都会の喧騒も満員電車も人混みも、そして様々な誘惑も懐かしくなるほどに、ノンビリした空気が漂う田舎暮らしでは、さぞかし仕事もはかどるであろうと思っている方に、現実をお伝えしておきます。
田舎暮らしでテレワーク/リモートワークはキツイです。
特に、web会議・オンラインミーティングには不向きです。
その理由と解決策について記します。
もちろん、「田舎」の場所や、人間関係などによっても大きく異なります。ただ、行ってみたら、、とならないように、心の準備と事前対策はオススメします。
田舎暮らしでテレワークは厳しい理由
あなたの仕事がテレワーク/リモートワーク可能なら、どこに住んでも良いわけです。
せっかくなら、田舎に庭付きの一軒家を格安で手に入れて、小鳥の声でも聴きながら、季節を感じて、穏やかに田舎で伸び伸びと暮らしたいと思うのは至極当然。
テレワークへの理解やデジタル技術の発達により、田舎移住は注目され、静かな人気ではありますが、都会暮らしとは異なる地方特有の想定外事態が多々おこります。
その中でも仕事~テレワーク/リモートワークに支障が生じた実体験を紹介します。
田舎でテレワークの現実① 突然の来訪者
田舎の人は、基本アポなし、突然やってきます。
立ち入り禁止の表示も、インターホンも無視です。勝手に侵入してきます。
強者になると、呼び出しもせず、玄関を開けて、スリッパを出し、勝手知ったる我が家状態で上がり込んできます。
そんな人もいるのかと思えば、音も立てず敷地に侵入し、いつからそこにいたのか分かりませんが静かに窓から覗いていて、こちらが気づくと嬉しそうに窓ガラスをコンコン、そんな人もいます。
こちらの都合も聞かずに、「ちょっと休憩しようや」と、コーヒーを飲みに来て、一方的にしゃべるだけしゃべり(しかも30分以上!)、「オレも忙しいんだ」と帰っていく、そんな人もいます。
怖いです、田舎の人。
無論、悪気はなく、単におしゃべりに来ただけなのですが、苦痛です。
これがタイミング悪く仕事中、特に、電話中やweb会議中にやってくるともうアウト。
物理的&精神的ダメージは計り知れません。
必ず事前アポ、そしてインターホンをとお願いしても1〜2週間位で忘れます。
また、集金、募金/寄付、役所からの広報誌、回覧板、消防、警ら、セールス、などなど、何かにつけて訪問者が多いことにも辟易します。
居留守は使えません。開放感が魅力の田舎の一軒家で、閉め切って仕事するのも不本意だし、何よりクルマでバレます。
田舎暮らしは、どこに行くにもクルマが必要なので、クルマがあれば、間違いなく在宅しているということなのです。
天気の良い日は外でにテーブルを出して仕事/デスクワークしたいのに、誰か来るかも、と思うと油断がならないので落ち着きません。
でも、視線や気配を感じて視線を上げると、心休まる来訪者が遊びに来ていることも多々あります。
田舎でテレワークの現実② 庭や畑が気になる
人間も気になりますが、それにも増して常に気になるのは、目の前の庭や畑です。
何せ、目の前のことなので、見て見ぬふりをするわけにもいきません。
作物の生育具合が気になって、つい世話をし始めると瞬く間に時間が過ぎていきます。
雑草が気になりだすと、草刈りせずにはいられません。
虫や動物の気配を感じると、対策を考えずにはいられなくなるのです。
時間がいくらあっても足りません。
庭があることや自家菜園も、都会では味わえない田舎暮らしの魅力の一つ(と私は思っていました)。でも、一旦その手の作業をすると、かなりの時間を取られます。
当然汚れるし、汗をかくのでシャワーや着替えで、また時間を取られます。
天候も気になります。畑作業は、天候で左右されるからです。
天候ばかりは、自分ではコントロールしようもありません。
つまり、気になることが多すぎて、仕事する時間を確保しにくいのです。
でも、デスクワークであれば集中するのが仕事です。
集中できないと仕事になりません。
自分の中で、うまく割り切って線引きするしかないのですが、都会のオフォスのほうが集中できることを痛感しました。
田舎でテレワークの現実③ 通信環境が悪い
そして、田舎暮らしが決定的にテレワーク/リモートワークに不向きな理由は、通信環境です。
インターネットが使えない、もしくは速度が出ない/遅い、不安定、なんてことになっては、仕事になりません。
今の時代に、まさか、と思うかもしれませんが、想定外のところに落とし穴があります。
最近は、過疎地でも電波が入りますが、電波が不安定な可能性があります。天候が悪いと入らない、なんてこともあり得ます。
光回線を使えないエリアの可能性もあります。
それらは、物件選びの際に必ず確認しましょう。
無事、光回線が引けたとしてもまだまだ油断はなりません。
Wi-Fiが届かない場所があるかも、です。
大きな家であれば、全ての部屋で安定したWi-Fi環境になるとも限りません。庭や畑のWi-Fi環境は、期待しない方が無難です。
私が住んでいた家では、光回線は引けましたが、部屋や時間帯によっては不安定過ぎ。中継機を増やしましたが、解決することはありませんでした。
大きな家でもないのに、どんなに高性能なルーターでも、中継器でもダメなものはダメなのです。
天気の良い日にはウッドデッキや庭にテーブルを出してデスクワークをする、畑にいてもネットを確認できる、など、快適な通信環境は、田舎暮らしで快適に仕事、とくにテレワーク/リモートワークをするためには、絶対に外せない条件です。
都会では当たり前、容易に対応できることが、地方(田舎)では出来難いので、事前の確認が必要です。
快適にテレワークするための防音隠し部屋は必要か?
最大の課題は、①の来訪者問題です。
②の庭や畑は、相手が自然であることに理解納得し、自制するしかありません。または、働き方を変える、気にしないなど。
③の通信環境は、事前の確認で対処できます。また、田舎や過疎地でも通信環境自体、近年改善されています。
とにかく①です。
突然やってくる来訪者を、こちらが止めることは出来ません。
その解決策は、稚拙ですが「完全なる居留守を装う」、解決策はこれしかありません。
外の人は知らない、外からはバレない、明かりも漏れない、部屋を用意しておくことです。
できれば防音対策を施すのが理想。
その程度のリフォームは、DIY可能ですが、最初からそのような作業用の部屋やスペースを確保しておくことをオススメします。
集中して仕事/デスクワークをする場合、またはテレワーク/リモートワークのweb会議・オンラインミーティングの際には、全てを施錠してそこに籠るのです。
玄関のインターホンには「○時まで留守にします」と張り紙でもして、押せないようにしましょう。
クルマは隠せないので仕方がありません。
もし後で聞かれたら、適当に答えればいいのです。適当な返事をすることに抵抗がある場合には、「会議中で○時まで出られません」と、インターホンに張り紙しておけばいいのです。
「この前来た時、いなかったけど、出かけてたの?」って、聞かれることも珍しくありません。
冗談みたいですが、本当です。別にストーカーなわけではありません。こちらの行動を完全に把握したいわけでもありません。
気にかけてもらっているだけの、話なのです。
開放感が魅力の田舎暮らしで引き篭もるのは、自分でもどうかと思いますが、仕事デスクワーク、特にweb会議の際は仕方がありません。
苦肉の策です。
もっと心にゆとりを持って、いつ誰が来ても、そしてそれがアポなしであっても、それが見ず知らずの人であっても、集金や半強制的な寄付であっても、笑顔で気持ちよく迎え入れられるような人間になれれば、と思います。
田舎暮らしは、人間を成長させてくれる場所なのかもしれません。
そういう意味でも、田舎は子育てには良い環境でしょう。
でも、都会と同じように仕事をしようとすると無理があるようです。