老人ホーム/介護施設への要望/意見/苦情/クレーム〜相談窓口、相手、伝え方、事前確認、トラブル事例、注意点、経験談
老人ホームや介護施設への要望、意見、苦情を伝えたい場合の窓口やその方法についてまとめておきます。
老人ホームや介護施設への相談・クレーム・苦情の窓口はどこ
利用している介護サービスに何かしらの不満がある場合には、コトが大きくならないうちに相談することもだ大切です。
苦情相談には、次のようなステップがあります。

1. 利用した介護サービス事業所の管理者や相談窓口
老人ホームや介護施設、介護サービスに対する苦情・クレーム・意見などは、まず利用している/利用した介護事業所へ相談します。
【介護事業所の相談する相手】
- 老人ホームなどの施設:施設長、ケアマネージャー、生活相談員、事業所の相談窓口など
- 居宅サービス:事業所の責任者、ケアマネージャー、サービス提供責任者など
介護サービス担当者に直接言うよりも、事業所側に直接伝える方が話も早いし、拗れにくくなります。
事業所によっては、相談窓口も設置されています。いわゆる「エライ人」が相手ではないので、気軽に相談できます。
事業所側に直接伝えることに不安を感じる場合には、ケアマネージャーに相談するといいでしょう。
ケアマネージャーは、介護サービスの利用者とサービス事業所の間に立ち、公平で中立な立場で支援することが求められています。経験も豊富です。まずは、気軽に相談してみるのがオススメです。
2. 市区町村の介護関連相談窓口
事業所に相談しても改善されない場合や直接言いにくい場合は、市区町村など第三者機関の苦情相談窓口へ相談します。
【第三者機関の相談窓口】
- 市区町村の介護関連相談窓口
「介護保険課」や「高齢福祉課」など、自治体により名称が異なります
自治体の相談窓口は、重要事項説明書に記載されています
3. 国民健康保険団体連合会(国保連)の相談窓口
自治体の窓口に相談しても解決しない場合には、国民健康保険団体連合会の窓口へ相談します。
- 市町村で解決が困難な場合(権利関係が複雑で高度な法律解釈等が必要な場合)
- 利用者(申立人)の住んでいる市町村と事業者のある市町村が異なるとき
- 利用者(申立人)が国保連合会での処理を特に希望する場合
電話等の苦情相談のほか、書面による苦情申立もできます。
「苦情申立」を行うと、国民健康保険団体連合会により、事業所の調査や審査、介護サービスの質の向上を目的とした改善項目の検討、事業者への指示・助言などが行われます。その内容や処理結果は、申立人と市区町村に報告されます。
苦情申立は、申立人に処理結果の報告がくるまでに60日程度の日数を要します。
介護サービスに関する苦情相談が可能な他の窓口
国民健康保険団体連合会(国保連)への苦情申立は、時間もかかります。
ケアマネージャーや市区町村の担当窓口の相談で解決しない場合には、下記の窓口への相談もおすすめします。
地域包括支援センター
高齢者の相談窓口やサービス拠点となる地域包括支援センターでも、介護に関する苦情相談ができます。
地域包括支援センターは、介護・保健・福祉の専門職がチームとなり、高齢者やその家族からの相談受付、高齢者の見守り、支援などを行う総合的な窓口です。
地域包括支援センターの設置主体は市町村です。実際には、自治体から委託を受けた社会福祉法人や社会福祉協議会、医療法人等が委託され運営しています。
必要に応じて、国民健康保険団体連合会への苦情申立の援助もお願いできます。

ケアマネージャーに相談してもダメな時は、地域包括支援センターに相談してから、自治体の相談窓口に行くのがいいと思います。
運営適正委員会
運営適正化委員会は、福祉サービス利用者からのサービスに対する苦情や、事業所とのトラブル等の相談ができます。
運営適正委員会は、福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保、福祉サービスに関する利用者等からの苦情解決をはかる、公正・中立な第三者機関です。社会福祉や法律、医療などの専門知識を持つ委員が、公正・中立な立場で、解決のための相談や助言、調査を行います。
社会福祉法第83条に基づき、全国の都道府県社会福祉協議会に設置されています。
ただし、苦情対応の対象となるのは、社会福祉法第2条に規定する「社会福祉事業」として認められているものに限ります。
老人福祉法
【第1種社会福祉事業】
①養護老人ホーム
②特別養護老人ホーム
③軽費老人ホーム
【第2種社会福祉事業】
①老人居宅介護等事業(訪問介護)
②老人デイサービス事業(通所介護)
③老人短期入所事業(短期入所生活介護)
④小規模多機能型居宅介護事業
⑤認知症対応型老人共同生活援助事業(グループホーム)
⑥複合型サービス福祉事業
⑦老人デイサービスセンター
⑧老人短期入所施設
⑨老人福祉センター
⑩老人介護支援センター
老人ホームや介護施設への相談・クレーム・苦情の伝え方
より良いサービスを利用するため苦情や相談は早期に伝える
介護サービスへの不安や不満を抱えている場合には、早期に伝えることが重要です。
お世話になっているサービス事情者へ苦情等を伝えることに抵抗を感じるかもしれせんが、抱え込んでいてはなにも解決しません。利用者にとって、望ましい状況になるよう早めに伝えることで、サービス向上につながります。
相談・クレーム・苦情を言うのは誰〜本人か家族
相談・クレーム・苦情を伝えるのは、基本的に介護サービスを受けている本人、もしくはその家族や代理人が行います。
相談・クレーム・苦情を言う前にしておきたいこと
状況確認
サービス提供者も人間です。手違いも、ミスもあります。
相談、クレームとして伝えるべきレベルなのか、見極める必要があります。
- たまたまなのか、繰り返されることなのか
- ミスレベルか意図的なのか
- 許される範囲なのか、許されないレベル、早期改善が必要なレベルなのか
- クレームに値するのか
…利用者本人の愚痴や勘違いのこともあります
利用者の健康に関わるようなことであれば即伝えるべきですが、判断がつかないような場合には、証拠になる記録を残しておくことも大切です。



施設に入居してい場合には、面会の頻度を上げて確認するのが大事です。この、面会の頻度をあげるというのは、施設側への穏やかなプレッシャーにもなります。
利用者にもよく確認
介護サービスを受けるのは、利用者本人です。
利用者本人が、介護サービス事業所の不満を口にしている場合には、話をよく聞いて、真意や真偽を確認することも大切です。
かまってちゃんレベルの愚痴、本人の勘違い、妄想…などもありますので、本人とよく話をして言いたいことやその気持ちを確認することも大切です。



私の父方の祖母は、施設や担当者の文句を、頻繁に言っていました。もともと、妄想癖なのか、虚言癖なのか、その傾向がある人でしたが、高齢になると軽度の認知症もあり拍車がかかりました。父は真に受けていましたが、母は「またか」レベルで受け流しつつ、施設の方に一応相談や確認をしていました。
利用者主張を妄想などど決めつけ、無視するのはよくありませんが、信用しすぎるのも、問題なことがあります。
相談・クレーム・苦情の伝え方
介護に関わらずですが、、相談したり、苦情を伝える時には、感情的にならず、事実に基づき伝えることが大切です。





身内の介護への不満や苦情ですから、つい感情的になりがちですが、怒ったら負け。相手も人間なのです。客観的事実を積み重ねるのがコツ。
相手を感情的に責め立てたり、論破するとかは、双方にとってマイナスですから、止めた方がいいですね、穏やかな解決な望めません。
苦情が言いづらい場合
介護事業所へ直接苦情を伝えたり、相談しにくい場合には、担当のケアマネージャーに相談するといいでしょう。
ケアマネージャーは、利用者と事業所の間に立ち、公平で中立な立場で支援することが求められています。経験や知識もありますし、情報も集まってきます。
どのように解決するのがいいか、気軽に相談してみましょう。
事業所も、ケアマネージャーから報告や相談を受ければ、事実確認や改善することが多いです。
それでも改善されない場合には、上述のように自治体の相談窓口や地域包括支援センターへの相談しましょう。
改善しない場合の対処法
ひと通り相談しても、改善されないこともあります。その際には、利用者を守るためにも他の対処をする必要があります。
- ケアマネージャーを変更する
- 介護サービス事業所を変更する
ケアマネージャーは、実務経験も知識も豊富です。だからといって、必ずしも利用者やその家族と相性がいいとも限りません。
ケアマネージャーを変更する方法
ケアマネージャーに相談しても埒が明かない、改善しないような場合には、ケアマネージャーを変更してもらいましょう。
ケアマネージャーを変更してもらうには、今のケアマネージャーを紹介してくれたところに相談するのが早いです
…地域包括支援センターなど
新しいケアマネージャーが現状を把握し、信頼関係を築くためには、双方一からやり直しです。労力がかかりますし、後任のケアマネージャーと相性がいいとも限りません。簡単丸投げではないことは、理解しておく必要があります。
介護サービス事業所を変更する
事業所側が改善しない場合には、利用する介護サービス事業所の変更も検討する必要があります。
これは、ケアマネージャーとよく相談して話を進める必要があります。
新しい環境に移ることは利用者のストレスとなる可能性も高いですし、利用する事業所の選定や、新しい契約を締結する必要があります。施設に入居するなら別途費用がかかりますし、現在入居している施設からの退去費用がかかり、返金額は一般には利用者側が期待するほどではありません。
手間も時間も費用もかかります。メリットだらけではないことを理解した上で、進める必要があります。
老人ホームや介護施設でのよくあるトラブル
契約について
- パンフレットの月額費用と実際の支給額の乖離
- 過剰な介護サービス
- 入浴回数などの違い
- スタッフの人数
- 退去を迫られた
- 退去時の返金額 など
食事について
- 食事の質への不満
- 食事介助への疑問
- 食事介助中の誤嚥 など
ケガや病気への対応
- 施設でのケガに対する施設側の過失
- 見守りが不十分
- 寝たきりの床ずれがひどい
- 認知症による行動での事故
- 薬の取り違えや飲み忘れ など
明細書やサービスの内容について
- 介護の内容が不記載
- 施設利用料の内訳が不明確・不記載
- サービス内容が契約内容と異なる
- サービスの質の低下 など
介護の質や衛生面について
- 利用者の身体や衣類の衛生面
- 部屋や施設の衛生面
- 水分補給
- スタッフの質が低い、対応が悪い
- 人員配置の基準が守られていない
- 職員から利用者への暴力・虐待
- パワハラやセクハラの横行
- 医療や看護体制の質が低い など
他の入居者やスタッフとのトラブル
- 他の入居者との喧嘩
- 騒音
- 金銭紛失などのトラブル
- 悪口やいじめ
- 恋愛関係によるいざこざ
- スタッフの態度による嫉妬
- 認知症による記憶障害・混乱・被害妄想 など



いろいろあります。不信感や不満があったら、ケアマネに相談してみるのが早いです。契約に関しては、利用者やその家族側の理解不足や勘違いというのも、よくある話です。



