【情報からの身の守り方】「エコーチェンバー」「フィルターバブル」とは?意見の偏り、極論思考の避け方

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エコーチェンバー現象とは?

エコー・チェンバー(Echo chamber)とは、元々は「共鳴室」を意味する言葉で、閉じた空間で音が響き渡るよう設計された部屋のこと。

でも近年言われている「エコーチェンバー現象」とは、素敵な音を響かせるようなものではありません。

エコーチェンバー現象とは?
同じような価値観の人たちばかりで集まって共感し合うことで、その価値観〜特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象

X(Twitter)や FacebookなどのSNSなどの、「同じ趣味・思想の人とつながることができる」場で起こりやすい現象です。

自分に似た意見が集まりやすく、意見の増幅や強化が起きるため、攻撃的な意見や誤情報などが広まる一因となっています。

自分が発信したものに、「いいね!」「好き!」がたくさんつくと、「この考えが正しい!」「私が正しい!」と思ったり、同じような意見に出会うと「みんなそう思っている」「やっぱり私が正しい」と思ってしまう、信じてしまうようなことです。

「私が正しい」と安堵している程度であれば、なんの問題もありませんが、考え方に偏りが出てきたり、自分とは意見の合わない人を批判したり、排除するようなことが生まれます。

多様性の排除を生み出し、社会を分断させる“真犯人”、いじめや差別の”権化”として問題視されているのです。

エコーチェンバー現象によりもたらされた悲劇

エコーチェンバー現象が知られるきっかけになった本があります。
(2001年発刊ですが、日本では再販されていないので、中古本が高額になっています)

著:キャス サンスティーン, 原名:Sunstein,Cass, 翻訳:幸憲, 石川
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著者であるハーバード大学教授のキャス・サンスティーンは、SNSが普及する前からエコーチェンバー現象のリスクについて提言していました。

その危険性が、世界的に注目され広く浸透するきっかけになったのが、2016年のアメリカ合衆国大統領選挙。

2018年には、メキシコとインドでエコーチェンバー現象による殺人事件さえ発生しました。

事件のきっかけとなったのは、「子どもを誘拐した犯人がいる」という、メッセージアプリ上で拡散されたデマ。このデマを信じた多くの人々が、現地に集合しました。「自分の意見が正しい」と思い込んだために、無関係の人々を襲撃し、死に追いやったのです。

そして、2021年アメリカ合衆国の議会乱入事件。トランプ支持者などによる、自主クーデターとも言われています。

アメリカ政府を制御不能とし、死者まで出したそのニュースは、エコーチェンバーの怖さを世界中に知らしめました。

エコーチェンバー現象が、私たちに与えるリスクは決して小さくはないのです。

フィルターバブルとは?

どんなに気をつけていても、知らないうちに与えられる情報に操作されていることもあります。

それが、フィルターバブル

フィルターバブルとは?
検索エンジンのアルゴリズムによって、ユーザーにとって興味のある、有益と思われる情報が優先され、他の情報からは隔離された状態に陥ること

検索サイトにキーワードを入れて検索すると、検索した本人の閲覧履歴や所在地などの傾向に合わせて、本人に興味のありそうな情報が優先的に表示されます。

溢れる情報の中から、ピックアップして表示してくれるのは便利ですが、似たような情報にばかり触れることになり、他の情報、別の観点からの情報からは遮断されてしまうのです。

簡単に言えば、見たいものだけを見せられ、見たくないものは表示もされない

まさに、自分自分が作り上げたフィルターにバブル(泡)のように閉じ込められた状態です。

Googleでは、「パーソナライズド検索」と呼ばれています。

フィルターバブルの問題点

米国のインターネットの活動家でもある イーライ・パリサー は、フィルターバブルの登場により生じた問題点を指摘しています。

孤立する
テレビの専門チャンネルなどの極狭い分野を取り扱う番組であれば、自分と同じ価値観を持つ人が他にも見ているが、インターネットのフィルターバブルは自分の中にしかない

→ 「情報の共有が体験の共有を生む時代において、フィルターバブルは我々を引き裂く遠心力となる

目に見えない
テレビであれば、自分で選択している限り、なぜその番組が選ばれたのか、見ているのか理解していても、パーソナライズされた検索エンジンによって表示された情報は、表示される根拠を検索している本人は分かりません

表示された情報がどれほど偏向しているのか、偏向のない客観的事実であるのかがわからない

フィルターバブルの内側にいることを自ら選んだわけではない
テレビや雑誌、新聞などでは、どのようなフィルターを通して世界を見るのかを自分で能動的に選びます。インターネットでパーソナライズされたフィルターの場合、自ら選択してそのフィルターを使用しているわけではありません。

パーソナライズされたフィルターは、避けようにも避けにくい状態になっている

著:イーライ・パリサー, 原名:Eli Pariser, 翻訳:井口 耕二
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◉ 改題・文庫化されたもの ↓

著:イーライ・パリサー, 翻訳:井口耕二
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広告主や情報提供者側からすれば、ユーザーごとにパーソナライズされたアルゴリズムを用いることは、効果的です。ユーザーも、自分好みの情報を少ないエネルギーで手に入るという利点があります。

一方で、パーソナライズされたフィルターにより、自分の関心とは異なる情報に触れにくくないり、他の意見があることにさえ気が付かなくなる可能性があるのです。

情報から身を守るためにできること

SNSなどメディア企業側では、エコーチェンバーによるフェイクニュースの拡散や、断絶の防止の対策に乗り出してはいますが、イタチごっこで追いつかないのが現状です。

一方で、フィルターバブルはますます巧妙になっています。

ですから、私たち一人一人が、エコーチェンバー現象やフィルターバブルの危険性を自覚し、自戒するしかありません

溢れる情報から身を守る対策

  • 集団の中で発信される意見を見たときに「自分たちが多数派だ」と決して勘違いしない
  • 多数派=正義ではないことを理解する
  • 自分と違う意見の人がごまんといることも認識する
  • 意図的に幅広い情報に触れるようにする
  • 定期的に自分もエコーチェンバー現象にはまっていないか?と客観視する
  • 安易な情報に飛びつかず一次情報を探しにいく
  • データや事実を確認することはもちろんその因果関係を読み間違えないようにする
  • データ=事実ではないことも認識する
  • 発言(表現)すること自体は自由であるから、世界は嘘や方便(フェイクニュース等)だらけであることを認識する
  • 検索履歴を削除する、検索履歴を残す設定を外す

情報は、使い方次第でもあるのです。

上手に使えばそれを活かすこともできますが、過度に信じ込むことで、自分の視野が知らぬ間に狭められてしまうこともある、ということを理解しておく必要があります。

フィルターバブルは、目に見えません。

自分が受け取る情報は自分で選択しているようでも、すでに選別された自分好みの情報である可能性が高いのです。

そのフィルターバブルの中にいれば、似たような意見にばかり触れることとなり、同じような意見や思想が増幅される一方、自分とは異なる意見が除外され、エコーチェンバー現象が発生するのです。

今後さらに、技術は進化します。個人レベルでどんなに対策を練っても、デジタル化時代の恩恵を受ける限り、フィルターバブルは避け切ることはできません

私にはわからない、もう歳だし、、など諦めている場合ではないのです。

情報に踊らされず、情報から身を守り、穏やかに暮らし、生き抜くためには、最低限の知識武装をしアップデートし続けなければならないのです。

流れてくる情報に、ふわふわ流されそうになった時の私が、自ら記したこの記事を思い出し、冷静に判断できることを願って書き残しておきます。

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この記事を書いた人

アラカン夫婦の備忘録

これからの人生をより心豊かに、より穏やかに生き抜くため知恵や情報をツラツラ綴っています

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