目指した支援もあります。

住宅省エネ2024キャンペーンに含まれるものは?】

  • 子育てエコホーム支援事業
  • 先進的窓リノベ2024事業
  • 給湯器省エネ2024事業
  • 賃貸集合給湯器省エネ2024事業

戸建て/マンション(集合住宅)、新築/リフォーム、持家/賃貸など、条件も異なります。補助額も5万〜最大200万と、工事内容や条件によって異なります。

工事前に、自治体や施工会社に諸条件等をご確認ください、

耐震リフォームの補助金

耐震診断耐震リフォームへの補助金制度もあります。

条件は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた、旧耐震基準の木造住宅に耐震性能を向上するリフォーム工事を施すこと。補助金額は30~120万円程度です。

自治体により、金額や対象となる建物の種類が異なることもあります。

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リフォームに関するその他の補助金

在宅勤務用にテレワーク対応リフォーム補助金、アスベスト除去、雪対策、増改築や間取り変更、床暖房設置、外壁改修といったリフォーム工事にも、補助がある自治体もあります。

自治体によって、補助金の種類、補助額、諸条件、申込期間など異なりますので、物件のある自治体のホームページなどで確認する必要があります。

リフォームの工事会社でも確認してもらえますが、トラブル予防のためにもご自身で事前に確認されることをオススメします。

私の知人は、子育て世代のリフォーム補助金を利用してリフォームをしましたが、施工会社の申請不備により、補助金の交付が予定より数ヶ月遅れました。
手続き中に補助金の予算上限に達してしまうと、申請締め切りや、交付されないこともあります。施工会社を通しての申請が必要な補助金の場合、余裕をもって工事をし、申請が受理されたかまできちんと確認するようにしましょう。

空き家や古民家再生のための補助金・助成金の事例

上記に他に”古民家再生“”古民家利活用”を目的とした補助金が支給される地域もあります。その中でも有名な3地域の補助金の例を紹介します。

なお、条件は毎年更新されます。通年募集しているとも限りませんので、必ず事前に各自治体に確認ください

①石川県小松市の古民家再生・活用モデル事業

築50年以上経過した建物で、伝統的木造建築技術により建設された住宅の改修・改装に対する補助金制度。

実施設計、外観及び内部改修、構造補強に係る経費の2分の1程度を補助するもので上限有り。※店舗(店舗併用住宅を含む)、宿泊施設、工房、集会場などで、改修後一定期間、見学や体験ができるものに限る。

▶︎参考リンク:石川県 古民家再生・活用モデル事業

②福井県内の住まいづくり支援制度

県産材を活用した一戸建て木造住宅の取得に対する補助金制度。

敷地面積で交付額は異なり、補助対象の住宅に越前瓦、越前和紙を使用する場合は上乗せ有り。同様に、県産材を活用した増築・リフォーム等に対しても、県産材部材の使用量に応じて補助金が交付されます。

▶︎参考リンク:福井県 住まいづくい支援制度

③兵庫県丹波市の古民家再生補助金

築50年以上経過している伝統的木造建築技術により建築された建物を、地域活動や交流の拠点、宿泊体験施設、店舗等地域の賑わいや活性化に資する施設(地域交流施設等)や賃貸住宅(歴史的景観形成地区等に存するものに限る)として再生することに対する補助金制度。

補助対象となる経費の総額に対して補助金額が決められています。

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対象経費区分補助額
古民家500万円未満対象外
500万円以上1000万円未満250万円
1000万円以上1500万円未満400万円
1500万円以上500万円
古民家のうち歴史的建築物500万円未満対象外
500万円以上1000万円未満250万円
1000万円以上2000万円未満500万円
2000万円以上3000万円未満850万円
3000万円以上1000万円
2024年度 古民家再生促進支援事業

▶︎参考リンク:兵庫県 古民家再生支援事業、古民家再生促進事業

補助金の実態と注意点

補助金を受け取るためには、お役所特有の面倒な手続き不透明で厳しい審査があります。

申請そのものも手間ですが、申請したからと言って100%補助金が交付されるわけではありません。こちらでは「対象の工事」と思って申請しても、自治体側では「対象外の工事」なんてことは、よくあるのです。

自治体の担当者に聞いたところで、明確な返事がもらえるとも限りません。「受理して審査してからでないとなんとも、、」など、判断基準が曖昧なのか、簡単に判断できないほど審査が複雑なのかも、申請する側にはわからないのです。

また、対象となる物件の条件が厳しかったり、解体業者や解体後のリフォーム等の工事業者までも地元の特定業者に限定されているなど、利権がらみだったりすることは地方に限らずありがちな話です。

地元業者が悪いとは限りませんが、地方に行けば行くほど、強くてわかりやすい癒着があったりするのです。独占企業ゆえに殿様商売で、技術もサービスも旧態依然。競争原理が働かないので料金も高いです。

補助金で得すると思っていたのに、下手な業者に発注することになり気分を害することになったり、希望通りにリノベーション出来なかったり、余計な費用がかかったり、今後の暮らしが台無しです。

「補助金」というエサに振り回され、申請するために時間やエネルギーを消費し、結果無駄な作業になることもありえます。

補助金をあてにして、移住を決めるようなことはしないでください。あてになりません。

なお、補助金で得をするのはユーザーではありません。一番得をするのは、いつも業者側なのです。

補助金を利用する場合には、諸条件に指定業者の有無なども確認しておきましょう。指定業者がある場合には、業者の素性や評判なども、確認することをオススメします。

どこか引っかかるものがあれば、補助金なんてあきらめましょう。その方が、自由度高く、気持ちよく、無駄なくリフォームやリノベーションができる可能性もあるのです。

補助金利用はあくまでも手段です。目的ではないことを忘れないようしましょう

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この記事を書いた人

アラカン夫婦の備忘録

早期リタイヤして地方移住〜田舎暮らしをした経験と、その後の暮らしで学んだことや役立つことを、これからシニアになる全ての人たちに向けて発信しています。
わたしたちの経験のうちの一つでも、誰かのお役に立てれば嬉しいです。

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