葬儀後の寄り道〜友人との食事やお茶、買い物、コンビニ、観光などのお出かけはダメなのか

お葬式(お通夜・葬儀・告別式)後に寄り道することには、賛否両論あります。

スーパーやコンビニなどの買い物もできれば避けるべきで、寄り道することなくまっすぐに帰宅し、その日は故人を偲び過ごすのが良い、との考え方もあるようです。

故人との関係によっても変わりますが、葬儀後の帰り道での食事や買い物、出かけることについて、現代の考え方などを調べてまとめておきます。

目次

葬儀後の寄り道は駄目なの?

昔は「葬儀の帰りに寄り道するのは良くない」という考え方もありましたが、現代では考え方も変わってきています。

とはいえ、地域や家、人によって考え方が異なりますので、斎場近くで目立つような行動は控える、気にされる方には無理強いしない、人の言動や考え方は批判しないのが無難です。

昔の葬儀と今の葬儀では、社会生活の変化もあり、葬儀の営み方や弔問客の層なども大きく変わっています。

昔は、通夜の後に夜通しお経を唱えて線香を絶やさずにいたものです。 弔問客も、一般の弔問客は少なく、親戚などが中心でした。「故人を悼む気持ちのまま一日を終えるべき」という考え方もありましたし、弔問客の多くが身内ですから、寄り道などという発想もありませんでした。

一方、現在は一般の弔問客の方が多いくらいです。故人を悼む気持はあっても、式が終われば、日常に戻ります。用事を足したり、寄り道することも、不自然なことではないのです。

時代も、社会生活も変わっているのですから、昔の考え方に縛られる必要はありませんし、そもそもで「してはならない」主教的な教えや、明確な根拠もありません

また、葬儀後に日常に戻ったところで、故人を蔑ろにしているわけでもありません。他人の心の内や事情を勝手に解釈判断し、一方的に否定し「マナー」や「当然」とするのも考えものです。

喪服の変遷

喪服が「白」から「黒」に変わったのは、明治時代です。これは、外国の黒の喪服に影響を受けた政府の動きによるものです。ただ、当初は上流階級の人たちの話。
庶民の喪服に「黒」が広まったのは、第二次世界大戦の頃と言われています。
なお、戦前は喪服を着用するのは遺族のみ。一般に、会葬者は喪服ではありませんでした。
戦後、社会生活や人々の意識の変化もあり、会葬者も黒の喪服を着用するようになりました。

今、声高に主張される冠婚葬祭マナーの多くは、戦後のものです。
経済発展や商業化の影響もあり、1970年代頃からはさらに大きな変化もありました。「古くからの〜」「◯◯がマナー」など言っても、ここ数十年で「作られたマナー」です。

葬儀後に友人と食事するのは良くないこと?

葬儀では、数年ぶりに友人知人とも顔を合わせます。お通夜や葬儀後に、少し話をする時間を持ちたくなることもあります。

今の時代、このような行為は特に問題ないと考える方も多いです。ただ、不謹慎と考える方も世の中にはいることは、覚えておくといいでしょう。

肯定的① 持ち帰らない

どこかに寄り道していくことで「霊を家に持ち帰らない

地域によっては、「家に持ち帰らない」ため、わざわざ立ち寄ることもあります。

「持ち帰らない」ためかはわかりませんが、斎場近くのファミレスなどでは、喪服姿の方々が食事をしたり、お茶を飲んでいるのは、よく見かけます。地域柄もあるかもしれませんが、珍しいことではありません。

【精進落としの勘違い】
葬儀後、友人達との会食を「精進落とし」など言うこともありますが、これは誤用

精進落とし」とは、葬儀後や火葬後もしくは火葬中に、僧侶や遺族、親族を中心に行う会食のことです。かつては、故人の四十九日の忌明けの際に食べるものでした。
席を用意するのは、喪家、遺族側です。

友人知人が自主的に行う葬儀後の会食は、故人を偲ぶ会だとしても「精進落とし」ではありません。

肯定的② そんなマナーはない

参列者が、儀式が終わり斎場を離れてまで守るべきマナーは存在しない

お葬式に関する作法やマナーなどは、宗教の教えによるものや、喪家やご遺族に対する礼儀、参列者の礼儀です。参列者が家を出てから、家に帰るまでの一挙手一投足にまで作法やらマナーやらが定められているわけではありません。

言い方は雑ですが、近い親族の葬儀でなければ、葬儀後は日常に戻ります。仕事などに戻ることも珍しくありません。葬儀後にしていいことと、していけないことに明確な境界線はなく、あくまで個人の問題です。

否定的① 死は穢れ?

死は穢れ」だから、葬儀後喪服のままで飲食店に入ることを、怖がる、忌み嫌う人もいる

仏教では死が「穢れ」とは考えません

神道では「穢れ」ですが、これは神様の前に出ることを控えることですから、周囲の人への影響はありません。

この「死は穢れ」の勘違いから、過去には会葬御礼などに「お清めの塩」が入っていることが多かったのですが、現在は葬儀後の帰宅時に塩を撒く必要はない、という考え方も浸透しつつあります。

中には、従来通りに塩を撒かないと気が済まない方もいます。様々な考え方、感じ方の人がいるのですが、これもどうしようもありません。

否定的② お焼香のニオイ

喪服についたお焼香のニオイがついているのが気になるので、寄り道するべきではない

喪服を着ている本人が気になるのであれば、寄り道せずにまっすぐ帰りましょう。周囲の人が気にするのではないかという配慮だとしたら、考えすぎです。

お焼香のニオイより、柔軟剤などの強烈なニオイの方が気になります。
「香り」を越して、「ニオイ」としか思えません。

否定的③ 飲食店側が気にする

喪服の人が食事をすることを、飲食店側が気にする/嫌がるから寄り道するべきではない

過去には、喪服のお客が帰った後に塩を撒く、などの行為もあったようですが、これはお客側ではなく、飲食店側の考え方次第ですから、どうにもなりません。気にするだけ無駄です。

飲食店側がどうしても嫌なら断ればいいだけの話です。

喪服を着ている本人が気になるのであれば、寄り道せずにまっすぐ帰りましょう。お店の人や、周囲の人が気にするのではないかという配慮だとしたら、考えすぎです。

ただ、お店は選ぶ方がいいですね。華やかなお店や、賑やかなお店に喪服は相応しくはありません。これは、利用する側のTPOに対する考え方が計られます。

現代声高に主張される葬式マナーには、昭和に入ってから「作られたマナー」もあります。数十年前とは情報量も違いますし、社会生活も大きく変化しました。根拠のないものや、心が伴わず形ばかりを追う「マナー」には、あまり振り回されない方が楽ですね。

葬式(通夜・葬儀・告別式)後の買い物は?

葬儀後にそのまま出かけることにも賛否両論あるようですが、そんなに気にする必要はないでしょう。

仕事は着替えを用意しておく

仕事の場合、葬儀後そのまま仕事に戻ることは、不謹慎ではありません。現代社会では、普通の話です。

男性であれば、少なくてもネクタイは変えましょう。会社に個人のロッカーがあれば、着替えを入れて用意しておくといいでしょう。

女性の場合は、着替えてから仕事に戻りたいものですが、難しい場合には上着を変える、ストッキングを履き替えるなどで、対応するといいでしょう。

スーパー、コンビニ、買い物は問題なし

葬儀後、喪服のままでの買い物も気にする必要はありません

過去には、喪服でスーパーに入るのはよくないなどの考え方もあったようですが、現代社会にはそれはむしろ「厳しいご意見」とされるでしょう。

百貨店でさえ、喪服のまま買い物をされている方も見かけます。不謹慎に思う方も中にはいるのでしょうが、店員さんを含め、ほとんどの人は気にすることもありません。

気になるのであれば、手際よく短時間で買い物をするといいでしょう。フロアによっては、場違い感がでることもありますので、少し配慮が必要かもしれませんね。

観光・旅行は気持ち次第

「せっかく遠方まで葬儀に参列しに行くのだから、ついでに観光して帰ろう」と思う方がどの程度いらっしゃるかは不明ですが、そこは個人の判断です。

そもそも、お葬式の帰りに観光などのレジャーを思いつくということは、故人との関係がさほど深くないなど、気持ちの整理がついているということでしょう。

儀式は儀式、仕事は仕事、前後のプライベートと切り離すことは、現代社会では普通です。もちろん、喪服で観光するのはどうかとは思いますので、着替えは用意しておくのは基本です。

*****

葬儀後の寄り道については、賛否両論あります。時代背景や育ってきた環境などによっても考え方が人それぞれ違うため、どちらの考え方も否定することは出来ないでしょう。

周囲が気になる、自分がそういう気持ちではないのであれば、寄り道せずに帰宅するのが一番です。

どこかに立ち寄るのであれば、お店を選ぶ、着替えをする、短時間で済ませるなど、配慮すれば問題ありません。

葬儀において大切なことは、故人やご遺族への気持ちです。自分がどう思われるか、どう見えるか、そちらにばかりとらわれずに行動したいものですね。

よかったらシェアしてね!
目次