地方に移住し田舎暮らしをしている方に、新しい仕事につながる可能性のある資格があります。リタイア世代にも向いています。
その仕事、ズバリ「空き家管理」です。
資格好きの日本人ですから、「空き家管理士」という、そのままぴったりの資格まであるのです。
地方で増え続ける「空き家」。
管理することなく放置されている空き家は、持ち主にとって負担であることは勿論、地域にとっても安全上そして景観上も悪いので社会問題になっています。
加えて、2023年12月13日から施行された法律により、空き家の管理状態によっては、2024年以降の固定資産税が6倍に跳ね上がる可能性もあります。
そんな空き家問題を解決し、移住者向けにリノベーションして販売する空き家再生ビジネス(不動産投資)については、別記事でご紹介していますが、そのビジネスの一環ともなりえる「空き家管理(空き家管理士)」という仕事(資格)について解説します。
空き家管理士とは?
「空き家管理」とは、文字通り空き家を管理する仕事。
具体的には、空き家となっている物件の、通風や換気、清掃、雨漏りのチェック、草刈りや木の剪定など、家のメンテナンス作業を請け負い、その内容に応じて報酬を貰います。
家は何もしないまま放置しておくと、住んでいる時よりも急速に劣化していきます。
劣化により損傷が進んだ空き家は「特定空き家」として改善が勧告されます。
【特定空き家の改善勧告を放置したら?】
改善されない場合は、2024年以降はこれまでの固定資産税の最大6倍の税金を、毎年支払わなければなりません。
その命令にも従わない場合には50万円以下の罰金と自治体による強制執行で建物が解体され、更にその解体費用が空き家の家主へ請求されます。
空き家の取り締まりが強化されたので、今、地方で空き家を所有し放置している大勢の人たちは戦々恐々、困っています。
その救世主となる仕事が「空き家管理(空き家管理士)」です。
空き家管理の仕事内容と仕事を請け負う方法
実は、空き家管理の仕事に資格は不要です。
家のメンテナンスですから、特別な専門的知識は不要。大工仕事や畑仕事、伐採など山仕事が得意であれば請け負える範囲も広がるので重宝されます。
ただ、得意だと言われても、田舎の人、あるいは田舎にある実家をそのままに都市部に住んでいる人は、見知らぬ人に家の管理を任せるとは思えません。
ですから、空き家管理のプロとして『空き家管理士』を名乗れる資格の取得がオススメなのです。
空き家管理士の資格取得方法
空き家管理士の受験資格
- どなたでも受験できます
- 実務経験不要
- 年齢制限無し
空き家管理士の資格種類
- 空き家管理士1級:プロとして活動していきたい方向け
- 空き家管理士2級:主に入所中のお客様の留守宅を管理する介護事業所や地元貢献を考える未経験者向け
空き家管理士の試験内容
出題項目
- 1級
・相談業務、連携業務、施工、法規 - 2級
・相談業務、連携業務、巡回業務、法規
試験時間
- 1級:60分、50問
- 2級:60分、30問
空き家管理士の合格基準
- 50問中30問の正答で合格
空き家管理士試験の実施日程
- 毎月1回
※ 学科はオンラインで試験
※ 指定のEラーニングを受講した場合には、小論文試験は免除
申込期間・申込方法
- 受講申込書兼受験願書をダウンロードし記入をする
- 書類を添えて申し込む
受講料・受験料
【受講料】
- 1級 44,000円
- 2級 33,000円
※対策eラーニングコンテンツ、学科対策動画、テキスト、練習問題、模擬試験が含まれます
※1回の申込で、試験は2回(2ヵ月間)まで受験できます。
※2級を取得していなくても、最初から1級の取得が可能です
【受験料】
- 1級 33,000円
- 2級 22,000円
結果発表
- 後日発送
※ Eラーニング受講から期間内であれば再度受験可能、受験料別途
※ 受験可能期間が過ぎた場合には、再度受講が必要
合格後の流れ
- 合格認定書 の発行
- 登録費の納入
※ 初年度は月割 - 顔写真送付
- 登録証発行(顔写真入り)
※ 空き家管理業務の契約時・作業時に要携帯、必要に応じて提示
登録者の実地研修受講後に「空き家管理士」として活動できます。
※ 年一回 webによる実地研修受講(無料)
※ 登録費は毎年かかります
※ 登録証は3年ごとに更新が必要
詳細及び問い合わせ先
> 主管:一般社団法人 空き家管理士協会
無論、資格を取るかどうかは人それぞれです。資格がないと出来ない仕事ではありません。資格があったほうが仕事を得やすいであろう、ということです。
空き家管理の仕事の報酬とその価値
空き家管理の報酬に規定等はありませんが、厚労省が定める地域別最低賃金基準の日当+オプション(業務内容によってプラスα)レベルが一般的ですので、これだけで生活していくには、数をこなすこと=体力と時間が必要となります。
ですから、空き家管理士で生計を立てるというよりも、”副業“または”有償ボランティア“と考えて活動すると、精神的体力的に負担がないように思われます。
でも、地域に、近隣の人に、資する仕事・喜ばれる仕事ですし、それをキッカケに、他の仕事の口を紹介されたり、または新しい事業を起こしたり(起業したり)するなど、繋がりがりも出来るので、移住者におすすめの仕事=おすすめの資格です。
なお、空き家管理には空き家管理士の他にも以下のような資格があります。
> 空き家相談士 主管:一般社団法人全国空き家相談士協会
> 空家空地管理士 主管:NPO法人空家・空地管理センター
空き家管理士含め紹介した上記の3つの資格は全て民間資格ですので、資格がなければ法的に空き地関係の仕事をしてはいけない、という訳ではありません。
いずれも受講することで得られる知識は、仕事やご自身の生活上、役に立つものでしょう。
試験自体は簡単。要は、お金で得られる「肩書き」「権威付け」です。
その受講料などは、自己投資としては少々高いのですが、田舎の特に高齢者は肩書きに弱いので、資格はあったほうが良いのです。
空き家管理はこれから有望な地方移住者向けの仕事
今後も地方の空き家は増えますので、空き家管理の仕事も増えるのは確実。
その証拠に、大手企業も含め「空き家管理業者」が全国で続々と誕生しています。競争激化必須のビジネスなのです。
でも大丈夫。
「空き家管理」の仕事は、その地域の住人だからこそ信頼して任せられるので有利です。
どこかの業者に頼むよりも同じ料金であれば間違いなく地元の人に頼みます。しっかり仕事をすればそれが評判となり、同じ地域の別の物件を紹介されることになるでしょう。
同じように「空き家再生ビジネス」もその地域をよく知る移住者だからこそ信頼が得られるのです。
空き家管理と、空き家再生ビジネスは、地方移住者こそが優位な、今が狙い目、これから有望な仕事(ビジネス)です。