【確定申告】青色申告の書類保管期間や保管の起算日・計算方法、2025年に処分できるのは何年度分?税務調査と「お尋ね」の違い
個人事業主の場合、毎年2月16日~3月15日に確定申告をします。確定申告が済むと、前年度の請求書や領収書、帳簿などもスッキリまとまります。
そして、過去の会計関係の書類を捨てることができるのもこの時期です。1年くらい早く捨てても大ごとにはならないようですが、税務調査や「お尋ね」の時の面倒を避けるためにも、保管期間は守っておきたいところです。
今回は、青色申告の書類保管期間や、保管の起算日、計算方法、結局いつのを捨てていいのかをまとめておきます。
青色申告の会計関連 帳簿書類等の保管期間は?
会計関連の帳簿書類は7年間保管
青白申告の会計関連の帳簿書類の保管期間は、「会計関連の帳簿書類は7年間、赤字決算の年度は10年間保存する」と覚えておくと安心です。
実際には、書類によって7年間、5年間と定められた期間は異なります。関連書類を年度分まとめて保管している場合には、あまり気にする必要もありません。長い方に合わせればいいだけです。
保存が必要な書類 | 保存期間 | |
---|---|---|
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年 |
その他の書類 | 取引に関して作成や受領した上記以外の書類 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など | 5年 |
青色申告で繰越損失を使った年度の会計関連 帳簿書類等の保管期間は?
青白申告の場合、赤字の年に確定申告(損失申告)すれば、最長3年間赤字を繰り越すことができます。繰り越した赤字は、翌年以降3年間であれば黒字と相殺できます。
この繰越損失を使った年度でも、会計関連書類の保管期間の考え方は同じです。
繰越損失を使うということは、その年度は赤字決算ではないわけですから、保管期間は7年。
【繰越が1年なら?】
通常の保管期間7年+最長3年繰越 から10年のようです。
赤字決算した翌年度に、繰越損失を全部使い切ったら8年でよくない?とかなりそうですが、お役所ですから、決まりは決まりです。10年と言われたら、10年保管しましょう。
【例外】青色申告で所得が300万以下なら?
青色申告の場合、前々年分の所得300万円以下であれば、現金預金取引等関係書類を5年間(通常7年)保存すればいいことになっていますが、帳簿や決算関係書類は7年です。
ここをあえて例外の規定を作る意味もわかりませんが、、、規定は規定です。そうはいっても、現金預金取引関係書類の保管期間が短くなるだけなので、保管の物量や手間に大きな影響はなさそうです。
なんらかの事情があり1日でも早く処分したい場合は別ですが、通常通り 一式7年としておいた方が、手間も省けます。
会計関連 帳簿書類等の保管期間の起算日は?
青色申告の場合、帳簿書類などの保管期間の起算日は、確定申告の期限日(基本は3月15日)の翌日、基本的に3月16日からカウントします。
【2024年度の確定申告なら?】
- 法定帳簿の発行日:2024年1月1日~2024年12月31日
- 確定申告の提出期限(2024年分):2025年3月15日
- 法定帳簿の保存期間:2032年3月15日まで
震災等社会的要因の影響で、確定申告や納付期限が1か月延長されたこともあります。その場合には、起算日は4月16日になります。
青色申告の会計関連 帳簿書類等、2024年に捨てていいのはいつの分?
青色申告の会計関連 帳簿書類の保管期限は?
年度毎の一般的な保管期限をまとめておきます。
申告年度 | 申告期限 | 保管期限 | 赤字申告 保管期限 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2025年度 | 2026/3/16 | 2033/3 | 2036/3 | 予定 |
2024年度 | 2025/3/17 | 2032/3 | 2035/3 | 予定 |
2023年度 | 2024/3/15 | 2031/3 | 2034/3 | |
2022年度 | 2023/3/15 | 2030/3 | 2033/3 | |
2021年度 | 2022/3/15 | 2029/3 | 2032/3 | |
2020年度 | 2021/4/15 | 2028/4 | 2031/4 | 申告期限延長 |
2019年度 | 2020/4/16 | 2027/4 | 2030/4 | 申告期限延長 |
2018年度 | 2019/3/15 | 2026/3 | 2028/3 | 2018年度までは 赤字申告の保管期限は9年 |
2017年度 | 2018/3/15 | 2025/3 | 2027/3 | |
2016年度 | 2017/3/15 | 2024/3 | 2026/3 | |
2015年度 | 2016/3/15 | 2023/3 | 2025/3 | |
2014年度 | 2015/3/15 | 2022/3 | 2024/3 | |
2013年度 | 2014/3/15 | 2021/3 | 2023/3 |
大切な書類とはいえ、保管期間長いですね。。
実際には、よほど悪質でなければ税務調査で7年前まで遡られることはないようなので、自己責任の範囲で5年経ったら廃棄してもいいとの説もあるようです。7年が5年になっても、2年分しか変わりませんので、お上の仰せの通りに従った方が無難ですね。
捨てる前に要確認!揉める可能性のある書類は最低10年残す
個人事業主でも、契約書や、大きな工事、設備などの請求書、見積書、納品書など、後から揉めたり、トラブルが発生する可能性があるものは、最低でも10年は残しておきたいところです。
この10年というのは、民事の債権時効と関わります。法律をきっちり読み込んだり、契約などの内容にもよって変わりますが、重要なものは保管期限にかかわらず残しておく方が無難です。捨てるのはいつでもできるのですから、、
電子帳簿保存法 電子データ化した原本の保管期間は?
電子帳簿保存法により、2024年1月から「電子取引」に関するデータ保存義務化されています。
紙で受け取った契約書や請求書などをスキャナで読み取り、電子帳簿保存法の保存要件を満たしたうえで電子保存すれば、データ化した後の原本をすぐに破棄することも認められています。
ただ、裁判の場合には原本提出が必要となりますので、契約書などは紙で残しておくに限ります。ドキュサインなど電子契約書の場合には、そもそもデータですけどね、、
税務調査は何年前まで遡ることができるの?
通常の税務調査では過去3年分の情報が調査対象とされています。
過去の税務申告における不備や申告漏れなどの問題があるかどうかを確認するために設定された年数です。
ただ、脱税行為が見つかった場合など、税務署の判断によっては、5年分遡ることができると法律で定められています。さらに、税務調査官によって「意図的で悪質な脱税」をしていると客観的に判断された場合は、7年間分調査されることがあります。
ほどほどの売上で、多少の間違いはあっても、毎年確定申告をしていれば、7年分調査されるようなことはあり得ないでしょう。小市民を捕まえて、7年分調査したところで、、、ですので、よほどの心当たりがある場合をのぞき、心配不要でしょう。
青色申告で税務調査される確率は?
個人の税務調査の確率は0.5〜1%程度です。
近年は社会的要因もあり、税務調査は減少していましたが、令和4年(2022年)には、かなり件数が増えました。
【税務調査の種類は?】
- 特別調査・一般調査:高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に実施される調査
- 着眼調査:資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実施される調査
税務調査の基準になる申告額は?
課税売上高が1,000万円未満が続くと、税務調査が入られやすいといわれています。
これは、課税売上高が(税込で)1000万円以下であれば免税事業者、1000万を超えていれば課税事業者だったからです。売上が990万であれば免税事業者で消費税の申告義務がなく、1,000万円を超えると消費税の申告と納付をしなければなくなるため、帳簿操作などをして課税売上1,000万未満にしていないか疑われやすいからだと言われていました。
実際には、明確な基準はありませんので、1,000万弱でも、1,000万円越えでも、税務調査が入る時には入ります。
2023年10月のインボイス制度開始によって、登録事業者であれば課税売上高が1,000万円未満でも消費税の申告と納付が義務付けられますから、今後はどうなるかわかりませんね。。税務署もしばらくは慌ただしいでしょうから、小市民の税務調査どころではなくなるかもしれません。
税務調査とお尋ねは違うの?
税務調査とお尋ねはレベルが違います。
【お尋ねとは?】
簡易な接触がいわゆる「お尋ね」
納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するもの
「簡易な接触」いわゆる「お尋ね」であれば20%弱まで上がります。巷での「税務調査来た」の多くは、お尋ねのことではないかと思われます。
お尋ねは、必要な書類が揃っており、質問に答えて、わからないことは教えてもらい、間違いは言われた通りに訂正すれば、恐るほどのものではありません。
私も近年「お尋ね」がありました。事業の譲渡所得があったので、税理士にも何度か確認し確定申告をしたところ、数週間後に税務署からお尋ねの電話が、、、
我が家で使用している最大手レベルの個人事業主向け会計システムで作成し申告したのですが、とんでもない計算間違いがありました。
その会計システムで確定申告書類の作成画面に手入力しても、正しい額が算出されず、結局国税庁の確定申告のシステムを使って入力しなおすことになりました。
確定申告の期間内でしたので、ペナルティは発生しませんでしたが、確定申告はやり直し、税務署の担当者と何度か電話で確認し、最終的にはe-Taxも諦めて税務署まで持参して、現地で担当者に確認してもらい、納付金額は爆上がりし、すでに一度支払っているので差額は手書きして金融機関に直接支払しか方法がなく、、、という散々なことがありました。
後程、確認したら、そのシステムでは事業譲渡に関する計算や必要書類を出せないとのこと。年間使用料も支払い使用しているのに、確定申告で必要な計算ができないシステムもどうかとは思いますし、確認しきれなかった私も悪いのですが、システムで算出した確定申告書で最終確認をした税理士も明らかな間違いに気が付かずとのお粗末ぶりに、しばらくプンスカしておりました。
事業譲渡など、一時的な所得がある場合には、会計システム(有料でも)で計算しても、確定申告は国税庁のシステムを使うことをお勧めします。税務署の職員の方にも、そのように言われました。ちなみに、弥生の青色申告オンラインならできます。。