高齢ドライバー 運転免許証の所有率や自主返納のリアル、自主返納で一生使える優待サービス
先日、高齢ドライバーの運転に関して驚く記事を見かけました。
よほど気になったらしく、、、高齢者の運転免許諸事情を調べてみました。赤の他人の考え方を変えることはできませんが、加害者にならないために、今の自分、これからの自分にできることを考えてみました。
高齢ドライバーの8割近くが「運転に自信あり」って本当ですか?
先日、高齢ドライバーの8割近くが「運転に自信あり」といった驚くべき内容の記事を目にしたので、一次情報を探してみました。
※元記事:高齢ドライバー8割「運転に自信あり」 75歳以上による「死亡事故」増加も…免許返納は“右肩下がり”の現実
一次情報は、NEXCO東日本が公開している「逆走・免許返納に関する親子の意識調査」でした。
「逆走・免許返納に関する親子の意識調査」
調査対象:65歳以上の高齢ドライバー104名(65~69歳34名、70~74歳36名、75歳以上34名)
調査方法:インターネット
調査時期:不明(記載なし)
けして多いサンプル数とは言えませんが、それでも4人に3人が、ご自身の運転に自信がある、もしくはあったのですから、その自信には驚かされます。
ご自身の運転に自信があるからこそ、75歳を超えても車を運転しているとも言えるわけで、矛盾がないと言えば矛盾がないのかもしれません。
運転免許証を取得してから30年以上経過しますが、「私上手いかも」と思っていたのは、若い頃の一瞬。幸いなことに、軽微な違反と自損事故のみ。人身・物損事故はありませんが、ドライバー人生のほとんどは「へなちょこ」と自覚しながら、運転しています。
さらに、驚きなのが運転免許証の返納をしても良いと思う年齢。80歳くらいまでは運転したいとのこと。
しかも、年齢が上がるにつれ、「まだ大丈夫」感がでてくるのか、どんどん返納してもよいと思う時期が後ろに倒れてきます。
住んでいるエリアや、仕事、家庭環境など、車の運転をしなければ生活が成り立たない事情もあるでしょうし、個々人のフィットネスレベルを年齢で判断することはよくないとはいえ、考えさせられるものがあります。
シニア世代の運転免許証の保有率と返納のリアル
2020年末(令和2年末)の男女別運転免許保有者数と年齢層別保有者率は、内閣府から発表されています。
男女別運転免許保有者数と年齢層別保有者率
男女ともに、70代後半になると運転免許証の保有率が明らかに下がっています。80歳以上になると、男性の保有率が43.6%、女性が8.0%。先のNEXCO東日本の調査とも、あっていますね。
警察庁からは、運転免許の自主返納件数の総数、75歳未満、75歳以上の件数が発表されています。
運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
このデータからも、75歳を超えると自主返納する方が多いことがわかります。
自主返納が激増した2019年は、東京・池袋で乗用車が暴走して2人が死亡した事故が起こりました。高齢者の運転が社会問題として大きく注目を集めた年です。
以降、毎年自主返納数が減少しているのは、コロナ禍の影響や公共交通網の弱体化も影響しているとみられています。実際、車が必要な地方でこそ、ローカルバスの本数減少もあり、車が手放せないのも実情でしょう。
ただ、2022年からの法改正で、75歳以上での運転免許証更新では「親認知機能検査」が追加されています。
※ 医師の診断書等を提出した場合は、認知機能検査が免除される場合があります。
「手がかり再生」という、16のイラストを覚え、関係のない別の課題を行なった後に、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントを基に回答するのは、なかなかの難題。
この「手がかり再生」で合格点を取れないと、「認知症のおそれがある」と判定されます。医師の診断を受け、「認知症でない」との診断書を公安委員会に提出しなければ、高齢者講習を受講できず、運転免許証の更新ができません。
加えて、過去3年以内に違反歴があると、「運転技能検査」で実技試験に合格する必要があり、75歳以上での免許更新はハードルが高くなります。
高齢ドライバーに自主返納を促す方法
高齢の家族に、運転免許書の自主返納を促すのは簡単ですが、本人が理解・納得し、自主返納にまでたどり着くのは、かなり難易度高めです。
高齢ドライバーのリスクだけ伝えても無駄
- 事故を起こしやすくなること
- 加害者となりやすいこと
- 加害者となったら残りの人生がどうなるか
- 運転で自分がケガをしたらどうなるか
こういったリスクだけを伝えても、多くの場合、仕事や通院、買い物を理由に、あいまいにされたり、不機嫌になられたりするだけです。
他人は変えられないのです。
私の母親も、75を超えての更新のタイミングまで運転をしていました。事故を起こすことはありませんでしたが、運動機能の低下は本人も自覚していました。それまでに、何度か自主返納を勧めてはみましたが、「仕事がある(オームヘルパーの仕事が大好きでした)」「私も忙しい」「車がないと行けないところがある」「わかってはいるけど」など言うので、私も何回か話した後は、もう言うのはやめました。
加害者となることも、自身の運転でケガをすることも、避けて欲しいとは思いますが、彼女にも生活があります。その生活を、私が完全にサポートできるわけではありません。一方的に、こちらの想いだけを伝えるのも無責任と言えば、無責任な話なのです。
結局、75歳を超えてからの免許証更新のタイミングで自主返納しました。当時の認知機能検査は、現行の検査よりも緩かったとはいえ、そのような検査が必要な年齢であることを、受け入れたのだと思います。
免許返納後の暮らし方の提案で自主返納の理解を得られる?
高齢者が、運転免許証を自主返納しない/できないのは、仕事・買い物・通院といった日常生活に大きな影響がでることが大きな理由です。
車社会ですから、車なしでは生活が成り立たないのです。
車に依存しない暮らしは、社会全体で解決する問題ですが、なかなか進みません。
ですから、高齢ドライバーに自主返納を促すのであれば、日常生活への影響が少しでも小さくなるような暮らし方や代替案を示す必要があります。
でも、コレ、個人・家族間だけで解決するのほとんど不可能です。
❌ バス・電車の利用
→ 地方の郊外、田舎といった車が必要な場所ほど、公共交通機関が不便です
❌ タクシーの利用
→ 地方の郊外、田舎ほど、移動距離が長くなり、利用料が高くなります
❌ 家族や周りの人が買い物・通院の完全フォロー
→ 同居か近くに住んでていて、時間に融通か聞かないとほぼ無理です
△ 通販
→ テレビ・チラシ・カタログの通販はできても、ネット通販は苦手です
※テレビなどの通販ができるのは、電話やFAX、ハガキなどので申込ができるから
△ ネットスーパーなど
→ 地方の郊外、田舎の場合、無料配達エリア外などで、配送料がかかります
軽自動車でさえ、税金、保険、車検、ガソリン代、消耗品ほか維持費用は年間数万円かかります。それは平気、仕方がないと受け入れても、今の買い物や移動のために払う数百円の「送料」や「交通費」はやたら高く、無駄に感じてしまうのが、人間です。。
結局、高齢ドライバーが気持ちよく、不安なく、運転免許証の自主返納をするのは、相当ハードルが高いのです。
家族の協力や行政のサービスなどを利用しながら、それなりに不便になる新しい生活を受け入れてもらうしかありません。
高齢ドライバーの加害者にならないためにできること
残念なことに、高齢ドライバーの域に達した方に、自主返納を促すのは上述の通りハードルかなり高めです。
でも、自分が「高齢ドライバーの加害者」にならないためにできることはあります。
現高齢ドライバーに自主返納を促すように、遠くない将来に自分も自主返納を考えるべき時がきます。その時にグダグダしないよう、暮らし方を考え、整えておく必要があるのです。
一番簡単な方法は、車なしで生活できるところで暮らす。
他にも、ドライバーとなってもらえる家族と暮らす、誰かに運転してもらう、買い物はできる限り宅配を利用する、など。
かく言う、我が家はこの数年「車なし」生活をしています。徒歩圏内に、スーパー、病院、電車の駅あり。移動の基本は公共交通機関かタクシー。旅行などどうしようもない場合には、レンタカー。
今は、レンタカーを時折利用していますが、時期が来たらレンタカーも使用しない。
慣れてみれば、さほど不便でもありません。
何をするにも、どこに行くにも時間はかかりますがに、多少は歩く必要があるため運動不足にはなりません。太ることもありませんし、ジム通いも不要です。
家・土地・仕事があるから無理。となりそうですが、何かを手放す、変えなければ、何も変わりません。
今の高齢ドライバーが運転免許証を自主返納できないのと、同じです。
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車なし=完全徒歩ではありません。
愛媛県の内子町の石畳地区に行った時に、結構急勾配な坂道を、おばあちゃんがシニアカーで登っていました。こんな坂も登れるのかと、驚きました。
シニアカーであれば、歩行者扱いで運転免許も不要、電動であればガソリン不要、家で充電可能。安いものでは10万円程度からありますが、SUZUKIの「セニアカー」であれば新車で40万程度。しかも、見た目もかわいい。
車より移動の制限はありますが、視点を変えれば選択肢は見つかります。
シニアカーは車ではないので、バックミラーがないものもありますが、少し価格が上がってもついている方がいいです。ついていたところで、乗車時に後方や横を確認しなければ何の意味もないのですが、バックミラーがなければ、そもそもで確認することさえしない人がいると思います。
運転免許証を更新しない、返納したら「運転経歴証明書」を取得
車を運転しなくても、身分証明書として便利な運転免許証ですが、更新しない、返納する場合には、「運転経歴証明書」を取得することができます。
自主返納を促すための施策の1つであり、返納後の生活を支援するために自治体や企業による支援でもあります。
運転経歴証明書を持っている方がいい理由
運転経歴証明書は、公的な身分証明書として認められていますし、さまざまな特典もあるので、絶対に取得すべきものです。
しかも、代理申請や郵送での申請、紛失後には再交付申請も可能。
運転免許証を所有していない方からみれば差別的特典が、たった1,100円と多少の手間でもれなくついてきます。
ただし、申請可能期間等条件があります。
運転経歴証明書があれば利用できる特典
各地域の支援や特典に関する情報は、まとまっていないので分かりにくいのが残念なところです。
一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会が、まとめたページを公開していますので、各都道府県の特典内容を確認するには便利です。
高齢運転者支援サイト
原則65歳以上が対象となりますが、ご自身の居住地だけでなく、日本全国でサービスを受けられます。
自治体ごとの「高齢者運転免許証返納促進事業」も要確認
協賛企業の割引やサービス特典とは別に、各自治体でも「高齢者運転免許証返納促進事業」があります。
1回(1年間)限りなどの限定ですが、5,000円〜10,000円程度の、公共交通機関の乗車券や、定期券、タクシーチケット、公共施設の利用券などが交付されます。
運転経歴証明書の申請方法
自主返納であれば、返納時に手続きができますので、同日に申請するのが一番簡単で無駄がありません。
必要書類等を揃えて、運転免許センターや都道府県内の警察署で手続きができます。
代理人申請も可能。その場合には、委任状と代理人の身分証明書が必要です。
運転免許証をすでに返納済み、亡失・滅失、有効期限がきれているような場合には、住民票・健康保険証等の本人確認書類や、運転免許の取消通知書など必要です。受付窓口によっては、返送用封筒も必要になります。
運転経歴証明書の取得率は下がっている
自主返納し、申請すれば交付され、一生使える特典がもれなくついてくるのですが、運転経歴証明書の取得率は低下傾向。過去には85〜90%程度でしたが、2022年は83%、2023年には76%に。
運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
ご存知ないのか、興味がないのか、役に立たないのか、、わかりませんが、公的に認められた身分証明書なのですから、申請はする方がいいです。
たった1,100円と申請の手間だけで、期限なし公的身分証明書と、さまざまな特典がついてきます。
取得しないなんてもったいない!忘れずに取得してください!!
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交通事故死亡者数(人口10万人あたりの死亡者数)で全国ワースト3の常連である香川県。
確かに、交差点の停止ラインをガッツリ通り越してから停止する、一時停止ラインでは停止せず交差点侵入直前で停止(切符切られます)、そもそも一時停止しないで徐行のみ(切符切られます)、歩行者いてもすぐ横を結構なスピードで通り過ぎる車など、なかなかスリルあるマイルールで運転するドライバーは、少なくないように感じています。
高齢者であれ、若者であれ、子育て中のママであれ、一部の厄介なドライバーから身を守るには自分で気をつけるしかありません。加害者にならない注意も必要ですが、それ以上に「被害者」にならないよう気を配らないと、自分が損します。スマホ見ながら歩いている場合じゃないのです。