贈り物やご挨拶、慶事、弔事などで、品物にかける「掛け紙」。最近は、「熨斗(のし)」がついていない掛け紙のことも、まとめて「のし紙」と呼ぶ傾向があるようです。
掛け紙/のし紙は、その贈り物にどんな意味があるのかを伝える意味合いがあります。
掛け紙/のし紙の種類やその違い、使い分け、名入れ(名前の書き方)などをまとめておきます。
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熨斗(のし)・のし紙・掛け紙(かけ紙)の違いは?
贈答品の上にかける紙のことを「のし」「のし紙」「掛け紙」など呼びますが、まずはその違いから。
熨斗とは?
「熨斗(のし)」とは、のし紙の右上についている、紅白の小さく細長い飾りのことです。「熨斗飾り」とも言います。
鮑(あわび)を薄く長くはぎ、引き伸ばして乾燥させた「熨斗鮑(のしあわび)」が省略されたものです。かつては、実際に「熨斗鮑(のしあわび)」を重ねたものを紙で包んで用いていました。
「のし」は延寿に通じ、乾燥した鮑(あわび)は栄養価も固く長持ちするため長寿をもたらす食べ物と重宝されていました。古来より縁起物であり、神饌として用いられてきたのです。熨斗鮑を贈る事はなくなりましたが、その名残として、小さな「のし」に変化し慶事や一般の贈答に使われています。
「のしあわび」の作り方はこちらの動画がわかりやすいのでご覧ください。動画の4分5秒からです。
掛け紙(かけ紙)とは?
掛け紙とは、贈り物や金封に掛ける紙全般をいい、大きく2種類あります。
・熨斗があるもの(のし紙)〜 慶事や挨拶など
・熨斗がないもの 〜 弔事、お供え、病気や災害のお見舞いなど
のし紙とは?
掛け紙の中でも、「のし」が印刷されているものを「のし紙」と呼びます。慶事用なので、水引も紅白、結び切りや蝶結びです。
【弔事用ののし紙は?】
本来弔事用の掛け紙は「熨斗」がないので「のし紙」ではありませんが、最近では「弔事用ののし紙」とも呼ばれ、区別が曖昧になっています
香典用の「のし袋」には、さすがに???とは思いますが、気にしないに限りますね。。これが、時代の変化です。
自分では、使いませんが、、
水引の結び方にも意味がある
◎ 結び切り 〜 一度きりであって欲しいことに
・結婚祝い、快気祝い、退院祝いなど
・病気や災害のお見舞い ※この場合は、「熨斗飾り」なし
◎ あわじ結び 〜 一度きりであって欲しいことに、末長く付き合うとの意味合いも
・慶事(紅白)・弔事(黒白)ともに使用可能
・結婚祝い、不祝儀袋(香典袋)など
◎ 蝶結び(花結び) 〜 何度あってもいいことに
・お祝い、内祝い、お歳暮、お中元、ご挨拶、お礼など
◎ 梅結び 〜 慶事全般
・結婚祝い、出産祝いなど
・あわじ結びの変形であり、結び直しのできない結び方から祝いごとに
・梅は春を告げる花であることから、運気向上、無常息災の意味合いも
「内のし」と「外のし」の違いや使い分け方は?
贈答品にのし紙(掛け紙)をかける時には、「内のし」と「外のし」とあります。
「内のし」と「外のし」の違い
贈答品にのし紙(掛け紙)をかける場所によって、呼び方が異なります。要は、包装紙の内側か外側かの違いです。
・内のし:品物 → のし紙 → 包装紙 の順
・外のし:品物 → 包装紙 → のし紙 の順
「内のし」と「外のし」〜渡し方での使い分け
従来は、奉書紙と呼ばれる厚手の白い和紙で品物を包み、水引で結びとめていました。
現在では、贈答品をそのまま奉書紙で包むようなことはありませんね。品物を保護するためのパッケージや包装紙もあります。そのため、渡し方によって使い分けることもあります。
・手渡しの場合:外のしが基本
・郵送や宅配の場合:内のしが一般的
※ 使い分けに厳密な決まりごとはありません
郵送や宅配で届ける場合には、贈答品に配送伝票を貼付しなければなりません。そのため、箱に内のしをかけ、包装紙で包み、その上に配送伝票を貼付します。
「内のし」と「外のし」〜用途での使い分け
渡し方の他にも、どのようなシーンで渡すかによっても使い分けることがあります。
・外のしが基本:慶事・弔事・御歳暮・御中元・御礼など
・内のしが一般的:内祝い、香典返しなど控えめに贈りたい場合
※ 使い分けに厳密な決まりごとはありません
外のしにするのは?
外のしは、先方の祝い事や季節の挨拶、お通夜・お葬式・法事などの「御供」など、贈り物の名目や送り主が一目でわかるので、先方に贈り物が集まるような時に適しています。
内のしにするのは?
内のしは、表書きが包装紙の下にあるので、贈答の目的が一目でわかりません。そのため、控えめに贈りたい場合に使います。
「身内に祝い事があったのでお裾分けします」の意味がある「内祝い」や、香典やお供えへのお礼として贈る「香典返し」は、控えめな印象を与える内のしで贈るのが一般的です。
のし紙(掛け紙)に名前は必ず入れるの?書き方は?
のし紙には名前を入れるのが一般的
のし紙(掛け紙)への名入れは基本的には自由ではありますが、誰からのどんな理由での贈答品なのかお伝えするためにも、通常は名入れします。
のし紙(掛け紙)への名前の書き方
通常、のし紙(掛け紙)は水引の上側に「御歳暮」「御中元」「御祝」などの表書きが入り、水引の下側に名入れ(贈り主の名前)します。
【名入れの仕方】
・慶事、弔事、御中元、御歳暮、御挨拶、御礼など:フルネーム、夫婦連名
・結婚内祝い:新郎新婦の連名
・出産内祝い:赤ちゃんの名前
※ 夫婦連名の場合、男性が右側にフルネーム、女性は左側に名前だけ
※ 夫婦以外の連名なら、右側に地位や年齢の高い方
※ 4名以上なら、代表者一名(中心)+ 外(他)一同(左側に少し小さめに)
のし紙(掛け紙)に名前を書かないのはどんな時
お供物やちょっとしたお礼や挨拶、お祝いの贈り物の場合には、表書きも名入れもしない「無地のし」を使うこともあります。
無地のしとは、熨斗飾りつきの掛け紙(のし紙)に、表書きや名入れをしないこと
※ 水引や熨斗飾りなしの、白無地とは別物です
無地のしの表書きや名入れは?
無地のしの使い方にも決まりはありませんが、表書きや名入れは3パターンあります。
- 表書きも名入れもしない
- 表書きのみ、名入れなし
- 表書きなし、名入れのみ
そもそもでのし紙(掛け紙)は贈答品に必ず必要なものでもありません。堅苦しさを出したくないとき、相手に気を遣わせたくないときには名入れをしなかったり、包装紙だけでは物足りなさを感じるような場合には無地のしをかけたりもします。
また、挨拶やお礼、手土産、お見舞いなど、相手に手渡す場合には、表書きや名入れを省略することは多々あります。
短冊のしはどこに貼る?
短冊のしってどんなもの?
のし紙(掛け紙)を短冊状に細長くした短冊のしというものもあります。
「熨斗鮑(のしあわび)」を簡略化した「熨斗(のし)」を、さらに簡略化し印刷したものが「のし紙」、さらに小さくしたものが「短冊のし」です。サイズも形も様々です。
のし紙の面積が小さいので、目上の方への贈答品では普通ののし紙を使う方が見栄えがよくなります。
短冊のしを貼る位置は?
短冊のしは、包装紙の上に直接貼り付けます。基本的な位置は「右上」。慶事用熨斗飾りは右上にデザインされているので、それに倣います。
貼り方にルールがあるわけではないので、贈答品の形やサイズ、短冊のしとのバランスをみて位置を決めてもいいでしょう。最近は、水引の印刷がない短冊のしはリボンと併用するなど、より自由に使われているようです。
のし紙(掛け紙)の掛け方には厳格なルールがありません。目的や、地域、家庭によって異なることもあります。
わからない時には、家庭であれば年長者に確認する、百貨店などでのお店の人に聞く、葬儀関係の場合には葬儀社の人に聞く、、など、その都度確認するといいですね。